11話 完全決着?
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
2章 王都動乱
11話 完全決着?
帝は訓練場の中央へと移動すると軽く準備運動を始める。フェン達3人は帝から10m程離れた位置で構えをとる。
3人が構えたのを確認した帝はローンに声を掛ける。
「ローン。悪いがまた合図をくれないか?」
帝の問いにローンは頷くと、右手を上げ帝とフェン達を確認する。その間も帝が構える様子は無い。
「始め!」
ローンは右手を下ろすと同時に開始の合図を出した。
(皇王流歩法術。瞬閃)
「「「なっ!?」」」
ローンが開始の合図を出した瞬間。帝の姿が消えた。
対峙していたフェン達3人は帝を見失った。周りを見渡すが帝の姿は無く、見当たらない。
「何処に行った!?」
「分からない!」
「〈完全防御〉を発動する。!!!。」
(皇王流格闘術。拳撃の型、参式。衝波掌!)
ドンッ!
「がはっ!」
ヨルンが〈完全防御〉を発動しようとした瞬間。後方へと吹き飛ばされ訓練場の壁に激突する。
「「!?」」
フェンとペイルはヨルンが壁に激突した音でヨルンが帝から攻撃を受けた事に気が付いた。と同時に2人は左右へと跳び、その場からの離脱をするが・・・。
「なっ!?」
フェンの目の前には帝が居た。帝はフェンとペイルが左右に跳び退く事を読んでいたのだ。故に素早く厄介なフェンを先に狙っていた。
(皇王流格闘術。脚撃の型。砲脚)
帝は空中で一回転するとフェンの胴体目掛け蹴りを放った。
「がっ!」
帝の放った蹴りは狙い通りフェンの胴体に直撃し、フェンをヨルン同様に壁に激突させる。
フェンを蹴り飛ばした勢いを利用して帝は着地し、同時に振り向くとペイルへと勢いよく右手を突き出した。
(皇王流格闘術。拳撃の型。空砲)
帝の突き出した拳から見えない衝撃波が飛び出した。
「!?」
ペイルは見えない衝撃波が迫って来るのを感じ取り、咄嗟に大鎌で防御する。
「ぐっ!」
ペイルは防御に成功したものの、着地をしていなかった為に勢いよく後方へと飛ばされ、壁に激突する。
(くっ!?威力はさっきの技ほどじゃないけど、段違いに速い!)
ペイルは魔刃を発動し、帝へと飛ばした。飛ばされた4本の魔刃は不規則に帝へと向かう。帝は4本の魔刃の位置を視認すると右脚を1歩分、後方に下げた。そして横薙ぎに振るった。
(皇王流格闘術。脚撃の型。風刃)
帝が右脚を振るうと蹴りの勢いで風が巻き起こる。その風は三日月の形を成して飛んだ。だがその形は視認するには希薄すぎる。
三日月の形を成した風はペイルの放った魔刃へと迫り・・・切り裂いた。
「!?」
ペイルの魔刃を切り裂いた、帝の技、風刃は勢いを落とさずにそのままペイルにまで迫る。
ペイルは大鎌を縦向きに持ち直す事で風刃を受け止めようとしたが、咄嗟に地面へしゃがみ込んだ。ペイルがしゃがみ込んだ事で風刃はペイルの頭上を通り壁へぶつかる。
ドンッ!
と音が鳴った気がしたが実際には音はせず、風刃は壁に衝突すると霧散した。
「!?」
(霧散した?受け止めたらヤバいと思ったけど思い過ごし?いや、それは無い。魔刃を切り裂いたくらいだから、ヤバかったのは事実の筈・・・。そうか!結界だ!結界はご主人が張った!と言う事はさっきの技は魔刃を切り裂く程の威力が有るけど、結界は壊せないって事!?どんだけ強力な結界なのさ!?)
ペイルが思考に陥っていた。ほんの一瞬の隙を見逃がす帝では無かった。
「戦いの最中の考え事は相手によっては死ぬぞ?」
「!?」
ペイルは帝の声で我にかえる。いつの間にか帝ぎ目の前にはいた。
(皇王流格闘術。脚撃の型。肆式。昇雷)
帝はペイルへ声を掛けると同時に右脚を蹴り上げた。
「くっ!」
ペイルは帝の蹴り上げに反応して両手を交差する事で顔面への直撃を防いだ。だが蹴りの衝撃で体が浮いてしまった。
(追式。降雷!)
