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序章 3話 ようやく旅立ち

            転生した異世界で好き放題に生きていく

             ~チートじゃない?才能です!~

                    序章

              3話  ようやく旅立ち


「・・・転生ですか?」

 帝の転生出来るのか?と言う唐突な質問に対してライラは反応が遅れてしまった。


「あぁ。蘇生は無理なんだろ?なら転生はどうなんだ?」

「確かに転生は出来るには出来ますが・・・同じ世界に転生となりますと、記憶の削除をして新たな命として生まれると言う形になります。分かりやすく言うと輪廻転生になりますが宜しいですか?」

 ライラの説明を聞いていて帝は、それは・・・と思う。確かに同じ世界に転生となるとそれは輪廻転生に乗っ取った形になるため、生まれ変わる。になる訳だ。だが帝はふと思い疑問を口にする。

「同じ世界なら生まれ変わる訳だろ?なら異世界ならどうなんだ?転生できるのか?」

 同じ世界だと輪廻転生になる。それでは生き返らせてもらっても記憶が無い為にライラへの感謝の気持ちも持てずに生きて行く事になる。まぁ記憶が無くなるのだからライラの事も忘れるわけだが・・・。流石に生き返らせてもらうのに記憶が無いからと言って感謝しないのは人としてダメな気がする。そう思った為に質問してみたのだ。


「異世界ですか?出来なくは無いですが・・・そのですね・・・」

 帝の質問にライラは困った顔で首を傾げながら「ん~」と唸っている。

「やはりダメか?」

「いえ。別にダメと言うわけでは無いのですが・・・。世界がいくつもあるので、どの世界が良いのかと思いまして・・・」

 帝は世界がいくつもあると言われて思い出した。確かに説明をしている際にライラは自分一人では管理しきれない為に神と言う名の管理者を生み出したと言っていた。つまりは管理者の数だけ世界は存在している訳になるのだ。

「大体でどれくらいの世界が存在しているんだ?100や200じゃ無いとは思うが・・・」

「そうですね・・・確か倍々で増やして行ったので~・・・。50回くらい倍にした記憶はありますが・・・そこから先は覚えてないですねぇ~」

「!!!」

 帝は話を聞き今までの話の中で一番の衝撃を受ける。

「倍々で増やしてそれを50回だと!最低でも兆の単位だろ!あげくにそこから先は覚えてないだと!?一体どれだけ作ったんだ!?」

 細かく計算する気にもならないほどの途方もない数の世界を作ったと言い放つライラに声を荒げてしまった帝。それも仕方の無い話である。作った本人が覚えてる限りでも兆の単位であるのだ。更にはその後にも作ったが覚えてないと言うではないか、それでは聞かされた方は声を荒げてしまっても仕方ないと思われる。


「ただ作るのが楽しい時期がありまして・・・気が付いたら大変な事になってました・・・てへ」

 そう言い可愛らしく舌をだすライラ。

「てへって・・・お前なぁ・・・」

 ライラの態度を見ていて何を言った所で無駄だと理解した帝は深いため息をつくのだった。

「まぁいいか・・・とりあえず俺としては好きな異世界に転生させてもらえるのかが気になるのだが?」

「それは勿論!ご要望があればどんな世界にでもお送りしますよ!」

 任せて下さい!と胸の前に両手で拳を作るライラ。

「どんな世界でもって・・・まあいいや。とりあえず、どういう世界があるんだ?」

 聞いておいて変な世界ばかりだったらどうしようと考えてしまう帝。


「そうですね。例えばロボットが世界を統一していて人間は家畜同然の世界とか、世界の半分は極寒で半分は灼熱とか、地上は毒ガスで人が生活出来ない環境の為、地下で暮らしている世界とか後は・・・」

