20話 魔獣の卵
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
2章 王都動乱
20話 魔獣の卵
帝達が昼食を摂る為、再び街に戻ると決まったので帝はアリアに伝える為に倉庫に向っていた。途中で魔石の交換をしていたエルフ達を呼びに行っていたユーナ、シオン達共合流した。
帝達が倉庫に着くと、従業員に指示をしていたアリアが気付き声を掛けて来た。
「皆さんお揃いでどうしました?何か問題がありましたか?」
「いや。そろそろ昼時だから昼食を摂りに街に戻ろうかと思って」
帝がそう言うとアリアは同伴を申し出た。
「私も一度戻る用事があるのでご一緒しても宜しいですか?」
「俺達は別に構わないですよ?」
「ありがとうございます。因みに食事を摂る場所はお決まりですか?」
「いや。まだ決めてないですね」
「でしたら商業ギルドで如何でしょうか?」
「商業ギルドですか?」
「はい。ギルドの待合所は酒場も兼ねているので飲食の注文が可能です。商談に使う個室も有るのでそこでしたら、皆さんも気を使わずにお食事出来ると思いますよ」
「ならお願いします」
帝の返事を聞いたアリアは従業員達に指示を出し、帝達と商業ギルドへと向かう。
商業ギルドに着くとアリアは帝達を個室へと案内する。
案内された個室はかなり広い。個室には違いないが、大部屋と言われた方が納得出来る広さだ。
「・・・広いな」
帝は案内された部屋を見て驚いた。アニメや漫画などで見る、王族や貴族が食事を摂る部屋の様なのだ。だが椅子やテーブルなどは豪華すぎない程度の内装にしてある様だ。
「お好きな席へどうぞ」
アリアはそう言い着席を促す。帝達が着席するとアリアは上座に着席する。アリアがテーブルに置いてあるハンドベルを鳴らすと従業員が入室し、全員の前にメニューと水の入ったコップとピッチャーを置いて行き退出する。
畏まった雰囲気の為、誰もがメニューを開こうとしない。
「畏まった雰囲気ですがお値段はお手頃なので安心して下さい」
アリアがメニューを開きながら、皆に薦める。
帝はメニューを開いて驚いた。品数もそうだが、品物の名前の隣に写真が付いているのだ。
写真は地球の物と遜色が無く、地球のカメラで撮ったと言われても分からないくらいだ。
「・・・この絵は?」
帝は敢えて写真とは言わずに絵と言ってアリアに確認をする。
「写真の事でしょうか?」
「・・・写真」
如何やら異世界でも写真と言うらしい。
「こちらの写真は魔道具で撮った物になります。「メニューの名前だけだと如何言った物なのか分からない」と言うご意見がありまして、異世界よりいらっしゃった勇者様の監督の元に作った魔道具、カメラで撮った物ですね」
「異世界から来た勇者!?」
帝はアリアの言葉を聞いて驚いた。
「え、えぇ。ミカド様はご存知ありませんでしたか?」
アリアの言葉に帝がユーナ達の面々を見ると皆は帝の反応に驚いている様だった。
「勇者は異世界から来るのか?」
帝は姿勢を正す為、椅子に座り直す。
「そのご様子だと本当に知らない様ですね。では僭越ながらお話しましょう。勇者様とは・・・」
「待って!」
アリアが説明をしようとするがティナから待ったが掛かる。
「何だティナ?」
「その話は長くなるから先に注文してからにしない?」
「・・・それもそうだな。昼食を食べに来た訳だしな」
そう言い帝はメニューを開き昼食を選び始めた。
帝達が昼食を頼み終わり、料理を待っているとアイナが帝に声を掛ける。
「と言うかミカド。勇者様の事が聞きたいなら私がいくらでも話してやるぞ!」
「そう言えばアイナは勇者に詳しいんだったか?」
「あぁ!勇者様の事なら任せてくれ!初代から先代までの勇者様についてなら伝記も絵物語も全て持っているぞ!」
「今代の勇者については如何なんだ?」
「残念な事に今代の勇者様については名前すら把握出来ていない」
「何でだ?」
「今代の勇者様は皆が素性を明かすのを、嫌がるらしいんだ」
「珍しいのか?」
「歴代の勇者様と比べると珍しい方ではあるな。勇者だと周囲に知られれば、持て囃されたり、国から援助してもらう事が出来る。だが如何やら必要以上に騒がれるのが嫌いらしくてな」
「そうなのか」
「その結果、今代の勇者様は未だに誰も名前が明らかになっていない。唯一分かっているのは勇者様が8人、全員揃っていると言う事だけだ」
