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1話 規格外冒険者


     転生した異世界で自由気ままに生きていく

      ~チートじゃない?才能です!~


         2章 王都動乱

        1話 規格外冒険者


 王都トレランシアに到着した帝達は、冒険者ギルドに向かっていた。街中ですれ違う者達は皆が一様にこちらを見ている。人間、獣人、亜人問わずに、正確に言えば馬車の荷台に居るシオン、エルフ達を見ている。普段であれば、この様な事は滅多に無い。王都トレランシアは3つの種族が共存している為、種族が違う者が居てもあまり気にしないのだ。だがエルフは珍しい。その為、奇異の目で見られてもしょうがないが、遠慮なしで見てくる。


「見られてますね・・・」

「見られてるな・・・」

「見られてるね〜」

 御者台に居るユーナ達が言う。因みに今はティナが御者をしている。

「ティナ。冒険者ギルドはまだなのか?」

「もう少し〜そろそろ見えると思うよ〜」

 ティナに言われて前方を確認する帝だが、それっぽくデカい建物が3つある為、どれか分からない。

「見えたよ。アレアレ!」

「どれだ?」

「赤い屋根のが冒険者ギルドだよ!」

 帝は赤い屋根と言われようやく分かった。似た建物の内、赤い屋根は1つだ。他の2つは青い屋根と黄色い屋根だ。3つの建物はどれもデカく、同じ様な造りになっている。

「他の2つは何だ?」

「青い屋根のは探索ギルドで〜黄色い屋根のが商業ギルドだよ〜」

「商業ギルドは聞いたが、探索ギルドって何だ?」

「探索ギルドとは世界にある遺跡や迷宮(ダンジョン)に入る探索者の登録をしていて、登録した者しか入れない様に管理するギルドです」

 帝の質問にユーナが答えてくれる。

「入るのに管理って事は入場制限があるのか?」

「それも有りますが、出入りした際のパーティーの人数、入った人の確認が主な理由です」

「人数の確認?何の為に?」

「人数が減ってる分には死んだで済みますが、増えていた際には中で何かが起きてパーティーが崩壊、そして生き残った人が他のパーティーに助けて貰うと言う場合です。それを把握する為の確認ですね。誰が死んでしまい、誰が生き残ったとか」

「成る程。登録は複数しても良いのか?」

「問題無いですよ?ただ登録にはお金が掛かりますけどね。後、冒険者と探索者の登録は無料ですが商業ギルドの方は金貨1枚です」

「金貨1枚?高くないか?」

「商業ギルドは冒険者や探索者と違い商人、つまりは商業をする者が登録しますから高いんですよ」

「成る程な。店を開いて儲けたいなら登録料くらいでケチるなと言う事か」

「そう言う事です」

「冒険者と探索者が無料なのは?」

「その2つは正直言えばいつ死ぬか分かりません。なので登録料を取るのは酷いと言う事らしいです」

「確かにな。それは良心的だな」

「着いたよ〜」

 帝がユーナに色々と聞いてる間に冒険者ギルドに着いた様だ。冒険者ギルドを近くで見ると思った以上にデカかった。横幅だけで100mはありそうだ。奥行きは分からないが、入り口だけでも縦横3m程ある。

 ティナが馬と馬車を何処かに置きに行った。後から聞いた話だが馬と馬車はギルドで貸し出しをしており、お金を払えば貸してくれるらしい。


 ティナが戻って来たので帝達は中に入った。ギルドは2階建てで、吹き抜けになっていた。ギルドの1階は入って正面と左右の壁側にカウンターが有り、受付が3つずつある。正面で依頼の受付や報告、冒険者の登録をする。右側の受付は魔獣の素材の買取。左側は飲み食い場、つまりは定番である酒場だ。ユーナ達は正面のカウンターに向かっている。帝が見渡しながら後をついて行くと、周りの声が聞こえてくる。

「新入りか?」

「あら。結構可愛いじゃない」

「可愛いって言うより、カッコイイじゃない?」

「それよりアレ。エルフだろ?」

「何でエルフがこんな所に居んだ?」

「人数が多いから。奴隷になりそうな所を助けたとかじゃねえのか?」

「それもだけどよ?あの男の背中のとこ動いてないか?」

「ああ見えて、有翼人なんだろ?」

 此処でもシオン達が注目される。朝早い為、人はあまり居ないがそれなりの人数が居た。男の冒険者はシオン達エルフを見ているが、女の冒険者は帝を見ている様だ。何人かの冒険者は帝を、と言うより帝の背中を見ている様だが。