帝はペイルを蹴り上げると、右脚を今度は振り下ろし踵落としへと変化させ追撃する。
「がっ!?」
帝の放った踵落としはペイルの後頭部へ直撃し、ペイルを地面に叩きつけた。追撃した帝は数歩下がり、ペイル、ヨルン、フェンの順で様子を見た。
「どうした3人共、もう終わりか?早くしないと時間が無くなるぞ?」
帝の挑発を聞いた3人はなんとか体を起こすが、ダメージが抜けていないのが目に見えている。
「成る程な。絶対なる聖域はHP、MPは回復するが受けたダメージは無くならないのか?」
(前に使った時は傷も回復すると聞いた気がするが?)
オウル:そうです、間違いありません。ですがダメージと受けた傷は別物です。
(認識の違いか・・・。まぁ、一撃で死なない様に加減が出来てるし、結界の中なら死にさえしなければ回復するし問題ないな)
帝が「絶対なる聖域」をオウルに確認している間に、ある程度ダメージが抜けたフェン達が攻撃を再開した。
フェンが〈砲哮〉を使い、ヨルンが〈弓術〉の魔法の矢と連射を使い2人で手数を繰り出し、その間を縫ってペイルが接近して来る。帝は慌てる事なく〈砲哮〉と〈魔法の矢〉を躱し、ペイルを迎撃するべく接近する。ペイルは大鎌を振り上げ、振り下ろす。かと思うと帝目掛けて大鎌を投げ付けた。
「!?」
帝は咄嗟に右に移動する事で大鎌を回避し、ペイルの胴体に左脚で蹴りを放つが予想外の攻撃にタイミングをずらされた為に蹴りに力がこもっておらず、ペイルは少しだけ後方に飛ばされただけに留まった。
帝が追撃をしようと踏み出した時、帝の右側からヨルンの尻尾が迫っていた。
「くっ!?」
帝はヨルンの尻尾を躱す為に跳びだそうとしたが、ヨルンの尻尾に隠れフェンが接近しているのが視界に入った。
(このまま跳んだらフェンに狙われるか・・・なら!)
帝は跳んで躱すのを止めると、直撃寸前のヨルンの尻尾に左手を添えた。
(皇王流格闘術。拳撃の型。参式、衝波掌!)
「痛っ!」
帝の放った技によりヨルンの尻尾は弾かれ波打つ。
「なっ!?」
ヨルンの尻尾が弾かれた事により、ヨルンの尻尾に隠れながら接近していたフェンは尻尾が波打った事で尻尾に弾かれ、体勢を崩してしまった。
「くっ!?ヨルン、少しは耐えろ!折角の奇襲のチャンスが台無しだろう!」
「そんな事言ったってぇ〜。痛いんだよ?無理言わないでょ〜」
「無理でも堪えろ!何の為の〈完全防御〉だ!?」
「ご主人には〈完全防御〉が通用しないの知ってるでしょ〜?あぁ、脳筋の犬っころには分からないかぁ〜?」
「何だと貴様!?誰が犬だ、儂は狼だ!貴様こそ図体がデカいだけの蛇の癖に!」
「言ったねぇ〜?そっちだって犬よりも鼻が良いだけしか取り柄が無い癖にぃ〜!」
「何だと!?」
「何さぁ〜!?」
フェンとヨルンが戦闘中にも関わらず喧嘩を始めてしまった。帝が呆気に取られていると風切り音が聞こえた。
「!?」
帝は咄嗟に屈むと頭上を大鎌が通過して行った。
「ちっ!気付かれた!」
犯人はペイルだ。帝がフェンとヨルンの喧嘩に気を取られている隙を付いたがギリギリの所で気付かれてしまった。
ペイルはすかさず魔刃を発動させ、帝に追撃を仕掛けるが帝は捌きながら魔刃を破壊して行く。
「そこの駄犬と駄蛇!くだらない喧嘩なんか後にして、こっちのサポートしろよ!」
帝がペイルの攻撃を捌いていると、ペイルはフェンとヨルンに対して罵声を言いながら手伝えと言った。
「「あぁ!?」」
馬鹿にされたフェンとヨルンは声を合わせて返事をし、ペイルを罵り返した。
「何だと貴様!?アンデットを使役するしか能がない癖に!」
「そうだよ!アンデットを盾にして後ろの安全な何処から魔法をちまちま打つしか出来ない癖に!」
2人に罵られたペイルの動きが止まった。ペイルは2人の方へ向くと、罵りながら歩き始めた。
「はぁ!?そう言う2人だって私のアンデットを盾にして安全な何処から魔法打ったりしてるじゃん!」
