23話 探索ギルド
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
23話 探索ギルド
「それでどうする?」
アイナが帝に尋ねる。
「何がだ?」
「何がだ?ではない!?あの様な勝負を受けてどうするのかと言っている!?」
帝の返答にアイナが怒りを露にする。
「何を怒っているんだ?あの程度の事で」
「あの程度だと?」
「あぁ。あの程度だ」
帝の軽い物言いにアイナだけでなく他の者達も唖然としてしまう。
「な、何をもって、あの程度と言い切っているんだ?そもそもの話としてトライル家が勝負を受けない可能性もあるんだぞ?」
「それは無いな」
「「「「なっ!?」」」」
アイナが勝負を受けない可能性があると言ったら、帝は即座に否定した。
「な、何故言い切れるのですか?」
即座に否定した帝にユーナが質問する。
「簡単な事だ。先ずレイン、と言うよりもトライル家としては受けるしかない。何故ならカリス、カーバンクルが手に入る可能性があるからだ」
「た、確かにそれだけで受ける価値はありますね」
「次に、トライル家はこの街では有名な魔獣使いなんだろ?そこに魔獣を連れた名も知らない冒険者、つまりは駆け出しの冒険者。そんな駆け出しの冒険者に舐められていては、トライル家の名に傷が付く」
「確かに魔獣使いで有名なトライル家としては、駆け出しの冒険者に舐められては他の貴族に馬鹿にされるか。
だが、勝負の内容も決まっていないのに勝つ見込みはあるのか?」
帝の考えを聞いたアイナが確認する。
「勝つ見込みか・・・。正直なところ、こいつら次第か」
そう言い帝はオーロ、ヤタ、イーラ、アルネ、グーの5匹の魔獣達を見た。
「ミカドさんでは無くオーロちゃん達ですか?」
「あぁ。トライル家があの条件で勝負を受ける以上、「勝負の内容はこちらで決めさせてもらう」と言って来る筈だ。そして勝負の内容は確実に「魔獣同士」の勝負になる筈だ」
「「「「「!?」」」」」
「そうなる以上あちらさんは手に入れるカリスが傷付くのは嫌だろう、万が一に死んでしまったら勝負自体が意味無くなるからな。
そうなるとカリスを抜いた魔獣での戦闘になるだろう」
「何故5匹と?」
「そうだ!?向こうはミカドが何匹連れているか分からないんだぞ!」
「少し考えれば分かるだろ。例の魔獣の卵が4つ、それに直接見たカリスとオーロ、カリスを戦いのメンバーから抜く、そうなると最低でも連れている俺の魔獣の数は5匹だ。自分でエリートと言うんだから、アイツもそこまでバカじゃないだろ?」
「そうかもしれないですけど・・・」
「ミカドの考えは分かったけど、この子達だけでの戦闘になったらオーロちゃん以外は産まれたてでしょ?どうすんのさ?」
「迷宮に潜る。その為、探索ギルドに登録しに行くぞ」
「確かに迷宮ならレベル上げには、丁度いいかも知れないけど・・・」
「取り敢えずやる事は決まったんだ、探索ギルドに向かうぞ!」
そう言うと帝は立ち上がった。
「少々お待ち下さい」
アリアが立ち上がった帝を呼び止めた。
「何ですかアリアさん?」
「此度の一件、切っ掛けを作ってしまったのは間違いなくこちらの不手際です。なのでせめてもの罪滅ぼしとして迷宮探索に必要な物はこちらで用意させて下さい!」
そう言うアリアの目は真剣そのものだ。
「・・・分かりました。宜しくお願いします」
「はい!お任せ下さい!」
アリアは返事をすると部屋にいた従業員達に指示を出し、部屋を後にする。
「それじゃ俺達も向かうとするか」
そう言い帝達も部屋を後にする。
帝達が商業ギルドの1階に行くと従業員に呼ばれて、倉庫へと案内される。
倉庫内ではアリアが指示をし、従業員達が動き回り各々が棚から荷物を取り出し、運んで来る。
そう運んで来るなのだ。運んでいるでは無い。従業員達はアリアに指示された物を帝達の元へ次々に運んで来る。帝達が唖然とし、観ていると最後の荷物が運び終えた様だ。
「ミカドさん、こちらが一通り集めた物になります!どうぞ持っていって下さい!」
そう言うアリアが用意した荷物は帝達、全員でも運びきれない量だ。
「・・・いや、有難いが多くないか?」
「確かに多いかと思いましたがこちらもお譲りしますので大丈夫です!」
そう言うとアリアは肩掛けの鞄を取り出し、用意された荷物を入れ始めた。
「「「「魔法の鞄!?」」」」
「成程、魔法の鞄か。それならこの量も納得だな」
そうアリアが取り出した鞄は、魔法の鞄と呼ばれる見た目以上に物が入る鞄なのだ。