「成程な。ん?だが来月の央都での大会に勇者は出るんだろ?」
「武術大会の事か?何処で聞いたのか知らないが正確な情報では無いな。
あくまでも今の所は優勝商品として金貨50枚と王城の宝物庫にある宝を1つ貰う権利、それと勇者と試合をする権利となっているだけで、どの勇者様が試合をするのか分かっていないんだ」
「そうか。試合をする権利って事は優勝者は1人な訳だから、戦う勇者も1人って事か」
「そうだ」
(ん?だが優勝者がもしも「勇者全員と戦いたい」と望んだ場合は如何なるんだ?勇者と試合する権利には勇者1人としか決まってない・・・)
「・・・」
帝が黙ってしまい会話が途切れてしまった。
「如何したミカド?」
「その大会は誰でも出れるのか?」
「出るつもりか!?」
「「「!?」」」
「あぁ、勇者の強さに興味が湧いた。最初は見るだけのつもりだったが、そこまで隠されるとどれだけ強いのか気になる。なら俺が優勝すれば直接戦って強さを測れる」
「いや。勇者様を相手に強さを測るって・・・。どれだけ自信があるんだ?」
「正直なところ魔獣よりも対人戦の方が慣れてるな」
「規格外過ぎるだろ・・・」
コンッ。コンッ。
帝とアイナが喋っていると部屋のドアがノックされる。
「お料理をお持ちしました」
ノックしたのは料理を持って来た従業員の様だ。
「どうぞ」
帝がそう言うとドアが開き、複数の従業員が席に着いている人数分のカートを押して、それぞれの注文した料理を運んで行く。
皆の前に料理が次々と並べられて行く。人数が人数なだけに壮観だ。料理が並べられると従業員は部屋を退出して行く。
「料理も来た事だし昼食としよう」
帝がそう言うと皆が各々の注文した料理を食べ始めた。
「美味しいです」
「美味い!」
「美味しいねえ〜」
「えぇ。本当に美味しいです」
「「「「「美味しい!」」」」」
ユーナ達は一口食べると料理を絶賛している。帝も一口食べて味わう。
「本当に美味いな」
帝が頼んだ物はステーキと野菜スープのセットだ。おまけとしてパンが2つ付いている。
帝は1つのパンを半分にするといつの間にかテーブルに乗り、帝を見上げていた、カリスとオーロの前に置いた。カリスとオーロはパンを前足で持つと食べ始めた。帝は2匹が食べる様子を見て微笑む。
帝がカリスとオーロを見ているとアリアがこちらを見ているのに気が付いた。
「すいません。テーブルに乗せたらいけませんでしたか?」
「いえ、問題ありません。ただ2匹ともミカドさんに良く懐いているなと思って見ていただけですので」
「そうですか?」
「そうですね。貴族や冒険者が連れているのを見た事が有りますが大抵の場合は、首輪を鎖と繋いで連れ歩いているので・・・。
正直な所、無理矢理手懐けている様にしか見えなくて、なのでミカドさんの様に使役魔獣を自由にしてるのが珍しくてつい見てしまいました」
「まぁ、周りに迷惑を掛けない為だと言うのならば繋ぐのは分かりますが、個人としては反対ですね」
「魔獣の為ですか?」
「それも有りますが、きちんと躾をすれば良いだけです。躾が不十分であるから繋いでいる。それはつまり飼い手が能力的に劣っていると言う事です。
飼う能力も無い癖に可愛いから、カッコイイからとふざけた理由で飼う輩がいますが、飼われる側が可哀想で仕方無いです。まぁ、あくまで自論ですが」
「・・・」
帝の魔獣に対する自論を聞いたアリアは黙った。アリアは覚悟を決めた様な顔をすると店員に声を掛けた。
「貴方達、アレを持って来て下さい」
「「「「!?わ、分かりました」」」」
店員達はアリアに言われると急いで部屋を出て行った。言われた時の反応を見ていた帝は重要な話だと思い、アリアに訪ねた。
「アリアさん。アレとは何ですか?」
聞かれたアリアはゆっくりと話し始めた。
「ミカドさんにお願いが有るのです」
「お願い?」
「はい。お願いとは魔獣の卵を受け取って頂きたいのです」
「魔獣の卵ですか?」
「実はとある冒険者の方が発見して、商業ギルドに持ち込まれたのですが・・・。その方曰く「依頼を受けた帰りに見つけた」との事で何の卵なのかも分からず持ち込んだ様です。
確かに商業ギルドは魔獣の卵であるなら最低でも金貨1枚で買い取ります。ですがそれはあくまでも何の魔獣の卵かがはっきりしている場合に限ります」
