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9話 帝の片鱗

     転生した異世界で自由気ままに生きていく

      ~チートじゃない?才能です!~


          2章 王都動乱

          9話 帝の片鱗


 ローンの合図で模擬戦が始まった。

 開始早々ヨルンは〈絶対防御〉を発動する。それに合わせてフェンが〈超加速〉を使い帝に接近し、その間にペイルが魔力技(アーツ)魔刃(ブレイド)を発動し、4本の剣を生み出す。


 帝は開始早々の3人の動きを観察する。


(思った通りの動きだな。ヨルンは守りに入り、フェンとペイルが攻撃をする。だがヨルンは何で〈絶対防御〉何だ?時間一杯まで自身を守るなら〈完全防御〉の方が良いだろうに?何か狙っているのか。・・・一応は警戒しておくか)


 帝は思っていた動きと若干の違いに少々困惑したが、警戒する事で落ち着きを取り戻す。


「はぁ!」


 フェンは〈超加速〉の速度を乗せ、右手の大剣による上段からの一撃を放つ。帝は半身になる事で躱す。反撃の為、右手の木剣を斬り上げでフェンに放つ。


「迂闊に出過ぎだぞ?」


 しかし、帝の反撃はフェンの死角から現れたペイルの魔刃2本によって防がれた。


 カンッ!


 ペイルの魔刃は帝の木剣を挟む様に防ぎ、フェンを守った。


「!!」


 帝は驚いたが慌てず左手の木剣で突きを放つが、腕を伸ばしきる前に後ろに飛び退いた。と同時に帝の頭があった位置をペイルの魔刃が通過する。


「外した!」


 帝が突きを止めたのは、フェンの足元に魔刃が1本在るのに気付いたからだ。そして帝が飛び退いた先でペイルが大鎌を振るっていた。帝は左手の木剣でペイルの大鎌を防ぐ。


 ガンッ!


「あー!防がれた!普通気付く?!」


 ペイルが大鎌を振るい、連撃を放つ。そこに距離を詰めたフェンが大剣を振り、攻撃を放つ。帝は2人を相手に躱す、捌く、防ぐで凌ぐが防戦一方になってしまう。


(流石に大鎌、大剣2本、魔刃4本の7つを凌ぐのはキツイな!)


 帝はフェンとペイルの攻撃を凌ぎながらもヨルンへの警戒をしていた。


(ヨルンは何を狙っている?隙を狙っているにしても距離がある。

 また、身体を使っての突進か?あれならこのくらいの距離は直ぐにつまるだろうが、フェンとペイルが邪魔だろう?)


 帝がフェンとペイルの攻撃を凌ぎながらヨルンを気にしているとヨルンが自身の背に左手を伸ばした。ヨルンは背から短弓を取り出すと矢を持たない右手を弓に(たずさ)えた。


(弓?矢筒は無いがどうするつもりだ?まさか!)


 帝がヨルンの行動を不審に思っていると、ヨルンは弓術の体技魔法の矢(マジックアロー)を発動させ、放った。


魔法の矢(マジックアロー)だと!いつの間に獲得した!)


 帝はヨルンの行動に驚愕し、ほんの一瞬だけ隙が生まれてしまう。強者であるフェンとペイルがその隙を逃すはずもなく、一気に左右から攻め立て、帝が魔法の矢を左右に躱せないようにする。

 左右から攻め立てられた帝はフェンとペイルの攻撃を木剣で何とか防ぐが、手数が多いので脚で迎撃する事が出来ない。そしてヨルンの放った矢は正確に帝の胴体へと向かっており、このままでは左右に避ける事が出来ずに直撃する。


「くっ!」


 帝は矢が当たる瞬間、その場で一回転し矢を躱した。


「「「「「「「なっ!?」」」」」」」


 左右から攻撃していたフェンとペイル、それに矢を放ったヨルンの他に模擬戦を観ている、ユーナ、アイナ、ティナ、シオン、ローンまでもが驚き声を上げた。

 それもその筈だ。普通なら今のヨルンの攻撃で決まっていたのだ。それを帝は回避して見せた。それもフェンとペイルの攻撃を防ぎながらその場で一回転すると言う、人間離れした動きでだ。

 帝は回転時の遠心力をそのままに左右なフェンとペイルに攻撃を加える。


「「くっ!?」」


 フェンとペイルは帝の攻撃を防いだが、予想外の動きをされた為に勢いを殺しきれずに吹き飛ばされた。


(ここだ!)


 帝は2人を吹き飛ばすと直ぐにフェンへと向かい、右手を振り上げた。フェンは咄嗟に大剣を交差させて防御の構えをとった。しかし帝はフェンの手前、足元へと右手を振り下ろした。


 ドンッ!