「いやいや!?間違ってるぞミカド!この量が入る魔法の鞄なんていくらすると思っている!」
「ん?知らんが?」
「大金貨10枚はするぞ!」
「そうなのか?」
「そうですよ!それをアリアさんは譲ると言ってるんですよ!?」
「貰える物は貰っとけば良いだろ?」
「そうかも知れませんが!?」
「そもそもアリアさんは「罪滅ぼしに」と言って、この量の荷物と魔法の鞄を用意してくれたんだぞ?高額だからと言って受け取らないのは寧ろ失礼だろ」
「「「そ、それは・・・」」」
ユーナ、アイナ、シオンの3人はアリアの用意した物が予想以上の高額の為に気が引けている。
「3人共ミカドの言う通りだよ?遠慮したらかえって失礼だよ?」
「ティナがまともな事を言っているだと!?」
予想外にもティナが帝の意見に賛同しているのを聞いて帝が驚く。
「どう言う意味さ!?」
「いや、ティナっていつもふざけた言動が多いから・・・ついな?」
「ムーッ!」
両手を上に挙げて怒ってるとアピールするティナだが見た目のせいで子供の可愛らしい仕草にしか見えない。
「こう見えてもこの中じゃ一番年上なんだからね!」
「そう言えばそうだったな」
「はぁ、もう良いや・・・。そんな事より早く探索ギルドに行こう!時間が勿体無いよ!」
ティナに急かされた帝達はアリアから大量の荷物が入った魔法の鞄を受け取ると商業ギルドを後にした。
商業ギルドを出た帝達はすぐ側にある探索ギルドへと向かった。探索ギルドの内装も冒険者ギルドや商業ギルドに似ていた。大きな違いと言えば1階にはカウンターと大きな扉が5つあり、2階に酒場がある様だ。
帝達はカウンターに向かう。カウンターの従業員が帝達に気付き声を掛ける。
「本日はどう言ったご用件でしょうか?」
「すいません。登録したいのですが大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫ですよ。お連れの皆様もご登録で宜しいですか?」
「皆はどうする?」
帝が振り返り確認をするとフェン、ヨルン、ペイルの3人だけが手を挙げた。
「取り敢えずは自分と手を挙げた3人だけお願いします」
「分かりました。では冒険者カードはお持ちですか?ご提示して頂きますと登録の時間が短縮出来ますが?」
「登録はギルドごとにカードが違うのでは?」
「ひとつに纏める事が出来ますよ?その方が便利ですのでオススメですよ」
「それじゃあ、それでお願いします」
そう言い帝、フェン、ヨルン、ペイルは冒険者カードを提出した。4人のカードを受け取った従業員は一枚一枚木の箱の横にある切り込み口に入れて行く。
まず最初に木の箱に入れられたのは帝の冒険者カードだ。木の箱は帝の冒険者カードを飲み込んでいくと機械音の様な音を出した。
ピーッ。カシャッ。
木の箱が機械音を出すとカードを入れた反対側の切り込み口からカードが出て来た。従業員はカードを手に取り、確認すると帝に手渡す。
「登録完了です。どうぞ。念の為、記載に問題が無いかご確認下さい」
従業員からカードを受け取った帝は記載内容に問題が無いかを確認する。受け取ったカードには冒険者と刻まれた隣に探索者の文字が新たに刻まれていた。
「問題無いです」
帝はカードに問題が無い事を告る。
「それでは探索ギルドの説明をしますね」
従業員はそう言いながらフェン達にもカードを渡して行く。
「まず探索ギルドの役割ですが迷宮の管理と運営になります。管理については文字通り発見済みの迷宮の管理ですね。運営については迷宮内で入手した物の買取や売却を行っています。
次に迷宮についてですが迷宮には難易度が有ります。まぁ、だからと言ってギルドは「あなたには無理だから」とか「まだ早い」とか言って迷宮探索を拒否する事は無いのでご安心下さい。代わりに難易度の合わない迷宮に入られてもギルドでは責任を取らないのでお気をつけ下さい」
(つまり迷宮探索は自己責任って事か)
「次に迷宮内についてですが、外との大きな違いが有ります。迷宮内の魔獣は倒すと迷宮に吸収される為、解体する事が出来ません。代わりに倒すと無属性の魔石とアイテム等をランダムでドロップします」
「ランダムでドロップ?」
「はい。例えばスライムですとスライムゼリーと言う食材やスライムの粘液と言う錬金術の素材等ですね」
「ランダムと言う事は・・・」
「はい。何が出るかは倒してみないと分かりません。但し何を倒すとどういった物が出るかなどは、分かっている範囲に限りますが探索ギルド内の資料室にまとめてあります。因みにですが余りドロップしないアイテム、レアドロップは運が高いと出やすいと言う実験結果が出ています」
