1話 ついに異世界
転生した異世界で好き放題に生きていく
~チートじゃない?才能です!~
1章 異世界の始まり
1話 ついに異世界
心地のいい風が頬を撫でる。「う~ん?」皇王帝は目を覚ます。
「着いたのか?てか何処だ此処?」
帝が目を開けて周りを見渡す。周りは草原が広がっており道の様な筋が帝から見て左右に直線に伸びている。帝は空を見上げて気づいた。
「・・・でかい木だな」
帝はでかい木の下の根元で寄りかかる様に寝ていたらしい。「樹齢100年は下らないだろうな」そう言いながら立ち上がる帝。
「とりあえず街に向かうか・・・で、どっちだ?」左右に伸びている道はあるが、どちらを向いても続いているだけで街が全く見えないのだ。
「どっちに街があるんだ?適当に進んでもいいが・・・街から遠のいた時は面倒だな・・・」
腕を組みながら考えていると、ふと思い出した。
「そういえば恩恵の入ってる箱は何処行った?」
帝は足元をキョロキョロと見まわす。恩恵の入った箱は真っ白な箱だ。近くに落ちているなら気が付くはずだ。ライラと名乗る世界をつくり出した神様?に異世界に転生させてもらう時にもらったのだが・・・。
「盗まれたか?いやそれはないか。なら何処行ったんだ?」
帝は知らないために箱を探しているがあの箱は帝が異世界に転生した時に恩恵を帝に託して消失していたのだ。そう知らないはずなのだが・・・。
「恩恵を託して自然消滅したか?まぁ俺に託したのは間違いないとして・・・どうやって確認するんだ?そもそも自分で確認出来るものなのか?」
そう言っていると・・・。
(恩恵を確認しますか?)
「!!」
どこからか声がした。
「誰だ?何処にいる!」
声を荒げて周りを見渡すが誰か居るようには見えない。
すると・・・。
(私は貴方の恩恵の一つ、全てを知る者の能力です)
と再び声がした。
(私は脳内に直接、声を送っているので姿は見えません)
帝は冷静になる・・・。
「俺の恩恵の一つと言ったか?他にはどんな恩恵があるんだ?全部でいくつの恩恵があるんだ?」
帝がそう言うと・・・。
(それでは恩恵を表示します)
と告げられた。すると目の前に透明なパネルの様なものが出現する。そこに自分の恩恵と思われる名前が表示されていく。
〈全てを知る者〉〈強欲な剥奪者〉〈限界突破∞〉
〈創造者〉〈神眼〉〈魔眼〉〈探索者∞〉〈観測者∞〉
〈言語理解∞〉〈環境適応∞〉〈全魔法適正〉〈身体強化∞〉〈能力強化∞〉〈倉庫∞〉
「何だこれ?どう言う意味だ?」
(現在所持している恩恵です)
質問した訳では無かったのだが、自分の恩恵である〈全てを知る者〉が教えてくれる。
「全てを知る物?お前に名前の様な物は無いのか?呼びづらくてしょうがないんだが・・・」
(申し訳ございません。名前は無いのでご自由にお呼び下さい)
(名前が無いのか・・・何と呼ぶか・・・)
「全てを知る者・・・オール・・・あ!オウルでどうだ?」
(オウル?)
