21話 4匹の魔獣
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
2章 王都動乱
21話 4匹の魔獣
「魔獣の卵ってどうやって孵化させるのですか?」
帝の質問を聞いたアリアは驚愕の表情をしている。
「ご存知ないのですか!?」
アリアに言われた帝は、変な事言ったのか?と思いユーナ達を見る。ユーナ達は揃って驚愕の表情をして帝を見ていた。
「えっと。知らないのはそんなに驚かれる事なのか?」
帝はユーナ達に確認をする。
「えっと・・・。常識だと思っていたので・・・」
「常識だと思うのだが・・・」
「常識だと思うよ〜?」
「えっと、私も知っています」
ユーナ、アイナ、ティナと続き、シオンも知っていると言うと他のエルフ達も知っていると告げる。
「そうなのか?まぁ、魔獣の卵について見聞きする機会なんて無かったしな」
住んでいた世界が違うのだから、帝の場合は見聞きしていなくて当然だ。魔獣についての知識は全てがゲームや漫画などの二次創作によるものなのだから。
「主人の非常識は今に始まった事では無いだろ?」
「フェンの言う通りだね!」
「確かに!」
フェンの言葉に続くペイルとヨルン。それを聞いていた帝は3人を睨み黙らせる。
「それで孵化させるにはどうすれば良いんですか?」
帝が話を戻しアリアに尋ねる。
「そうですね。孵化させる方法は2つあります。結果的には同じ方法になりますが、1つは卵が周囲から魔力を吸収して自然と孵化するのを待つ事。2つ目は卵に魔力を注ぎ強制的に孵化させる事。因みにですが、どちらも長所と短所があります」
「どういったものですか?」
「まず、魔獣の卵を孵化させるのには魔力が必ず必要になります。そして必要な魔力量は生まれる魔獣の強さで変わります。1つ目の方法ですと自然に孵化させるので必要な魔力量が溜まるのに時間が掛かります。2つ目の方法ですと時間が短縮出来る代わりに必要な魔力と手間が掛かります」
「それくらいの差なら魔力を注いだ方が得なのでは?」
「確かに話を聞いた限りではそう思うかも知れませんが、実際はそうもいかないのです」
「と言うと?」
「1つ目の方法ですと時間は掛かりますが、生まれた魔獣は必ず契約に応じてくれます。ですが2つ目の方法ですと生まれた魔獣が契約に応じてくれるかは孵化させた者の力量次第なのです」
「力量次第とはどう言う事ですか?」
「2つ目の方法で孵化させますと生まれた魔獣は本来の力を上回るのです。理由としては本来なら体にゆっくり馴染ませる魔力を無理やり注ぐ為に、魔獣が魔力に耐えられる様に対応する事で強くなると言われています」
「成程。過剰な魔力に対応する為に自身を強化すると。結果、本来よりも強い個体が生まれる。それが原因で契約に応じるかどうかが力量次第と言う事ですか?」
「その通りです」
「それなら別の者が魔力を注げば良いのでは?」
「確かにミカドさんの言う様に他者が魔力を注ぎ契約に成功した者は居ますが、オススメはしません」
「何故ですか?」
「契約は上手く行きますが、例外無く言う事を聞かないのです」
「言う事を聞かない?契約をしているのにですか?」
「はい。正確には魔力を注いだ者から離れる事を嫌がるのです。その為、魔力を注いだ者も同伴しなくては行けないのです。故にこの方法を取る方は居ません」
「そう言う事ですか。つまりは従えたいなら自分でどうにかするしか無い訳ですね」
「そうなりますね」
「なら問題は無いかと思います」
「理由をお聞きしても?」
「単純な話です。俺が注ぐ魔力を調整すれば良いだけの話です」
「それは!?そうかも知れませんが!」
ここで帝とアリアの話を聞いていたフェンが口を挟む。
「1つ良いか?そもそもの話として主人にその心配は必要無い」
「それはどう言う意味ですか?」
フェンの物言いにアリアが反応する。
「主人が魔力を注ぐ場合には必ず加減をしなくてはならない。でないと卵の中の魔獣が主人の魔力に対応する前に死んでしまう」
「つまりミカドさんの魔力はそれだけ多いと言う事ですか?」
「多いの一言で済ませられる魔力量では無い。魔力量で言うなら勇者すら超えているだろう」
「「「「「「な!?」」」」」」
フェンの言葉に帝を含めた全員が驚く。
「ミカドさんの魔力量はそれ程なのですか・・・」
「信じられ無いな。確かにミカドは強いが、それでも勇者様よりも強いとは思えんが」