「・・・つまり魔獣の卵と分かってはいるが何の魔獣の卵か分からない、だから買取りが出来ない。と言う事ですか?」
「はい。その旨を卵を持ち込まれた冒険者の方にお伝えしたのですが「そんなの詐欺だろ!?商業ギルドで分からない物が一介の冒険者ごときが知るはずないだろ!」と言われまして・・・。結果としては買い取りをしたのですが・・・。
確かに商業ギルドはいろんな情報が集まります。それこそ世界で一番の情報収集率だと自負しています」
「・・・なのに分からなかった」
「その通りです。魔獣には我々の様に母胎の中で成長してから産まれる者と卵から生まれる者と2種類に分かれます。商業ギルドが把握している卵には見つかった物と同じ物が有りませんでした」
「商業ギルドが把握していない物の可能性が有るのでは?」
「勿論、その可能性は有ります。ですがそうなると問題が発生する可能性も出てくるのです」
「問題?」
「我々が把握していない魔獣の卵となりますと、発見自体が難しい魔獣か討伐自体が難しい魔獣になります。どちらにしろ何故そこに卵が有ったのか謎ですが・・・。万が一の可能性として討伐自体が難しい魔獣の卵だった場合、親である個体が取り返しに来た時に孵化していなければ良いのですが・・・。孵化してしまった場合、生まれた個体が酷い扱いを受けていたら・・・」
「・・・確かにそうなったらこの国は滅ぼされる可能性が有りますね」
「はい。その為、卵を渡すに値する方を探していたのです」
「それが俺だと?」
「そうです。ミカドさんは勇者様方と同じCランクからの冒険者ですよね?」
「・・・何故それを?」
「商業ギルドにはいろんな情報が集まりますので。それにミカドさんが魔獣に愛情を持って接しているのが見て分かりましたので」
「・・・分かりました。卵を預かれば良いんですね?」
「ありがとうございます」
コンッコンッ
アリアが話し終わるとタイミング良くドアがノックされた。アリアが返事をすると先程部屋から出て行った店員達がカートを押して戻って来た。その様子を見ていた帝は驚いた。
「!?」
何故なら店員が一人一人カートを押していたのだ。そう卵は全部で4つ有ったのだ。
話しを聞いた帝は卵が1つだと勝手に思い込んでいたのだ。
店員達はテーブルの上の食器を片付けると代わりに運んで来た卵を並べた。4つの卵の大きさは30cm程だ。見た目には大きいだけの卵で特に変わった所は無い。
「これが仰っていた卵ですか?」
「そうです。見た目では大きいだけの鳥の卵ですが、商業ギルドや冒険者ギルドで集めた情報では一致する物が有りませんでした」
「それこそ唯の大きいだけの鳥の卵では?」
「それは無いです。1つ目の理由として、これ程のサイズの卵を産む鳥がいません。
2つ目の理由としては特徴が無いのが問題です」
「特徴が無いのが問題とは?」
「この卵は見ての通り大きいだけで真っ白な卵です。我々の知る限りですとこのサイズの卵を産む魔獣には、必ず卵に特徴が有るのです」
「例えば?」
「色々有りますが横縞模様、真鱈模様、色付き、他には形自体が歪だったりと有ります」
「成程。だけどこの卵には何の特徴も無いと」
「そうですね。強いてあげるなら「サイズに特徴が有る」と言う事でしょうか?」
「確かに。サイズだけなら小型の龍や竜に近いのでは?」
「良くご存知ですね。仰る通りサイズだけなら小型種の龍や竜の物と同じですが、違いが有ります」
「その辺は詳しくは分からないのですが、如何いった違いなのですか?」
「龍で有れば属性に応じた魔力を放っています。竜で有れば卵に色が付いています。そもそも龍にしろ竜にしろ人里近くに卵が有ったら大問題ですが・・・」
「確かに龍や竜の卵なら、親が近くにいる可能性が有りますしね」
「近隣で目撃情報が無いので龍や竜の可能性は無いと思いますが、小型種の場合まだ見つかっていないだけの可能性も出て来ます」
「その辺りはこの卵を孵化させてからですかね。孵化した結果、龍や竜が生まれた場合は近隣に小型種がいると見て間違い無いでしょうし、違ったら違ったで生まれた種族に警戒すれば良いだけでしょうしね」
「そうですね。取り敢えずは孵化させてから考えるとしましょうか」
帝とアリアは卵の出生についてはひとまず話がついたが別の問題が発生した。
「ところで質問なのですが」
「はい。なんでしょう?」
「魔獣の卵ってどうやって孵化させるのですか?」