「成程。因みにですが魔石は倒した魔獣によって大きさは決まっているのでしょうか?」
「そうですね。魔石のサイズは決まっています。ただ、魔石も運が良いと無属性ではなく倒した魔獣の属性の魔石がドロップする事があります。
後、迷宮には5階層毎に番人の補佐と呼ばれる階層主、10階層毎に迷宮の番人と呼ばれる階層主が存在し、それらは特別な部屋で戦闘を行います。階層主を倒すと一定の時間が経過しないと再度部屋には入れません。部屋に入れる時は階層主が復活していますのでご注意を。探索ギルドでは階層主を分かりやすくボスと呼んでいます。因みにボスもドロップします。最後に一番大事な事ですが、迷宮内は特殊な結界が張られているのか外との時間経過が異なり遅くなっています。迷宮を探索する際は時間にお気をつけ下さい」
「時間経過が遅いと言うのはどのくらいなのかお聞きしても?」
「具体的に言うなら外の10分の1くらいですね」
「それは全ての迷宮においてでしょうか?」
「そうです」
「有難うございます」
「他にご質問はございませんか?」
「そうですね。それではいくつか・・・」
そう言い帝は気になった事などを質問して行った。
先ず迷宮の難易度について、これはパーティで入った際と1人、つまりソロで入った際で異なるらしい。パーティで入った方が攻略は簡単だがソロで入ると難しいと言う事だ。じゃあソロに旨みが無いかと言うとそうじゃ無いらしい。ソロだと難易度が上がる代わりにドロップするアイテムが良いらしいのだ。
次に迷宮の階層数について、階層は現在確認されている最大数で100階層らしい。但し100階層がクリア出来ていないのでその先があるかもしれないとの事。
他に迷宮の最下層には何が有るのか聞いたら、ダンジョンコアと呼ばれる迷宮の核があるとの事、それは何をしても壊すことが出来ないらしい、ダンジョンコアに触れる事で迷宮を踏破、つまりクリアしたとみなされる様だ。クリアすると報酬が貰えるらしい。なおダンジョンクリアはパーティ全員に適用されるとの事、余談だがソロでダンジョンをクリアした者は存在しないらしい。何故かと聞いたら難易度が低いからと言って、ソロでも低いと言う訳では無いらしい。例えば一番難易度の低いスライムしか出ないと言われる粘液の迷宮は、パーティで入るとクリアできない方が可笑しいと言われている程だが、ソロで入ると最初の番人の補佐、つまり5階層まで到達出来ない程の難易度になるらしい。
「他にご質問はございますか?」
「それじゃあ最後にギルド内にある、あの5つの扉は何なのでしょうか?」
「そちらについて説明していませんでしたね。あの扉は迷宮に繋がっています。このギルドでは5つの迷宮を管理しています」
「このギルドと言う事は他のギルドは違うのですか?」
「そうです。ギルドによって管理している迷宮の数は異なります。ただ各ギルドで管理しているのは最低でも1つから最大でも8つですね」
「1つの管理でギルドに得があるのですか?」
「確かに通常の迷宮なら得はございません。そして1つしか管理してないギルドは世界で14の支部がございます。但し14のギルドが管理している迷宮は通常の迷宮ではなく、八大迷宮と六獄と呼ばれる迷宮になります。そしてこれらの14の迷宮をクリアした者は極少数しか存在しません」
「極少数ですか・・・」
「失礼しました。1つ訂正致します。六獄は未だ踏破者は存在しません」
「!?」
「故に夢をみる者が後を絶えません」
「確かに未踏破ならそれだけで価値がありますね」
「因みに六獄の1つはトレランシア東支部にございますよ。まぁ、オススメはしませんが・・・」
「何故です?」
「先程、説明した迷宮の階層ですが八大迷宮は全てが100階層、六獄は確認出来ているもので100階層なのです」
「もしかして確認出来ているのって・・・」
「ご想像どおり、トレランシア東支部の六獄が確認出来ている最大のものです」
「な、成程。まぁ、流石にいきなり挑戦などはしませんよ。どういった迷宮かは気になりますが・・・」
「迷宮の内容については資料室で確認出来ますので後程ご確認されてみては如何でしょう?」
「それは楽しみです」
「ご説明はこんな所でしょうか。気になる事がございましたらその都度聞いて頂ければお応えしますよ」
「わかりました」
そう言うと帝達はユーナ達の下へと向かった。