「普通はそう思うだろうな。だが事実だ。そもそも・・・」
「悪いがその話はまだ続くのか?」
フェン達の会話を遮る帝。
「大事な事だと思うのだが?」
「俺としてはどうでも良い事だ」
「いやいや!?良くないでしょ!?」
「そうだぞミカド!勇者様よりも強いかも知れないと言う事だぞ!?」
「どうでも良い事だ。強い弱いの話は実際に戦ってみない事には分から無い。勇者の強さには興味があるが、俺が見た事も無いのに勇者よりも強いと言われてどうしろと言うんだ?」
「それはそうだが・・・」
「ならこの話は終わりだ。そんな事よりも俺はこの卵からどんな魔獣が産まれるかの方が気になってしょうがない」
「ミカドがそう言うなら・・・」
帝が勇者よりも強いかも知れないと言う話は当の本人である帝に興味が無い様で、この話は打ち切りになった。
「それで卵に話を戻すが、孵化させても良いな?」
「まぁ、ミカドさんが良いなら私は別に・・・」
ユーナがそう言うと他の皆も頷いた。
「ならさっさと孵化させるか」
帝はそう言い、席から立ち上がると卵の下に歩み出した。
帝は卵の前に立つと魔力を少しずつ解放する。帝が解放した魔力が室内に広がる。
「主人よ。その位で十分だ」
フェンが帝に魔力の解放を止める様に指示する。指示された帝は魔力の解放を止めた。
「このまま卵に触れれば良いのか?」
「あぁ、それで問題無い」
フェンに確認した帝は1つ目の卵に触れた。帝が卵に触れた途端、卵は帝から魔力を吸収すると光を放ち始めた。光は部屋を満たして行く。光が収まって行く、光が完全に収まると卵にはヒビが入り始めた。
卵のヒビが広がり始めるとカタカタと音を立てて揺れ始める。揺れが収まると殻を破り中から魔獣が姿を見せた。
産まれた魔獣は・・・鳥だった。
「鳥か・・・」
産まれたばかりの魔獣は帝の呟きを聞くと帝を見上げる。
「クキュッ?」
魔獣は首を傾げる。
(・・・カワイイな)
帝と魔獣は見つめ合ったまま動かない。
「え〜と。ミカドさん?」
「あっ!」
ユーナに声を掛けられて正気に戻る。
帝は鳥の魔獣に見惚れていた。鳥の魔獣の姿は鷲や鷹の様な猛禽類に似ている。だが身体の色は烏の様に黒く艶がある。まるで月明かりの無い夜空の様だ。
「綺麗な色だな」
帝はそう言い鳥の魔獣の身体を撫でる。鳥の魔獣は帝に大人しく撫でられている。目を細めて気持ち良さそうにしている。
「ミカド。名前は付けないのか?」
「そうだな・・・。いや、ちょっと待ってくれ。他の卵を孵化させてからにしよう」
「何故だ?」
「見た目で決めると同じ見た目の魔獣が産まれた時に名付けに困るからな」
「成程な」
「それじゃあ次を孵化させるか」
そう言うと帝は2個目の卵に手を翳した。1つ目の卵と同様の反応をすると中から魔獣が姿を見せる。
次に産まれた魔獣は・・・兎だった。
「2つ目の卵は兎か・・・」
2つ目の卵から産まれた兎の魔獣は白に近い銀色の体毛だった。大きさは帝が対峙した事のある二角ウサギよりも一回り程大きいが、角は一つしか無い。
「二角ウサギよりは大きいが角が1本なのか」
兎の頭を撫でる帝。兎も鳥の魔獣同様に大人しく撫でられている。
「キュウ〜」
兎の魔獣は気持ち良さそうな鳴き声を上げる。
「撫で続けていたいがキリがないからな」
そう言い帝が撫でるのを止めると兎の魔獣は不機嫌そうに鳴いた。
「キュッキュウ!」
「他の卵を孵化させたらまた撫でてやるからな」
帝がそう言うと兎の魔獣は言葉を理解しているのか不満そうに鳴き声を上げた。
「キュウ〜」
帝は苦笑いしながら3つ目の卵に手を翳した。3つ目の卵から産まれたのは灰色の身体をした・・・蜘蛛の魔獣だった。
「ほぉ、3つ目の卵は蜘蛛の魔獣か」
蜘蛛の魔獣は10cm程の大きさだ。帝は左の手の平を蜘蛛の魔獣に向けて差し出した。蜘蛛の魔獣は数秒帝の顔を見ると帝の手の平に乗った。蜘蛛の魔獣はキチキチと牙を鳴らすと身体を帝の手の平に擦り付ける。
「はははっ。くすぐったいぞ!」
帝は笑いながら右手の人差し指で蜘蛛の魔獣の頭を撫でる。蜘蛛の魔獣は嬉しいのか身体を左右に振る。
帝は蜘蛛の魔獣を手の平から下ろすと4つ目の卵に手を翳す。
「さて最後の卵からはどんな魔獣が産まれるかな」
そう言い魔力を注ぎ込む帝。だが4つ目の卵は他の卵とは様子が違った。ヒビが入ったと思ったら卵は割れずにヒビの隙間から液体が出てきたのだ。
「!!!」
帝は慌てて卵から手を離した。
