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2話 初戦闘と能力確認

             転生した異世界で好き放題に生きていく

               ~チートじゃない?才能です!~

                 1章 異世界の始まり

                2話 初戦闘と能力確認


 皇王かみたか みかどは急な事に驚いた。所持恩恵の〈探索者∞〉で近くの人間を探して、そちらに向かい歩いていたのだが、助けを求める声は明らかに森の中から聞こえたからだ。先ほど確認した時は森の外を3つの青い点がゆっくりだがこちらに向かっていたはずだったのだが・・・。


「森の中?どういう事だ?〈観察者∞〉で確認した時は森の外を歩いていたはずだぞ?」


 そう言い再び〈観察者∞〉を発動して3つの青い点の位置を確認する。パネルに表示された3つの青い点はやはり森の中にあるようだ。


「何があったか知らないが・・・さすがに素通りは出来ないな、とりあえず急いで向かわないとな!」


 帝は足に力を込めて走り出す。そして驚愕する。


(何だコレ!)


 軽く走り出したつもりの帝だが周囲の景色は生前の世界では想像出来ない程の速度で後ろへ流れていく。自身の恩恵とステータスの確認を優先にしていた為に異世界でのステータスが及ぼす体への影響を帝は確認していなかったのだ。


(自走でこの速さは凄いな!30㎞くらい出てんじゃないか?)


 そんな事を考えながら〈観察者∞〉で3つの青い点の位置を確認しながら走って行く。


 森が少し開けている場所に助けを求めたと思われる3人と助けを求めなくてはいけなくなった原因がそこにいた。帝は速度を落としてゆっくりと近づいていく。

 3人はどうやら女性の様だ。3人が帝に気づいた。

 1人は希望に満ちた顔をするが帝の装備を見て絶望の顔へと変わっていく。2人目も1人目と同じ反応をする。3人目は帝の装備を見て「君!逃げるんだ!その装備じゃ無理だ!」と叫ぶ。3人目が急に叫んだ事により3人を囲んでいた生物がこちらに気づいた。

 その姿は見た目、虎の様な縞模様が入った狼だ。だが帝の知っている狼とは体の大きさが違っている。帝の知っている狼は体長が100㎝~160㎝前後のはずだが目の前の生物は2mを軽く超えているのだ。それが10匹位で群れているのだ。


「何だこいつ等?狼か?虎か?」


 帝が何となく口にすると・・・。


(マスター。この生物は魔獣のウルフタイガーと呼ばれる個体です。〈神眼〉を発動する事でステータスと恩恵を確認できます)


 オウルに言われて〈神眼〉を発動し群れの中で一番帝に近い個体のステータスを確認する。


ウルフタイガーLv12

 種族 魔獣

HP 241 MP 189 ATK 244 DEF 262 AGI 313 MAG 121

〈咆哮Lv2〉〈肉食〉〈鎧毛Lv2〉


「・・・・」


 ウルフタイガーのステータスを確認して帝は固まってしまう。


(アレ?何これ?・・・俺のLv1だよ?初めて戦う魔獣がLv12!?何このイベント!?即死だよね!?どうすんだよ!転生して初のイベントが死にイベント!?馬鹿じゃねえの!?)


 心の中で愚痴りまくる帝に対して・・・。


(マスター宜しいですか?)


 オウルが混乱している帝に話しかける。


(何だ!?)


 帝が頭の中で怒鳴り気味に返事をする。


(この状況を突破する方法の提案ですが〈身体強化∞〉を使用してステータスの強化、もしくは〈強欲な剥奪者〉を使用してウルフタイガーのステータスを奪取。これらの方法で状況の打破が可能です)


 その手があったか!帝はオウルに言われ内心ガッツポーズをする。

 帝は早速〈身体強化∞〉を発動する。すると(ステータスを何倍まで強化しますか?)と半透明のパネルが目の前に現れ表示される。強化の基準がよく分からない帝は2倍・・・いや保険で3倍くらいにしとくかと思い自身のステータスを上昇させる。次に〈神眼〉を発動して自身のステータスを確認してみると・・・。

 

皇王かみたか みかどLv1

 職業 なし 種族 人間(転生者)

HP 366 MP 405 ATK 456 DEF 423

AGI 546 MAG 402 LUK 894

(恩恵によるステータス強化中)


 この様な結果になっていた。


(なるほどな、〈身体強化∞〉による強化は指定した倍率分ステータスを倍にすると、ステータスにも恩恵による強化中と表示されるのか・・・)


 帝はステータスの確認をして〈身体強化∞〉の効果を理解する。


(ん?待てよ?)


