22話 勝負の約束
オウルと会話?している帝の台詞が()だと帝の心の声?と違いが分かりづらいので、オウルと会話?している帝の台詞はこれから『』にします。
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
22話 勝負の約束
従業員が帝が追加注文した料理を運んで来た。帝は料理を並べるとヤタ、イーラ、アルネ、グーに好きに食べる様に言った。魔獣達はそれぞれが好きに食べ始める。帝は魔獣達の食事の様子を見ていて気付いた。
「・・・意外だな。好き嫌いが有るかと思ったが4匹とも好き嫌いせずに食べているな」
帝の言う通り4匹の魔獣は食べる順番は違うにしても、料理を残さず食べ続けている。ヤタは嘴で器用にスープを飲んでいる。イーラは見た目はウサギだが肉を食べている。アルネは前脚で持ち上げ綺麗に食べている。グーはスライム特有なのか食べ物に覆い被さり少しずつ消化している。
4匹の魔獣達が食事をしているとカリスとオーロが帝にお代わりを催促してきた。
「ん?まだ食べるのか?」
帝はそう言うとパン、肉、サラダを1皿ずつ追加で頼んだ。
「さっきも食べたから2匹で半分ずつな」
帝はそれぞれを半分に分けるとカリスとオーロの前に差し出す。
「「キュイッ!キュイッ!」」
2匹は喜びはしゃいだ。その様子を見ていた帝はカリスが所持している〈不運Lv90〉を思い出した。
(そう言えばカリスには〈不運〉があったな。どうにかしてやりたいがどうするか?奪うと俺に付いてしまうしな。消失か・・・消すだけで良いなら・・・破壊とかか?いや、そもそも恩恵って破壊出来るのか?まぁ、駄目だったら俺に付ければ良いか)
帝はそう考えると〈恩恵創造〉で〈恩恵破壊〉を創り出した。
(さて効果の程は・・・)
帝は〈恩恵破壊〉を発動しカリスの頭を撫でた。
「キュイ?キュウ〜」
何も知らないカリスは撫でられ気持ち良さそうな表情をしている。帝は〈神眼〉を発動するとカリスのステータスを確認する。
カリス Lv 7
種族 カーバンクル(使役魔獣)
HP 217 MP 221 ATK 191 DEF 199
AGI 201 MAG 222
〈幸運Lv15〉
(成功見たいだな!無事に〈不運〉だけが消えてる)
帝の思惑は上手くいき、カリスのステータスから〈不運〉は消失していた。
(どうせなら〈幸運〉も進化させとくか!)
この時、帝は自身も〈幸運Lv43〉を所持している事を忘れていた。
(カリスの〈幸運〉はLv15だからLv85の〈幸運〉を創れば良いか)
そして帝は〈恩恵創造〉を発動し、〈幸運Lv85〉を造り出した。
(これでカリスに譲渡すれば大事だな)
帝はカリスを撫でたまま一連の作業を行なっている。そしてカリスのステータスを確認して、首を傾げた。
(あれ?〈幸運〉が15のままだな・・・何でだ?)
ここでようやく帝は自身のステータスを確認した。
(何で俺に〈超幸運〉が有るんだ?)
オウル:マスター。宜しいですか?
『どうしたオウル?』
オウル:マスターは既に〈幸運Lv43〉を所持していました。そこに〈幸運Lv85〉を創りましたので統合し〈幸運〉が進化して〈超幸運〉になりました。その為〈幸運Lv85〉は消失しカリスに譲渡する事が出来なかったのです。
『・・・いつ獲得したが覚えていないな』
オウル:洞窟で相対した奴隷商人から奪った恩恵です。
『あー。あの時か・・・完全に忘れてたな。そんな事よりカリスに〈超幸運〉を譲渡したら〈幸運Lv15〉はどうなるんだ?』
オウル:〈幸運Lv15〉は消失します。
『無くなるのか・・・まぁ、結果的にカリスが〈超幸運〉を獲得出来るなら問題は無いか』
予想外の事が有ったが結果的にカリスは〈超幸運〉を獲得する事が出来た。
(そう言えば、ヤタ達の恩恵は確認して無かったな)
帝はカリスの〈幸運〉でヤタ達の恩恵を確認していなかった事を思い出した。
(まぁ、今じゃなくても良いか)
結局は確認しない事にした帝だった。
「昼食も済んだ事ですし、この後はどうしますか?」
「そうだな、取り敢えずは食材の買い出しくらいか?」
「そう言えばアリア殿は何か用事があるとか言っていたが、其方はいいのか?」
ユーナの質問に対して帝は悩んでいたが、アイナがアリアが用事があると言っていたのを思い出して聞いてみた。
「あぁ、其方の方は大丈夫です。もう済みましたし」
アリアの用事はいつの間にか済んでいた様だ。
「・・・因みにですが聞いても宜しいですか?」
「問題無いですよ。用事と言うのは領主の御子息が魔獣の卵を譲れと煩いので断るだけですので、断る旨を伝えるだけです。なので他の者に言伝を頼みました。問題があったら呼ぶように言ってあるので」
「いや、それって・・・」
アリアの用事の内容を聞いた帝は間違いなく面倒事だと理解した。
コンコンコンッ!