「え!?こ、これは孵化失敗なのか!?」
他の3つと反応が違う為に帝は慌てふためく。
「主人よ落ち着け。失敗では無いが・・・かなり珍しいな」
「ど、どういう事だ?」
「こいつはスライムだ」
「・・・スライム?」
最後の卵から産まれたのはスライムだったのだ。だがそのスライムは普通のスライムとは違った。
「・・・スライムにしてはやけに水っぽくないか?」
そう産まれたスライムは普通のスライムよりも水っぽいのだ。
「言ったであろう、かなり珍しいと?そのスライムはベビースライムだ」
「ベビースライム?」
「ベビースライムとはその名の通りスライムの赤ん坊の事だ」
「産まれたばかり何だから赤ん坊なのは当たり前だろう?」
「うぅむ。どう説明すれば良いのか・・・」
「えっとね。ご主人が言ってるのは個体としての赤ん坊の事でベビースライムは種族としての赤ん坊って意味なんだよ」
「個体ではなく種族の赤ん坊?んん?あーと。つまりはベビースライムはスライムの成長過程の事ではなく、スライムと言う種族全体の中での赤ん坊と言う事か?」
「そうだ」
「そうなるとベビースライムは成長が早いと言う事か!?」
「成長と言う意味では確かに早いな」
「煮え切らない言い方だな?」
「そうだな・・・。正確に言うならベビースライムは恩恵の獲得速度が異常に早いのだ。通常の倍くらいの早さだな」
「そんなに早いのか!?」
「そうだ。故にこの世界で危険視されているスライムの上位種の殆どが、ベビースライムから進化した者だ。まぁ、全てのスライム種を知っている訳ではないがな」
フェンの発言に驚愕する帝。
「だが良い事だらけではない」
「どう言う事だ?」
「先程も言ったがベビースライムは赤ん坊だ。その為か殆どのベビースライム産まれて直ぐに他の魔獣に襲われ死んでしまう。だから生き残った稀な個体は急激な成長をし、脅威的な力を手に入れるのだ」
「そうなのか。そうなるとこのベビースライムは相当に運が良いんだな」
「確かに主人の言う通りだな。産まれて直ぐに襲われる心配が無いのだからな。取り敢えず名付けと契約をしてしまってはどうだ?」
「そうだな」
帝は返事をすると〈契約術〉で獲得した〈魔獣契約〉を発動し、産まれたばかりの魔獣4匹と契約する。
「次は名前だな。さて何にするか?その前に鑑定しとくか」
帝は魔獣4匹を鑑定する為、〈神眼〉を発動した。
ナイトクロウLv1
HP 393 MP 211 ATK 409 DEF 143
AGI 350 MAG 508
アルミラージLv1
HP 407 MP 143 ATK 572 DEF 299
AGI 616 MAG 118
ハイドスパイダーLv1
HP 186 MP 387 ATK 306 DEF 265
AGI 298 MAG 407
ベビースライムLv1
HP 107 MP 87 ATK 64 DEF 41
AGI 46 MAG 58
「・・・産まれたばかりだし、この位が普通なのかもな」
帝は〈神眼〉で確認した数値を見て呟いた。
「取り敢えずは名前だな。何にするか・・・。ナイトクロウ、アルミラージ、ハイドスパイダー、それにベビースライムか」
帝は名付けの為、思考に陥る。
(ナイトクロウ、クロウは烏だったか?烏なら有名な所だと八咫烏か・・・ならヤタだな。兎はアルミラージか・・・。兎でパッと思い付くのは因幡の白兎と首狩兎位か?あ、あと帝釈天があったな。帝釈天か別名はインドラだったか?イーラとかどうだろう?
ハイドスパイダー、蜘蛛か・・・思い付くのはアルケニー、アラクネ辺りか。アルネとか?ベビースライムはそうだな・・・スライムは雑食のイメージがあるが、何でも食べるならグーとかはどうだろう?)
「よし決めた!ナイトクロウはヤタ。アルミラージはイーラ。ハイドスパイダーはアルネ。ベビースライムはグー。どうだ?」
帝が名前を告げると4匹の魔獣はそれぞれが喜び?の反応を見せた。
「気に入ったのか?それなら良かった」
帝が名付けを終えるとカーバンクルのカリスとナインテールフォックスのオーロが仲間入りした4匹の魔獣、ヤタ、イーラ、アルネ、グーに近寄ると匂いを嗅ぎ始めた。
「匂いを覚えているのか?それとも挨拶しているのか?もしくは両方か?」
帝がカリスとオーロの行動を見ていると魔獣達は打ち解けたのかじゃれあい始めた。魔獣達が遊び始めるのを見た帝はアリアに色々な種類の食べ物を用意してもらう様に頼んだ。