「ちょ!ちょっと待て!何だその世界は!そんなとこに送られても生きていける自信なんて無いぞ!即座に死ぬの確定だろ!普通のは無いのか!普通のは!」

 ライラがいくつかある世界を思い出しながら説明している中、帝は話を遮って抗議する。

「普通ですか?えっと・・・何を基準にした時の普通ですか?帝さんの居た世界ですか?」

 帝は額を抑えながら溜息を吐いた。ついつい忘れがちになる帝だがライラは外見では想像できないが神を生み出すほどの存在なのだ。その様な存在に普通と言った所で自分の普通とはまったくもって違うという事に今更になって気づいたのだ。

「そうだな・・・俺の居た世界と一緒だとつまらないからなぁ。ゲームや漫画、アニメみたいな世界とかになるのか?」

 自分で言っていて、どんな世界だと考えてしまう帝。


 するとライラは考えながら少しずつ口にし始めた。

「ゲーム、漫画、アニメですか?そうなりますと・・・例えば都市化が進んだ近未来の世界とか人間が体を機械化している世界とか異能を持った人達が世界を手に入れるために争い続ける世界とか?」

 説明をしていたライラが首を傾げながら話を中断するとこちらに確認をとる。

 腕を組み帝は考える。


(確かに、今言われた世界ならばゲーム、漫画、アニメのような世界だが・・・何故だろう。全く興味を惹かれないな。)


 考え込む帝を見ていたライラが「それでしたら。帝さんがこういうのが良いなと言って頂ければ検索しますが?」

「そんなことも出来るのか?」

「出来ますよ?作り出した世界はいくつもありますから探す時に条件を指定して検索すれば条件にヒットした世界がリストアップされますので」

「なら、人間がいるのは最低限として、異能もしくは特殊能力がある。あと獣人とか魔獣、天使に悪魔もいると面白いか?あとは・・・竜が居ても良いか・・・そうだなぁ・・・他には・・・」

「ちょ!まっ!待って下さい!」

 帝がスラスラと条件を出していく中、ライラは慌てて待ったを掛ける。


「ん?どうした?」

 そう言ってライラの方に顔を向けると。いつの間にかライラの手元には半透明のパネルが出現していて「条件が多いので指定するのに時間が・・・」そう言いながらライラは帝の出した条件を慌てて入力?するような動きをせわしなくしている。

「えっとぉ・・・獣人に魔獣・・・天使に悪魔、竜・・・でしたか?」

 帝の出した条件を入力?し終わって「ふぅ・・・」と一息ついて指を左右に振って筋肉をほぐしながら、ライラは確認を取る。

「あとは・・・ダンジョンも潜ってみたいなぁ・・・あ!魔法!魔法も使ってみたいな!・・・魔法と言う事は精霊とかも必要になるか?」

 帝は更に思いついたことを言い始める。それを聞いていたライラは「まだあるんですかぁ~?」と呆れた顔で帝を見ている。

「何言ってんだ?条件を指定してくれって言ったのはライラだぞ?言ってくれと言われれば遠慮なく言うぞ?それに俺が行く世界だろ?なら後悔したくないからな」

「確かにそうですが・・・条件が多いと検索にヒットするのか私でも分かりませんから・・・」

 座っている位置的にパネルの裏側にいる帝はよく見えないが数字がどんどん減っていってるのは確認できた。


(すごい勢いで数が減ってるんだが大事かアレ?ちょっと欲張ったか?いやでも後悔はしたくないしなぁ・・・検索ヒット・・・するよな?)