アリアが用事の内容を帝達に教え終えるとドアがノックされる。音的に急いでいる様子が伺える。
「どうぞ」
アリアはノックに返事をする。
「失礼します!ギルマス、例の方が・・・」
「あぁ、やはり駄目でしたか・・・。バカの相手は疲れるから嫌なのですが、仕方無いですね。対応した方達には後でお礼をするので部屋に来る様に伝えといて下さい」
「わ、わかりました!」
「それでは皆様、一旦失礼します」
アリアはそう言い一礼すると部屋を出て行った。
「「「「「・・・」」」」」
アリアを呼びに来た職員の様子からして、領主の息子が喚いていると言ったところだろうと思った帝達だが・・・。
「いや、それよりもギルマス!?アリアさんってギルドマスターだったのか!?」
「そ、それもですが!領主の御子息が魔獣の卵って!」
「間違い無くこの子達だよねー」
ティナがヤタ達を見ながら軽く言った。
「・・・どうします?」
「面倒事になる前にお暇しますか?」
「いや〜。既に面倒事になってるでしょ」
「と言うより今出て行くと落合いそうではないか?」
「そうなんだよな。アリアさんの話が終わるまで待っても良いが・・・」
「そっちの方が出会いそうですよね・・・」
「「「「う〜ん」」」」
帝達がギルドを出るタイミングについて話し合っていると・・・。
「だから!何で駄目なんだって聞いてんだろ!?」
部屋の外、扉の向こうから怒鳴り声が聞こえて来た。
「何だ?」
扉の向こうから怒鳴り声が聞こえたので、気になった帝達が扉を少し開け廊下の様子を探るとアリアの姿が見えた。
「ですから!貴方の様に魔獣を道具と勘違いしている方には譲らないと言っているではありませんか!?」
どうやらアリアと言い争っているのが領主の息子らしい。領主の息子は白を基調としたコートを着ており、金髪でオールバックにしている。
「だからそれじゃ納得出来ないって言ってるだろ!?俺様はこの街で一番の魔獣使いだぞ!その俺様に貴重な魔獣の卵を譲らんとはどう言う事だ!?金なら出すと言っているだろ!」
「お金の問題では無いと何度も言っているでしょう!?」
「なら何が問題だと言うんだ!?」
「ですから!?何度も言っている様に「魔獣を道具」と言っている段階で貴方に譲る様な魔獣は我が商業ギルドにはおりません!?」
「魔獣使いが魔獣を道具と言って何が悪い!?魔獣は俺達、魔獣使いの力で通常よりも力を発揮できるんだぞ!?道具以外の何だと言うんだ!?」
「何を言われようとも貴方に譲る様な魔獣はおりません!そもそも貴方の言い分では魔獣の力を発揮する為に魔獣使いがいるなら、魔獣使いこそが魔獣にとっての道具ではないのですか!?」
「貴様っ!俺様を魔獣の道具と言うか!?」
「何が違うのです?貴方の言う通り魔獣が通常よりも力を発揮するのに魔獣使いが必要なら、魔獣使いこそが魔獣にとっての道具ではないのですか?」
「貴様ー!」
領主の息子が拳を振り上げた。
パシッ!