 帝は訓練場の地面を叩き砂埃を盛大に巻き上がらせた。砂埃は煙幕へと変わり帝とフェンを飲み込んだ。


「煙幕の変わりって事!?だけどフェンには鼻が有るから意味なんて無いよ!」


 ペイルの言う通りフェンには〈超嗅覚〉が有る。その為、視界が悪かろうと匂いで敵の位置が正確に判るのだ。


主人(あるじ)は何を考えている?儂に〈超嗅覚〉がある事位はわかっている筈。なのに煙幕など意味のない事を・・・)


 フェンが帝の行動を考えていると、〈超嗅覚〉が帝の匂いを直ぐそば、右側から感じ取った。


「そこか!」


 フェンは右手の大剣を横薙ぎに振るうが空を切っただけだった。かわりに横薙ぎにした右手を掴まれた。


「!?」


 フェンが右手を掴まれたと認識した瞬間。フェンの体は右手を軸に持ち上げられ(・・・・・)、そのまま放り投げられた(・・・・・)

 投げられたフェンは砂埃を突き抜け、ペイル目掛けて一直線に向かう。


「ちょっ!?」


 フェンを投げ付けられたペイルはフェンの加勢をする為に、向かっていたため回避が間に合わずに直撃してしまう。

 フェンを投げ付けたとうの本人である帝はフェンを投げると直ぐにヨルン目掛けて走り出していた。ゴンッ!と凄い音が後方でしたが気にせずにヨルンへと接近する。


「くっ!?」


 ヨルンは弓を構えるが帝を狙った瞬間に打つのを躊躇してしまった。何故なら射線上である帝の後ろ(・・)にフェンとペイルが未だに体勢を崩したままで居るからだ。そう帝は煙幕から出る際にフェンとペイルが自身の背後に居る様に位置を調整したのだ。


「なら!」


 ヨルンはそう言うと〈絶対防御〉を解除し〈完全防御〉を発動した。帝の攻撃に備える為だ。それを見た帝は冷静に判断すると右手の木剣を放しヨルンへと手を伸ばした。ヨルンは帝が手を伸ばしたのを観て、しまった!と思ったが遅かった。


 ドンッ!


「カハッ!」


 ヨルンは盛大な音を上げ訓練場の壁に激突すると、口から血と共に肺の中の空気を吐き出してしまう。


「「「「「!?」」」」」


 ユーナ、アイナ、ティナ、シオンの4人。それにローンと模擬戦を観戦していた者達は何が起きたのか分からなかった。それもそうだろうヨルンは〈完全防御(・・・・)〉を発動していたのだから。〈完全防御〉はその名の通り全ての(・・・)攻撃から身を守る恩恵なのだ。故に〈完全防御〉を発動していたヨルンが攻撃を受ける筈が無いのだ。


「何が起きたんだ!?」

「ローンさんが分からないのに私達が分かる訳無いですよ!?」

「ただ吹き飛ばされたとか?」

「ヨルン殿を見た感じだとダメージを受けていないというのは無さそうだが・・・」


 ティナが「実は吹き飛ばされただけ」だと言うが、その場合は当然〈完全防御〉が発動しているためヨルンにダメージは無い。だがアイナの言う通りヨルンはダメージを受けている。その証拠に口の端から赤い血が垂れていた。


 帝が〈完全防御〉をどう破ったのかを知っているのはこの場には3人しかいない。帝の相手をしている3人だ。かつて世界樹の結界の中で戦った3人は帝がどうやって〈完全防御〉を打ち破ったのを知っている。故に何が起きたのかを瞬時に理解した。

 帝は〈完全防御〉を発動したヨルンへと敵意のない(・・・・)手を伸ばし〈完全防御〉を擦り抜けると、そのままの勢いで掌底を打ち込んだのだ。


 ヨルンにダメージを与えた帝は即座にフェンとペイル目掛けて駆け出した。2人は未だに体勢を崩しており、立ち上がれていなかった。


「くっ!?フェン速く退いて!」

「ま、待て!先ず貴様が大剣から降りろ!立ち上がれん!」

「大剣放せばいいでしょ!」

「そ、そうか!?」


(この2人は何やってんだか・・・)


 フェンとペイルがもたついている間に接近した帝は2人の頭に容赦無く木剣を叩き込む。


 ココンッ!と小気味の良い音が訓練場に響いた。


「痛っ!」

「つぅ〜〜〜!」

「さて、どうする?これで勝利条件の1つは達成できないぞ?」


 そう言う帝の足、目掛けて大剣が横薙ぎに振るわれる。


「おっと」


 帝は軽く後ろに飛び退き、これを回避する。大剣を振るった本人、フェンは片手で帝に木剣で叩かれた頭を摩りながら立ち上がった。一緒に叩かれたペイルは大鎌を手放し、両手で頭を摩りながら立ち上がる。両目にうっすらと涙を浮かべながら。