「ああ、お前の名は今日からオウルだ!オウルとはフクロウと言う鳥でな。そしてフクロウは賢いと言う意味があるんだ」
(分かりました。今から私の事はオウルとお呼び下さい。マスター)
(マスターか・・・まぁ呼び方は何でもいいか)
「早速だが、各恩恵の能力を教えてもらってもいいか?」
(了解しました。まず〈全てを知る者〉は名前の通りこの世界の事全てを知っています。分からない事は何でも聞いてください。
〈強欲な剥奪者〉はマスターを中心とした半径最大100m圏内にいる敵のステータス、恩恵を奪う事が出来ます。
〈限界突破∞〉は成長の限界を超える事が出来ます。本来は〈限界突破〉自体に限界があるのですが〈限界突破∞〉はその限界が存在しません。
〈創造者〉はマスターの記憶にある生物以外の物なら何でも作り出す事が出来ます。
〈神眼〉は対象者の持つ恩恵、ステータスを確認する事が出来ます。
〈魔眼〉は対象の武器・防具の能力を確認できます。
〈探索者∞〉はマスターの探している生物・無機質問わずに探す事が出来ます。
〈観測者∞〉はマスターの気になった生物・無機質にマーキングしていつでも位置を確認することができます。
〈言語理解∞〉はこの世界の言語であれば、どの種族の言語でも理解及び喋る事が可能ですが、魔物や動物は配下にしなければ意思疎通が出来ません。
〈環境適応∞〉はどんな環境にも対応する事が出来ます。
〈全魔法適正〉は文字通り全ての魔法属性を使う事が出来ます。
〈身体強化∞〉はマスターの身体能力を強化するだけですが強化するレベルが底なしです。
〈能力強化∞〉はマスターの持つ恩恵を強化する為の恩恵ですが、こちらも本来なら〈能力強化〉のレベルまでしか強化する事が出来ませんがマスターの場合は底なしです。
〈倉庫∞〉は生物以外なら幾らでもしまう事が出来ます。また中に入れた物は時間が止まりますので腐ったりいたしません。)
オウルと名付けた〈全てを知る者〉が淡々と恩恵について説明をしてくれる。
「色々と質問はあるがとりあえず後回しにしとくとして・・・恩恵の発動はどうすればいいんだ?」
(頭の中で使用したい恩恵をイメージして下さい)
帝はオウルに言われた通りにし早速〈神眼〉を発動する。
「ん?何も見えないが?〈神眼〉は恩恵とステータスを確認できるんじゃなかったのか?もしかして自分の事は確認できないのか?」
帝は自分のステータスを確認しようとしたが何も見えないのでオウルに確認をする。
(いえ。自分のステータスも確認する事はできます。マスターは〈神眼〉発動の際に自身を対象にしていない為、効果が出なかったのです)
「なるほどな。自分を対象にしていないから確認が出来ないのか・・・ん?〈言語理解∞〉は自分に対して常に発動しなきゃいけないのか?」
(いえ。〈言語理解∞〉は常時発動タイプの恩恵ですのでわざわざ発動をしなくても大丈夫です。)
「常時発動タイプ?恩恵の種類か?」
(はい。恩恵の種類になります。恩恵は常時発動タイプ・自己発動タイプの2種類あります。そこからさらに細かく分かれます。今すぐご説明いたしますか?)
「いや。細かい説明は後々聞くとして、今は自分のステータスを確認するのが最優先だな」
帝はオウルに告げると〈神眼〉を自分を対象に発動する。
すると目の前に透明なパネルが現れ文字が表示される。
皇王 帝Lv1
職業 なし 種族 人間(転生者)
HP 122 MP 135 ATK 152 DEF 141
AGI 182 MAG 134 LUK 298
〈全てを知る者〉〈強欲な剥奪者〉〈限界突破∞〉
〈創造者〉〈神眼〉〈魔眼〉〈探索者∞〉〈観測者∞〉
〈言語理解∞〉〈環境適応∞〉〈全魔法適正〉〈身体強化∞〉〈能力強化∞〉〈倉庫∞〉
「ふむLv1か。まぁ、これは予想通りだな。だがこのステータスは・・・表示はなんとなくで分かるが数値が高いのか低いのか分からん」
この世界に転生したばかりの帝には自分のステータスが高いのか低いのか分からなくてもしょうがない話である。そもそも基準値が分からない訳だが・・・。
(マスターのステータスはLUK値以外はこの世界での平均値よりやや高い位です。LUK値はかなり高めです。)