「お前と一緒にするな!儂等は近接戦闘を主にして戦ってるわ!」
「そうだよ!自分達は魔法を打ちながら戦うし、盾にする時だって偶にだし、ペイルと違ってしょっちゅう盾にしてる訳じゃない!」
「結局は盾にしてるじゃん!」
ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあ
「・・・」
模擬戦の途中で喧嘩を始めたフェン達3人。帝は3人を無視してユーナ達の下へと歩き始めた。
帝がユーナ達の下へと辿り着くと先程と同じ様にタオルと飲み水を手渡された。
「済まないな」
「どういたしまして。まぁ、タオルは要らないでしょうが」
「いや、さっきと比べれば多少だが汗はかいたな」
帝はそう言うと水を飲みながら、タオルで頭や顔を拭く。
「そうは見えないけど?」
「ティナの言う通りだ。私にも汗をかいてる様には見えん」
「言ったろ、多少だって?目に見える程の汗をかいた訳じゃない」
「ふ〜ん」
「と言うよりもアレは良いのですか?」
「アレ?あぁ、ほっとこう。時間切れになったのにも気付いてなさそうだしな」
ユーナの言うアレとは勿論フェン達3人の事だ。3人はいまだに言い合いの喧嘩をしており、帝がとっくにユーナ達の下に戻っているのさえ気付いていない。
「ミカドよ、止めなくて良いのか?」
「口喧嘩だけなら気にしなくても良いだろ?殺気を放ち始めたら流石に力づくで止めるが」
ローンの言葉に対して軽く流す帝。
「それよりもヨルンの〈弓術〉による作戦はローンの仕込みか?」
「流石に分かるか。ダメだったか?」
「いや、問題ない。あの3人じゃ思いつかないだろうからな。寧ろ助かるあいつらの攻撃の幅が広がるからな」
「そうかなら良かった。だがアレでもミカドには勝てんか、隙が出来ると思ったんだがな」
「驚きはしたが、隙を作る迄には行かなかったな」
「驚いたのに隙が出来んか・・・。まぁ。この話はここまでにしよう話をしたらキリが無いしな」
ローンは模擬戦の話を切り上げ、別の話を始めた。
「それでこの後はどうするんだ?」
「そうだな。取り敢えずは模擬戦の結果として、フェンとヨルンの武器は使った物と同じ種類。大剣と短剣をそれぞれ2本、後は弓矢を買うとして」
「防具はどうする?」
「防具か・・・。問題はそれだよなぁ。動きを見た感じだと3人共接近戦が主体だが」
「接近戦が主体なら軽装備か?」
「ヨルンは〈弓術〉が有るからなぁ」
「弓を使うなら軽装備でも問題はなく無いか?」
「短剣2本と弓の装備だと嵩張るだろ?」
「そこは諦めるしか無いだろ」
「それにだ。3人共攻撃役だから不安がな」
「蛇の嬢ちゃんは〈盾術〉持ってるだろ?」
「確かにヨルンは〈盾術〉を持っているが、ヨルンに盾役をさせるつもりだと双剣に弓矢と合わせて遠、中、近の全距離になるだろ?それだと合う武器を見定めた意味自体が無くなる」
「確かにそうか、盾の分も余計に嵩張るしな」
「あぁ。だからなるべくならヨルンには短弓で近、中を任せたかったが・・・。あ!」
「どうした?」
「あぁ。すっかり忘れてた」
「何をだ?」
「いやな。模擬戦はあくまで合う武器を探してただけで、見合った戦い方を探してた訳じゃない」
「どう言う事だ?」
「試合前に言ったろ?「魔法は使用禁止」って。つまり3人共、魔法が使えるんだよ。だから別に全距離対応でも問題が無いんだ」
「そういや、言ってたな。確かに魔法が使えるなら戦い方は今の試合とは別のやり方になるのか」
「あぁ。だからローンの言う通り、戦い方は別物になる可能性がある」
「なら3人の装備は好きにさせてやるのが一番だな」
「そうだな。じゃあ店の方に行って装備を見るか」
そう言い帝はいまだに口論をしている3人を呼ぶ。
「3人共、言い合いはその辺にしろ。お前達の装備を見繕いに店に戻るぞ」
帝に呼ばれたフェン、ヨルン、ペイルは言い合いを止め、帝の下へと歩き出した。