 帝は気になったことをオウルに確認する。


(オウル〈身体強化∞〉によって強化したステータスは元に戻るのか?)


 帝はオウルに言われ〈身体強化∞〉によってステータスを上昇させたが、上昇させた数値は〈身体強化∞〉の発動を解除する事で元に戻るのかどうかという事だ。戻らないと言うのであればLvを上げるよりも〈身体強化∞〉によるステータス上昇の方が早く強くなることができると考えていたのだ。


(はい。マスター。〈身体強化∞〉によるステータス上昇は発動を解除する事で元に戻ります。ですが〈強欲な剥奪者〉によるステータスの奪取は発動を解除しても元に戻りません)


 オウルの説明によると〈身体強化∞〉によるステータス上昇は元に戻す事が出来るが〈強欲な剥奪者〉によるステータス上昇は元に戻せないらしい。つまり〈強欲な剥奪者〉を使えばコツコツLvを上げなくても手っ取り早く自身の強化をする事ができるという事だ。

 そんな事を考えていると「ガァァァッ!」ウルフタイガーの群れから1匹が吠えながら帝へ向かって来た。それを見ていた3人の女性は悲鳴を上げる。

 そんな事は全く気にせず目の前のウルフタイガーを見据える帝。ウルフタイガーがその太い脚を持ち上げて右前脚による引っ掻き攻撃を帝は難なく左に避け、すれ違いざまに右拳をウルフタイガーの右脇腹へアッパー気味に叩き込む「グガァ!!」ウルフタイガーが呻き声を上げてその体躯をくの字に曲げて宙へと舞う。


 ドスンッ!


 と重い音を立てて地面に落ちると、のたうち回るウルフタイガー。そして口から血を吐き出したと思ったら動かなくなる。それを見ていた3人の女性の内、帝に逃げろと言った女性が「ウルフタイガーを素手で!?しかも一撃だと!?」と叫んでいる。どうやらこのウルフタイガーは帝の一撃によって絶命したようだ。

 アレ?と首を傾げる帝。なぜなら帝は本気で右拳を叩き込んでいなかったのだ。ウルフタイガーの強さを確認する為と自身とのステータスによる差によってどれだけのダメージを与えられるかを確認する為に手加減したつもりだったのだが・・・。何故一撃で?とオウルに聞いてみる帝。


(マスターの攻撃により折れた骨が心臓を貫いたようです)


(なるほど運が良かった訳か・・・運?もしかしてLUKの数値が関係してるのか?)


(いえ。LUKの数値は関係ありません。LUK値は魔獣を倒した際のレアアイテムの入手率に関係しているので骨が心臓を貫いたのは偶然です)


 なるほどLUK値はアイテムの入手率に関係してるのか、と言うか魔獣からアイテムの入手と言う事はドロップ式か?まるでゲームだな。と帝が思っていると・・・。


(いえ。違います。魔獣からのアイテム入手は魔獣を解体する事で体内外にある素材を手に入れる事です。魔石、肉、骨、爪、牙、皮、毛、等々の事です)


 そんな事を考えていると「グォォォォ!」ウルフタイガーの群れの中から一際、体の大きい個体が吠える。すると3人の女性たちを囲んでいた他のウルフタイガーが帝を取り囲む様に動き出す。どうやら帝を敵と認識して標的を女性達から帝へと変更したようだ。