とオウルが説明をしてくれた。オウルが言うには帝のステータスはLUK値がズバ抜けている以外は平均よりもやや高い位であるらしい。
「LUKって言うのは運の事だろ?つまりは幸運って事か?」
オウルにステータスについて質問をする。
(その考えで間違いありません。HPは体力、MPは魔法または体技と呼ばれるものを使用する際に必要な数値です。ATKは物理攻撃力、DEFは物理防御力、AGIは命中率、回避率、素早さです。MAGは魔法攻撃力、魔法防御力LUKは運の数値です。)
ステータスについてオウルが細かく説明してくれる。説明を聞いていた帝は表記的にやはりゲームのような設定だなと思っていた。
(ゲームだとAGI、MAGはもう少し小分けされていた気がするが・・・まぁいいか)
「とりあえずステータスの確認も終わったし、この世界初の人を探すとしますか!」
そう言うと帝は〈探索者∞〉の恩恵を発動させる。すると目の前に透明なパネルが現れ青い点が表示されてゆく。
「ん?青い点は人としても・・・多くないか?」
パネルを見ていた帝が呟いている間にも青い点が次々と表示されていく。
(マスター。すいません。説明不足でした。探索系の恩恵は発動する際に検索指定を細かくしないと大雑把に検索されてしまいます。マスターの場合〈探索者∞〉〈観測者∞〉はこの世界全てが検索範囲内にありますので世界中にいる人が検索されています)
つまり、帝が〈探索者∞〉を発動した際に人で検索をした為に範囲内、つまり世界中の人が検索されたとオウルが説明した。すると「ピピッ」とパネルから音がした。帝がパネルを確認すると検索完了の文字が出ていた。
「この青い点全てが人?・・・これ少なくないか?」
パネルを見ていた帝は疑問を口にした。帝の居た元の世界は直径およそ12700㎞に対して人口は約74億人という数だったが、パネル上の青い点はそこまで多くはない気がするのだ。
(いえ。マスター。この世界は多数の種族が存在しています。人間は約10億人位ですから、これでもこの世界では1番数が多い種族になります)
オウルが人口を教えてくれる。そう言えばライラに転生先の世界を探してもらう時にいくつかの種族を指定したなと思い出した帝は・・・。
「多数の種族って具体的には何がいるんだ?」
とオウルに確認をし、確か人間・獣人・魔獣・悪魔・天使・竜・精霊の7種族を指定したなと思い出していると。
(種族は大きく分けて人間・亜人・獣人・魔獣・魔人・悪魔・天使・竜・精霊の9種族です)
「アレ?」種族が指定した時よりも2種族増えてる事に不思議に思った帝は、つい口に出てしまっていた。
(マスター?どうかしましたか?)
「いや、魔人と悪魔の違いが分からなくてな・・・」
思っていた事を言いながら誤魔化す帝。
(魔人と悪魔の違いは好意的か好戦的かです。魔人は人間・亜人・獣人に好意的ですが悪魔はどの種族に対しても好戦的です)
誤魔化せたかと思い内心ため息をつく帝。帝は種族の指定をしただけなので他の種族がいても何らおかしくも無いのだが帝はその事を考えていなかったのだ。
「大きく分けてと言う事はやはり細かく分けるともっといるのか?」
(種族が増える訳では無いですが、亜人・獣人・魔人・魔獣はいくつかの種族の総称ですので細かく分けると時間が掛かりますが宜しいですか?)
「いや・・・それも後ででいい」嫌な予感がしたので後回しにする。
「とりあえず一番近くの人を探すか」
そう言い〈探索者∞〉を発動し検索内容に一番近くの人間と指定すると「ピピッ」と音がしてパネル上に検索完了の文字が表示される。パネルを確認してみると青い点が3つ表示されている。
「近くで検索したが・・・意外と離れてるな・・・」
縮尺が分からない為、詳しくは分からないがパネルを見た感じだと5㎞~10㎞ぐらいあるような気がする帝。
〈観測者∞〉を発動して青い点3つをマーキングして動向を確認するとゆっくりだがこちらに向かって来ているようだ。
「方向的にはこっちに向かってるのか、とりあえずこちらも向かって行くか!」
そう言うと歩き始める帝。
しばらく歩き続けると大きな森が現れた。
(でかい森だな~)
と思いながら森の横を歩いていた時・・・。
「誰か!誰か助けて!」
森の中から助けを求める声が聞こえた。