 そんな事を考えていると「ピピッ!」とパネルから電子音が鳴った。帝は少し間を開けてから「検索終わったのか?」とライラに声をかけた。

「ふぅ・・・やっと終わりましたよぉ~」


 疲れ切ってテーブルに突っ伏しているライラに対して「お疲れさん」と帝は声をかける。

「本当に疲れましたよ~欲張りすぎですよ~」ライラはそう言うと、帝と自分の前にどこから出したのか、お茶を出すと飲み始めた。それを見て帝も飲み始める。


 一息ついたライラが「検索は終わったのですが・・・2つの世界がヒットしまして・・・」と帝に困った顔を向ける。

「2つの世界がヒットしたのか?2つの世界はどこがどう違うんだ?」2つと言う事は片方には何かが無くて、片方には何かがあるのだろう。そう思って質問すると「戦争がある世界、無い世界です」とライラは告げた。


「戦争がない?自分で言っておいて何だが・・・種族はそれなりにいると思うんだが?それだけいたら争いは大なり小なりあると思うが・・・」

 帝の言う通りそれなりの種族がいれば普通なら争いが起きるはずだ。なんせ帝のいた世界では人間という人種しかいないのに何度も戦争を起こしているのだ。その為、帝はそれだけの種族がいれば必ず争い事があるはずだと思った。その為に聞き返したのだ。

「知恵があるか、ないかですね。簡単に言えば賢いか馬鹿かと言う事です。」

「えぇっとぉ・・・?」

 帝はライラの返答を聞いて間の抜けた返事をしてしまう。

「つまりは争い事をするだけの頭があるかないかと言う事ですね。賢い方の世界に行くと戦争はありますが言葉による意思疎通が出来ます。馬鹿な方の世界に行くと戦争は無いですが言葉の概念が無いので意思疎通が一切出来ません。さて、どちらがいいですか?」

「その説明をして馬鹿な方の世界に行くと思うか?行く訳がないだろう?確かに戦争・・・と言うよりは争いが無いのは正直、惹かれるが言葉の概念が無いんじゃ選択肢に入らないな」

 ライラも聞いておいて「ですよねぇ・・・」と苦笑している。


「それでは異世界に行く際の注意事項をいくつかさせていただきますね」そう言うと「コホン」と咳払いをして姿勢を正すライラ。


「まず1つ、万が一転生先の異世界で死んでしまった場合は魂が消滅しない限りは私のもとに戻って来れる様にしておきます。だからと言ってばかすか死なないで下さいね?

 2つ、今から行く異世界の神様つまり管理者は基本、放任主義なので期待しないで下さい。まぁ管理者に頼らなくてもいいように帝さんの能力は私が底上げしますので心配しなくても大丈夫ですが。

 3つ、これが一番大事なのですが異能もしくは特殊能力と帝さんはおっしゃいましたが今から行く世界ではそれらの力を恩恵と呼んでいます。この力は知恵のある生物は全てが何かしらの恩恵を持っています。大まかな説明はこれくらいですかね?」

 注意事項を聞いていた帝は「なるほどな、理解はした。で質問だが・・・その恩恵とやらをライラは何かくれるのか?」

 帝の質問に対して「別に構いませんよ?と言うか先ほども言いましたが知恵ある生物は必ず持っているので、逆に持っていないとかなり怪しまれますので何かしらの恩恵を与えるつもりでしたよ?」

「確かにそれもそうか。みんなが持ってるのに俺だけ持ってなかったら変だもんな。で、どんなのくれるんだ?」そう言うと手の平を上に向けてライラの方に差し出した。

 その様子を見てライラは呆れた顔をするが、まぁいいかと思う。「それでは」と言うとテーブルの上に白い箱を2つ置いたライラ。

 何だこの箱?と思っていると「これには恩恵が入っています。片方は恐ろしく強い恩恵が、片方は恐ろしく弱い恩恵がどちらが良いですか?」

「何故にクジ?」そう言いながら適当に右の箱を選んだ帝。「では恩恵も選んだことですし、転生と行きますか」

 そう言うと椅子から立ち上がり、再びパネルを出して何やら操作するライラ。すると帝の体が白く光り始める。


「帝さん。良い旅を」笑顔でそう言うライラ。

 そして笑顔を崩すと深々とお辞儀をして「最後に本当に申し訳ありませんでした」と謝罪するライラ。

 帝は「気にするなって言っただろ?それじゃぁ、行ってくる!」そう言い放ち手を振る。

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