 帝は吠えたウルフタイガーを対象に〈神眼〉を発動してみた。


 ウルフタイガーロードLv29

 種族 魔獣

HP 423 MP 343 ATK 541 DEF 411 AGI 599 MAG 241

〈統率者Lv2〉〈威圧Lv3〉〈咆哮Lv4〉〈肉食〉

〈鎧毛Lv4〉

 

(名前が微妙に違うな・・・Lvもステータスも高いな。それにさっきのウルフタイガーを確認した際はステータスの高さに驚いて気が付かなかったがLUK値がないな。おまけに所持恩恵も違うな・・・どういう事だ?オウル)


〈神眼〉を発動して確認した内容の疑問をオウルに尋ねてみる。


(魔獣にLUK値は存在しません。これは全ての魔獣に共通する事です。名前にロードが付いているのは種族の群れをまとめる者に与えられる称号です。称号を持つ者は上位の個体に進化し、ステータスが上昇します。因みに称号にもランクがありますがお聞きに・・・)


(それは後でいい!)


 オウルの話を途中で切る帝。


(それよりもこいつをどうするか・・・)


 帝は目の前のウルフタイガーロードを見て思考する。


(AGI値以外は俺のステータスが上か、総合的なステータスで勝っていると言ってもなぁ・・・インチキだしな。何よりも周りにウルフタイガーが11匹もいるぞ、1匹は偶然とは言え一撃で倒せたがウルフタイガーロードの攻撃を躱しながら11匹を相手にするのは流石に厳しいだろな、AGI値が強化した俺よりも上だしな。どうしたものかな・・・)


 等と帝が考えていると・・・。


「グォォォォッ!」いきなりウルフタイガーロードが吠えると周りにいるウルフタイガー達が続くように吠え始める。ウルフタイガー達の体がうっすらと光る。いきなりの事に帝が驚いていると。


(マスター。気を付けてください。ウルフタイガーロードが〈統率者Lv2〉を発動しました)


 オウルが危険を知らせる。


(〈統率者Lv2〉は配下のステータス強化の恩恵です。自身のステータスの中で一番低い数値を配下の者全てのステータスに上乗せする恩恵です。かわりに恩恵を発動している間、発動者はその場を動くことが出来なくなります)


(つまりウルフタイガーロードの一番低いステータスMAGの241が周りにいるウルフタイガー11匹のステータス全てに上乗せされ、上乗せしている間はウルフタイガーロードはその場を動けないのか。アレ?たしかウルフタイガーのステータスは・・・)


ウルフタイガーLv12

 種族 魔獣

HP 241 MP 189 ATK 244 DEF 262 AGI 313 MAG 121

〈咆哮Lv2〉〈肉食〉〈鎧毛Lv2〉


(これだったから・・・。これにMAGの241が全てのステータスに上乗せされると・・・)


ウルフタイガーLv12

 種族 魔獣

HP 442 MP 430 ATK 485 DEF 503 AGI 554 MAG 362

〈咆哮Lv2〉〈肉食〉〈鎧毛Lv2〉


(おいおい!?MAG以外が強化した俺のステータスを超えてるぞ!)


「・・・はぁ」


 溜息をついている帝などお構いなしにウルフタイガー達が帝を囲むように動き始める。


(マスター。〈身体強化∞〉を上乗せしてステータスの強化をお勧めします)


〈身体強化∞〉はどうやら恩恵の上乗せが可能らしい。即座に帝は〈身体強化∞〉を発動し2倍を指定する。


皇王かみたか みかどLv1

 職業 なし 種族 人間(転生者)

HP 732 MP 810 ATK 912 DEF 846

AGI 1092 MAG 804 LUK 1788

(恩恵によるステータス強化中)


 ステータスの強化が完了した途端ウルフタイガー達が飛び掛かって来た。

 1匹目の突進を右に躱し、胴体を狙って左手の拳を無造作に振り下ろす。


 ゴギャッ!