「その辺にしておけ」
領主の息子の拳は帝によって止められ、アリアには届かなかった。
「何だ貴様は!?」
「俺は帝。ただの冒険者だ」
「冒険者風情が俺様に何の用だ!?」
そう言い領主の息子は帝の腕を振り払った。
「別にお前に用は無い。知人が暴力を振るわれそうになっているのを見て居られなかっただけだ」
「そんなくだらん理由で俺様の邪魔をしたのか!?」
「くだらないかどうかはお前が決める事じゃ無い」
「貴様っ!?そもそも貴様のその口の利き方は何だ!?俺様は領主の息子トライル=レインだぞ!?」
「知らん。どうでも良い」
「なっ!?」
「お前が何処の誰だろうと知った事じゃ無い。俺の知人に手を出すと言うなら黙ってないだけだ」
「き、貴様〜!?」
領主の息子はトライル=レインと名乗ったが帝にバッサリと切り捨てられ、怒り心頭だ。そんな時、帝の身体を登り頭の上に登って来たカリスとオーロがトライル=レインの目に映った。トライル=レインは瞬きを数回すると目を見開き固まった。
「・・・」
「何だ?急に固まってどうした?」
トライル=レインはカリスを指差し大声を上げた。
「そ、そいつはカーバンクルか!?」
「「!?」」
突然の大声に驚いた帝とアリアは耳を手で覆った。
「くっ!?うるせぇ!何なんだ突然!?」
「おい貴様!確かミカドだったか?そのカーバンクルを譲れ!」
「は?」
「勿論、タダとは言わん!そうだな・・・カーバンクルなのだから大金貨、いや。白金貨1枚でどうだ?一生遊んで暮らせるぞ?悪い話では無いだろう?」
「・・・」
「不満か?なら2枚でどうだ?」
「・・・黙れ」
「ん?何だ?」
「黙れと言った」
「何?」
「お前がいくら出そうと、カリスを譲る気は微塵もねぇ!」
「な、なら勝負だ!」
「勝負?」
「そうだ!カーバンクルを賭けて俺様と勝負しろ!」
「その勝負は一体、俺に何の得があるんだ?」
「・・・何?」
「だからお前の言うカリスを賭けた勝負は一体、俺に何の得があるんだ?」
「そ、それは・・・」
「お前は俺に勝てばカーバンクルが手に入るが、俺がお前に勝った時は何が手に入るんだ?俺にカーバンクルを賭けさせるんだ、相応の価値がある物を出せるんだよな?」
「お、俺様に勝てたなら白金貨を2枚やろう!」
「・・・本気で言っているのか?」
「無論!どうだ、悪い話ではないだろ?」
自信満々に言う、トライル=レイン。だが帝の返事は期待したものとは違った。
「・・・話にならねぇ」
「何?」
「話にならねぇと言ったんだ。どうしてカリスがたったの白金貨2枚で釣り合うと思ったんだ?カーバンクルは富と名声を呼び込んでくれるんだろ?なら白金貨2枚程度なんてちゃちな金額で受ける訳がねぇだろ?」
「くっ!そ、それは!?」
「俺に得が無い以上、その勝負を受ける気は無い!」
「な、なら我がトライル家が差し出せるものなら何でも出そう!それでどうだ!?」
「お前の家、トライル家だったか?それがどれだけの力が有るかは知らんがカーバンクルに釣り合うだけのものが出せるのか?」
「我が家は代々魔獣使いとして続く、魔獣使いのエキスパートだ!魔獣に関する書物や魔道具、それにレアな魔獣なども居る!それらを出せるだけ出そうではないか!」
「それじゃあまだ足りないな」
「何?」
「そうだな。今言ったもの全てだ。それなら勝負を受けてやっても良いぞ?」
「何・・・だと?」
「聞こえなかったのか?今言ったものを全て賭けろと言ったんだ」
「それはつまり・・・」
「あぁ。魔獣に関する書物に魔道具。それにお前の家が使役している魔獣全てだ」
「そ、それは・・・」
「無理か?なら勝負は無し。この話も終わりだ」
そう言い帝は踵を返すとユーナ達の居る部屋に戻ろうとする。
「ま、待て!分かった!?その条件で良い!」
「ならいつやる?今からか?それとも間を開けるか?」
「・・・一週間くれ。事が事だ、父上に了承を取る」
「構わん。まぁ、お前の親父さんが了承するかは知らんが駄目だったら街外れにある我が家に使いを寄越せ」
「わ、分かった!首を洗って待っていろ!」
そう言うとトライル=レインは商業ギルドを出て行った。
「ミカドさん申し訳ございません!」
アリアが唐突に謝罪をして来た。
「何がでしょう?」
「面倒事に巻き込んでしまった事についてです」
「巻き込んだも何も面倒事ってのは例の卵の事でしょう?アイツは卵の事では無く俺が連れているカリス、カーバンクルを狙って勝負を仕掛けて来た。ならアリアさんの言う面倒事とは関係無いですよ?」
「ですが!?」
「納得がいかないなら昼食を奢って下さい。それでチャラって事で」
帝はそう言いユーナ達の居る部屋に戻って行った。




