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8話 作戦会議

     転生した異世界で自由気ままに生きていく

      ~チートじゃない?才能です!~


         2章 王都動乱

         8話 作戦会議


 帝がフェン達との模擬戦をどう戦うか考えていると後ろから声を掛けられた。


「こんな所で何してんだ?」


 帝が後ろを振り向くと訓練場から来たローンが立っていた。2人は話しながら訓練場へと向かう。


「3人との模擬戦をどう戦うかを考えていた」

「あぁ。成る程な。確かにあの3人は強いからな。だが良いのか?お前さんはあの3人よりも強いだろうがそれは1対1(タイマン)での話だろ?それを3人まとめてなんて」

「構わない。と言うかまとめてでないと困る」

「困る?どう言う事だ?」

「訓練場でも言ったが、この模擬戦は3人の連携を見るために行うのであって、3人まとめてでなければ意味が無い。

 1対1(タイマン)でやったのは武器が合っているかの確認と個々の強さ、対応力の確認だ」

「つまり模擬戦は3人の連携と対応力の確認って訳か」

「そう言う事だ」


 訓練場に続く扉を開け、足を踏み入れた帝。帝がフェン達を見ると3人は既に武器を手に準備して待っていた。3人はヨルンを後ろにし、ヨルンの右前にフェン、左前にペイルが立っている。更にヨルンは背に弓を帝から見えない様に担いでいた。