 鈍い骨の折れる音がし、続けてズウウンッ!と地鳴りのような音がする。

 戦闘の最中だと言うのに森は静けさに包まれた。突進したウルフタイガーは帝の無造作な攻撃によって、背骨が背中側から真っ二つに折れて胴体の腹側から地面にめり込んでいる。白眼を剥き動かなくなっているどうやら絶命したようだ。飛び掛かろうとしていたウルフタイガー達はその場で停止し、戦闘を見ていた女性たちも帝を見て驚愕の表情をしたままピクリとも動かない。ウルフタイガーロードは驚きのあまり〈統率者Lv2〉の恩恵を解除してしまったらしい。

 ウルフタイガー達のうっすらと光っていた体が光を失っている。帝はチャンス!と言わんばかりにウルフタイガーの間を駆け回り次々と屠ってゆく。ウルフタイガーロードも女性達も何が起きているのか分からずただ状況を見守っている。

 10秒かからず周りにいたウルフタイガーを屠った帝は肩を回し一息つく。


「後はそこにいる群れのボスだけだな」


 そう言いウルフタイガーロードに近づいてゆく帝。


(マスター。〈強欲な剥奪者〉によるステータスの奪取をお勧めします)


 オウルが帝に語り掛ける。


(確かに戦闘の度に〈身体強化∞〉を発動してたら手間が掛かるな、なら〈強欲な剥奪者〉の効果を試すついでにステータスの奪取をしてみるか)


 帝は立ち止まり〈強欲な剥奪者〉を発動させる。帝が立ち止まった事を不思議に思い女性達は首を傾げる。すると「グゥゥッ」とウルフタイガーロードが低く唸り始めた。何事かと女性達がそちらを向くとウルフタイガロードがふらつき始めていた。何が起きているのか分からずに身構える女性達。

 帝はそんな女性達を視界に捉えながら〈強欲な剥奪者〉によるステータスの奪取を続ける。

 1分程経っただろうか途端にウルフタイガーロードが倒れこみ動かなくなった。〈神眼〉を発動してウルフタイガーロードのステータスを確認してみる。


ウルフタイガーロードLv29

 種族 魔獣

HP 0 MP 0 ATK 0 DEF 0 AGI 0 MAG 0

〈咆哮Lv4〉〈肉食〉〈鎧毛Lv4〉


 このようなステータスになっていた。〈統率者Lv2〉と〈威圧Lv3〉が無くなりステータスも全てが0になっている。


(ふむステータスが0になっているのは分かるが恩恵が2つ無くなっているのは何でだ?)


(〈統率者Lv2〉と〈威圧Lv3〉は〈強欲な剥奪者〉の効果によってステータスとともにマスターに奪取されました)


(奪える恩恵は1つじゃないのか?)


(いえ?複数可能です。奪う恩恵を指定して発動していない時は対象の所持恩恵の中からランダムで奪うのです。それが今回は2つだった。と言う事です)


(どうやら俺は勘違いをしていたようだ。〈強欲な剥奪者〉で奪う事の出来る恩恵は1つだけだと思っていたが複数奪う事が出来るようだな)


(マスター。付け加えますと対象の所持恩恵を全て指定すれば全て奪う事が出来ますよ?)


 オウルが補足してくれる。


(マジか!?その気になれば所持恩恵を丸ごと全部奪うとか鬼畜すぎるな!)


 そして帝は〈神眼〉で自分のステータスを確認する。


皇王かみたか みかどLv10

 職業 なし 種族 人間(転生者)

HP 655 MP 512 ATK 686 DEF 598

AGI 804 MAG 443 LUK 412

〈全てを知る者〉〈強欲な剥奪者〉〈限界突破∞〉

〈創造者〉〈神眼〉〈魔眼〉〈探索者∞〉〈観測者∞〉

〈環境適応∞〉〈言語理解∞〉〈全魔法適正〉〈身体強化∞〉

〈能力強化∞〉〈倉庫∞〉〈統率者Lv2〉〈威圧Lv3〉


 この様な結果になっていた。


(Lvが10に上がってる。その為スタータスも奪取した数値にLvUp分が追加されているようだ。これは・・・Lv上げよりもステータス奪取のが簡単に強くなれるのでは?)


 帝がそんな事を考えていると「あの~?」と声を掛けられて正気になる帝。


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