「確かに3人共、攻撃を受けたがまだ終わりではない!」

「そうだよ!ってかやるならもっと加減してよ!普通に痛いんだけど!ヨルンなんか血吐いてんじゃん!」


 言われたヨルンはようやくダメージが抜けたのか、双剣を持ち立ち上がると、フェン達の下に近づいて来る。


「それよりぃ〜。なんで2人はその程度なのぉ〜?こっちは血を吐く程の強さで殴られたのにぃ〜!納得いかないよぉ〜!?」

「悪いな。あのタイミングだと加減が難しくてな。それよりもお喋りしてて良いのか?時間が無くなるぞ?」


 帝に言われ3人は各々、武器を構えるが動かない。


「どうした?来ないのか?」

「ヨルン、ペイル。作戦などもう関係無い!勝利するには主人に一撃入れるか、武器を破壊するしかないんだ!各々好きに動き攻め立てるぞ!」

「了解ぃ〜!」

「了解!そもそもが私達に作戦何て合わな・・・い!」


 フェンが言うとヨルンとペイルが答えるが、ペイルは喋り終わる前に帝目掛け魔刃(ブレイド)を4本共飛ばした。

 魔刃の動きに合わせて、フェンが大剣を持つ手を広げながら駆け出し、ヨルンが地面に擦れるギリギリの高さで双剣を構えて帝に接近する。2人の後ろを追従するペイルが大鎌を構え、帝の動きを注視している。

 帝は魔刃4本を木剣で弾くと前に出た。フェンが左手の大剣を横薙ぎに振るうが帝は大剣を下から叩き上へと逸らさせ、左手の木剣で空いたフェンの横腹に木剣を叩き込む。


「ぐっ!」


 フェンは咄嗟に左手を無理矢理に畳む事で肘で防御するが、帝は続けて左脚で膝蹴りをフェンの左拳目掛けて放った。


「がっ!」


 フェンは堪らず左手に持った大剣を手放してしまった。帝は左手の木剣を手放すとその大剣を掴み、ペイルへと投げ付ける。


「くっ!」


 ペイルは大鎌で大剣を叩き落とすが、足を止めさせられた。その隙に帝は左手で宙に舞う木剣を掴むとヨルンの迎撃に移る。ヨルンは双剣で斬りかかるが木剣で受けられ勢いごと帝の右側に逸らさせた。

 帝がヨルンの空いた背中へ右脚で蹴りを放つが、ヨルンは尻尾を伸ばして防御する。そこに大剣を拾ったフェンが右手の大剣で帝の背後から横薙ぎを放つ。帝はフェンの攻撃を右手の木剣で捌こうとしたが、フェンの背後からペイルが迫っていたので攻撃を防御する事でフェンがペイルの邪魔になると思い、受け止める事にした。が其れは間違いであった。

 フェンの攻撃を防御した帝だがペイルの狙いは帝が持つ右手の木剣だった。ペイルはフェンの右側から大鎌を振ると、帝がフェンの攻撃を防御した木剣をフェンの持つ大剣と挟む様にし、思い切り大鎌を引いた。


バキッ!


 するとただの木剣は何の抵抗も無く折れてしまった。


「!?」


 帝は木剣を狙われているとは思わなかった為に、木剣への注意が逸れていた。その隙をペイルは狙い木剣の1本を破壊したのだ。

 帝が折れた木剣を手放し、腰の左側に備えた木剣に手を伸ばすが

ヨルンが帝の右手に尻尾を巻き付け邪魔をする。


「させないよぉ〜!」

「くっ!」


 帝は右手を封じられたので左手の木剣を右手に移し、左手で腰の右側の木剣を掴んだ。しかしフェンが左手の大剣を手放し帝が左手で掴んだ木剣の剣身部分を掴み握り潰した。


「甘いぞ主人!」

「なっ!?」


 帝はあっという間に木剣を2本も破壊されてしまった。

 帝はヨルンを振り解こうとするが、巻き付けられた尻尾の力は強く全く解けない。その隙にペイルは帝の正面に移動し、大鎌を振り上げながら魔刃を帝の左側から飛ばす、フェンは帝の背後から大剣を左右から横薙ぎに振る、ヨルンは帝の右側から双剣を構え斬りかかる。


(くっ!どうする!?右手は捕まり振り解けない!このままだと直撃する!)


 帝が4方向からの攻撃を受ける直前、帝の体は脳が指示を出すよりも先に動き出した。帝は地面を蹴り、捕まっている右手を軸にし宙返りした。帝が宙返りをした事でペイルの大鎌は空振りし地面へと刺さり、フェンの大剣は地面に刺さったペイルの大鎌を左右から勢い良く挟み込んだ。


ガキンッ!


 フェンの持つ大剣とペイルの持つ大鎌がぶつかり、盛大な音を立てた。

 帝はフェンとペイル目掛け蹴りを放つ。フェンとペイルは首を傾げる事で回避を試みるが、ヨルンが尻尾を引いた為に帝の蹴りが届くことは無かったが、代わりにフェンとペイルは無駄な動きを行なってしまった。

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