「時間だが、作戦は決まったか?」

「勿論!準備万端だよ!」

「ペイルの言う通りだ。こちらはいつでも始められる」

「絶対勝つよぉ〜!」


 3人はヤル気満々の様だ。


「なら始める前に一応ルールの説明をするぞ。

 3人の勝利条件は3つ。1つ目は、時間内に3人の内の誰かが俺に一撃与える事。

 2つ目は、時間内に誰か1人でも俺から攻撃を受けない事。

 3つ目は、時間内に俺の武器、木剣を4本とも破壊する事。

 以上の3つの条件の内いずれか1つでも達成で3人の勝利とする。

 俺の勝利条件は時間内に3人から攻撃を受けない、武器を4本とも破壊されないの2つだな」

「ん?儂等は攻撃を受けても敗北にはならんのか?」

「それだと直ぐに終わっちまうからな。それじゃ模擬戦の意味が無いからその条件は無しだ。後、俺は本気は出さないからな?」

「ご主人。いくら何でも私達の事舐めすぎじゃない?」

「あくまで模擬戦だからな。俺と3人の戦力差を考えると今の3人じゃ、俺が本気を出したら瞬殺しちまうぞ?」

「「「・・・」」」


 帝が言うと3人共黙ってしまった。


「安心しろ、その為に俺は本気を出さないんだ」

「・・・つまり主人(あるじ)に本気を出させても儂等の勝ちと言う事か?」

「うん?そうなるのか?まぁ、それも3人の勝利条件で良いだろ。

 じゃあ、3人の勝利条件に俺に本気を出させたら。も追加って事にするか。それじゃ始めるとするか!」


 そう言うと帝は木剣を4本持って3人から距離を取る為、離れて行った。

 3人から10m程離れると、帝は立ち止まり3人の方を向く。木剣を1本ずつ左右の腰に差し、両手に1本ずつ持ち構えた。


「3人共、準備は良いか?」

「いつでも来い!」

「いつでも良いよぉ」

「いつでも良いよ!」

「それじゃあローン合図を頼む」

「ん?まぁ、構わんが。それでは・・・始め!」

「行くぞ!」


 この時、帝はフェン達3人のステータスを確認しなかった。その為に気付く事が出来ずに苦戦を強いられる事になるとは思いもしなかった。

 時は帝が訓練場を出る所まで(さかのぼ)る・・・。



「さて、作戦会議と言ってもどうしたものか?2人は何か案はあるか?」

「って言ってもねぇ〜。自分とフェンはぁ〜武器を使うのが初めてな訳だしぃ〜?」

「ペイルは良い案は無いのか?」

「う〜ん。取り敢えずは私とフェンが前衛の方が良くない?最悪ヨルンが開始直後に〈完全防御〉を発動して30分耐えれば良いんだしさ?」

「それもそうか」

「だけどぉ〜。ご主人相手に通用するかなぁ〜?」

「どう言う意味だ?」

「いやさぁ〜。前に戦った時にぃ〜、攻撃と認識しない攻撃で〈完全防御〉を擦り抜けたからぁ〜。・・・また同じ目にあいたくは無いんだけど?」


 そう言うヨルンはジト目でフェンとペイルを見る。


「あ〜。そうだったな。ヨルンはあの拷問を受けていたな・・・」

「確かにアレは拷問でしか無いね・・・」

「「「はぁ〜・・・」」」


 ヨルンの言葉にフェンとペイルは帝の素材集めと言う名の拷問を思い出したのだろう。フェン、ペイル、ヨルンは俯き、溜息を吐いた。


「ならどうする?主人の強さは儂等3人が身を持って知っているぞ?正直言って時間内に一撃も受けない自信が無いぞ?」

「だよねー。3人で攻め続けても当てられるか分からないしねー。

 せめて2人も魔刃(ブレイド)が使えればなー。私と違って本数も多いだろうから、手数が増えて攻撃を受けない可能性が高くなるんだけどなー」

「今から練習するか?」

「無理無理!時間が足りないよ!4本操るのだって大変なのに、2人はそれ以上を出しながら戦うんだよ?到底扱えないよ」

「そうか、どうしたものかな・・・」


 フェン達3人が悩んでいると意外な所から声が上がる。


「蛇の嬢ちゃんは〈完全防御〉が使えるって事は〈絶対防御〉も使えるのか?」


 ローンの発言にフェン達3人は一斉に振り向いた。


「それがどうかしたのぉ〜?」

「いやな。〈絶対防御〉が使えるなら、もしかすると「時間内に誰か1人でも攻撃を受けない」って勝利条件は満たせるかも知れんぞ?」

「本当か!?」

「本当!?」

「本当〜!?」


 フェン達3人は驚愕しローンに詰め寄る。


「どうすれば良い!?」

「早く教えて!?」

「早く教えないと締め殺すよぉ〜!」

「教える!教えるから締め殺さんでくれ!」


 ローンがそう言うと3人はローンから離れ、聞く体勢に入る。


「まず確認だが、蛇の嬢ちゃんは半蛇人(ラミア)で間違いないか?」

「そうだけど?」

「なら話は早い。亜人の里には12亜将って勇者みたいのが居るんだが、その内の1人が大蛇人(ピュトン)と言う半蛇人の上位種が居るんだ。で聞いた話だが何でもそいつが〈絶対防御〉を発動しながら動き回って、仲間を守りながら戦うらしい」

「〈絶対防御〉を発動しながら動き回るぅ〜?別にそれは出来なくも無いけどぉ〜?〈完全防御〉じゃダメなのぉ〜?」

「確かに〈完全防御〉の方が使い勝手は良いが、1日5回の制限が有るだろ?それに「視認出来ない攻撃も防御可能」とあるが、仲間を守るのに視認出来ない攻撃から誰を守るんだ?」

「確かにそうだな。視認出来ない攻撃なんだから、誰を狙っているかも判断出来んな」

「でもさー。視線とかで何処を狙ってるとか分かるよね?」

「確かに鎌の嬢ちゃんの言う通りだ。だが視線なんかで分かる動きをする奴は低ランクの冒険者だ。ミカドには通用しないだろうな」

「つまりぃ〜。〈完全防御〉は自身を守るのには最適だけどぉ〜、他者を守るなら〈絶対防御〉の方が向いてるって事ぉ〜?」

「端的に言えばそう言う事だな」

「それでヨルンは〈絶対防御〉を発動し、儂等を守りながら戦うと言う事か?」

「そうだ。だが、それだけでは足りんだろうから。蛇の嬢ちゃんには〈弓術〉を獲得してもらう」

「〈弓術〉?そんな物獲得したところで、低レベルでは主人には通用しないだろう?何の意味があるんだ?」

「そうだよぉ〜。弓なんて使った事無いから意味無いよぉ〜?」

「通用はしないだろうが、効果は的面だと思うぞ?」

「どう言う意味だ?」

「〈弓術〉、と言うか弓と銃に言える事だが、この2種類の武器は上手い奴なら高確率で当てるだろう。だが下手な奴が使うと真っ直ぐに射つより狙った所に射つ方が余程難しい。これを利用するんだ」

「つまりは牽制に使う、と言う事か?」

「そうだ。ミカドが言ったルールなら、時折真っ直ぐに飛ぶだけで警戒するだろ?何せミカドは一撃でも受けたら負けなんだからな!」

「確かに!何処に飛ぶか分からん以上、気にしなくてはならない!その上で儂等も攻撃すれば主人の注意を多少は逸らせる!」

「挙句こっちには鎌の嬢ちゃんと魔刃(ブレイド)が4本あり、大剣の2本による手数がある!これら全てが同時に向かったら流石に捌ききれないだろ!」

「成る程!」

「それに蛇の嬢ちゃんは〈絶対防御〉を〈完全防御〉に切り替えて、ミカドへ体当たりをかましても良いしな!」

「「「おぉ〜!」」」

「後はミカドの武器破壊を狙うなら、攻撃する際は必ず鎌の嬢ちゃんが魔刃を使って挟む様に左右から攻撃する事だな」

「挟む様に?」

「あぁ。武器の扱いに長けてる奴は武器の耐久力を気にしながら戦うんだ。その為、相手からの攻撃を受ける際に捌くか逸らすで武器のダメージを極力減らすもんだ。

 ミカドの戦い方を見た感じだと、あれはかなり使い慣れてる」

「成る程な。だから捌く事も逸らす事も出来ない様に、挟む様に攻撃をする訳か」

「あぁ。そうだ」


(まぁ。挟む様に攻撃しても回避の手はあるにはあるが・・・。多分大丈夫だろう)


「それでは方針としては第一にヨルンが〈絶対防御〉を発動し、儂等を護りながら戦う。そして弓を使い、牽制をする。

 第二に儂の攻撃に合わせペイルが魔刃を使いながら主人の武器破壊を狙う。

 第三にここぞどう言う時にヨルンが〈完全防御〉に切り替え攻撃に参加し、一気に攻める。と言ったとこか」

「後、蛇の嬢ちゃん。弓を射つ時は身体を上に伸ばして、天井に近いとこで射った方が良いぞ?」

「何でぇ〜?」

「その方がミカドの動きが見やすい上に、反撃され難いからな。嬢ちゃんに反撃する為に跳んだら、他2人の格好の的だからな」

「成る程ぉ〜。じゃあそうするぅ〜」

「後は矢をどうする?矢筒なんか持ってたら、弓持ってんのもバレちゃうよね?」

「あーそれは大丈夫だ。〈弓術〉のレベル1で魔法の矢(マジックアロー)って体技を覚えられる。魔法の矢はMP(マジックポイント)を消費して矢を創るから、別に矢筒を持つ必要は無い」

「へぇー。そうなんだ。便利だねー」

「そうでも無いぞ?魔法に耐性がある奴だと効きづらいから、普通の矢を持ち歩かなきゃならんし。まあ、今回に限ってはその必要が無いから便利だがな」

「そうなんだぁ〜。相手によって変えなきゃいけないんだねぇ〜」

「いや。普通、冒険者はそうなんだが・・・。」


 ローンの言ってる事は正しい。冒険者、と言うよりも戦いを生業としている者達からしたら至極当然の事だ。魔獣にも種類があり、物理攻撃、魔法攻撃に弱い者がいる。当然の様に逆に物理攻撃、魔法攻撃に強い者もいる。そう言う魔獣に対応すべく、普通は両方の攻撃が出来るように準備をするのだ。物理攻撃が得意な者は魔法関連の魔道具等を用意し、魔法攻撃が得意な者は物理関連の魔道具を用意したりと、だがあくまでもこれは1人で戦う為の準備だ。当然、金銭面で負担が掛かる。

 その為、普通はパーティーを組む。物理攻撃に特化した者、魔法攻撃に特化した者と組む事で対応に掛かる負担を減らす為だ。

 勿論、それ以外にも利点はあるが今は関係無いので話しを戻す。


 冒険者にとって常識の事だがフェン達3人はついさっき冒険者になったのだ。知らなくて当然である。そもそも3人は物理攻撃も魔法攻撃も出来る為「効きづらければ別の攻撃をする」と言うスタンスだ。俗に言う脳筋スタイルだ。


「まぁ、良いか・・・。今は関係の無い事だしな。そう言う面倒なのは後々覚えていけば良いだろ。取り敢えず蛇の嬢ちゃんは時間ギリギリまで弓の練習をして、真っ直ぐ飛ぶようにするしかないな」


 そう言いローンはヨルンに弓の使い方を時間一杯まで教えた。


「そろそろ時間だな?じゃあ儂はミカドを呼んでくる。嬢ちゃん達は準備して待ってな」

「絶対に勝つぞ!」

「勿論〜」

「当たり前だよ!」

「頼もしい事で。まぁ、頑張れよ!」


 そう言いローンはミカドを呼びに訓練場を後にする。

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