 カウンターには受付の職員以外が少なく、直ぐに帝達の順番が来た。

「どの様なご用件ですか?」

 受付の女性が尋ねるとユーナが依頼の報告をする。

「森の調査の依頼報告と道中保護した方々の報告を」

「保護されたのはそちらのエルフの方々ですか?」

「いえ。他の4人もです」

「分かりました。それでは奥で報告の詳細をお願いします」

「分かりました」

 受付の女性が伝えると、ユーナは別の職員に案内されて別室に向かう。その様子を帝が見ていると受付の女性が話しかけて来た。

「お連れの方々と保護された方々は如何なさいますか?」

「それじゃ。俺とこっちの3人は冒険者の登録をしたいのですが、良いですか?」

「分かりました。それではこちらに・・・」

「あ、あの!私も良いですか!」

 そう言いシオンが話に入ってきた。

「シオンが良いなら俺は構わないが?」

 そう言い帝は受付の女性を見る。

「問題無いですよ。エルフだからと言って冒険者になれないって事はありませんから」

「なら登録は5人でお願いします」

「分かりました。それではこちらの紙に必要事項の記入をお願いします」

 そう言い、受付の女性は5人分の用紙を出した。用紙の記入欄には冒険者の名前、年齢、種族、職業、使える魔法、使役している魔獣等がある。帝は受付の女性に確認しながら記載していく。

「冒険者の名前は本名で良いんですか?」

「登録名なので本名で無くても愛称でも大丈夫ですが、本名の方が多いですね」

「職業は?」

「まだ職業が無ければ空白で大丈夫です。職業は後から追加したり変更出来ますので」

「使える魔法や使役魔獣は何の為に?」

「魔法は受ける依頼に対して、向いているかどうかの確認をします。ようは得手不得手の確認ですね。向いている依頼のオススメをしたり、向いて無い依頼は止めます。使役魔獣は街中を連れ歩いたりした際に、他の冒険者が襲わない様に周知する為です。その為、魔獣の種族、付けた名前の記載をお願いしています」

「ご丁寧にありがとうございます。じゃあ、これでお願いします」

 そう言い帝は書き終わった用紙を渡す。シオンも同じタイミングで書き終わったようだ。するとフェンが話しかけて来た。

「主人よ。儂等は字が書けないのだが?」

「そうなのか?えっとどうしたら・・・」

 フェンに言われた帝が受付の女性を見る。

「書けない方も居ますのでどなたかの代筆でも大丈夫です」

「分かりました。じゃあ俺が書きます」

 そしてフェン、ヨルン、ペイルの3人の用紙を帝が記載し受付の女性に渡す。

「確かに。それではこちらの水晶に触れて下さい」

 受付の女性は今度は30cmくらいの白と黒の水晶を2つ出した。

「これは?」

「白い方は触れる事で現在なれる職業が分かります。黒い方は魔力量によって色が変わりますので、どのくらいの魔力量が有るのか分かります」

「因みに色はどういった色に?」

「おおよそですが弱い順に黒、緑、青、黄、赤、白と変わります」

「じゃあ早速・・・」

 そう言い帝が触れようとしたら、受付の女性が話しかけて来た。

「あなたは待って下さい。えっと、カミタカさん?は確認がございますので。こちらに。他の方々は触れて頂いて大丈夫です」

 そう言い帝だけ別のカウンターに移動させられた。他の4人は別の職員が対応している。


「何で俺だけ?あ、後ミカドが名前です」

「ではミカドさん。ミカドさんは使役魔獣の欄に記載が有るので確認をさせて頂きたいのですが?2匹で間違いないですか?2匹の魔獣はどちらに?」

「ああ。待って下さい。カリス、オーロ出ておいで」

 そう言うと帝の服の中から緑色の魔獣と金色の魔獣が出てきた。


「!?」

 見ていた受付の女性は驚いた。帝の用紙に記載された内容では使役魔獣は2匹。しかもカーバンクルとナインテールフォックスと言う珍しい種族の魔獣だ。その為、受付の女性は半信半疑だったのだが、実物を見て驚いてしまった。

「そ、そちらが・・・」

「はい。緑色がカーバンクルのカリスで金色がナインテールフォックスのオーロです」

 帝が2匹の魔獣、カリスとオーロを撫でながら紹介する。2匹は気持ち良さそうに身を細めている。

「た、確かに。2匹ですね。それでは2匹にこちらの水晶版に触れて貰えば、ミカドさんの使役魔獣としての登録の完了と種族の確認が出来ます」

「それで種族が分かるんですか?」

「こちらは魔獣の図鑑を元に造られた魔道具なので、大半の魔獣はコレで分かります。まぁ、図鑑に載ってない新種の魔獣とかは流石に分かりませんが」

「凄いですね!じゃあカリス、オーロ。コレに触って?」

 帝に言われた2匹は水晶版に触れた、と言うか乗った。すると水晶版が光る。帝が不思議そうに見ていると。

「これで確認と登録は完了しました。カリスちゃん、オーロちゃん降りて大丈夫ですよ」

 女性職員に言われた2匹は素直に水晶版から降り、帝の肩に登る。

「2匹とも賢いですね」

「そうなんですか?」

「普通、使役魔獣は主人の言う事しか聞かないのですが、2匹は素直に水晶版から降りましたし、言われた事も理解しているみたいですし」

「へ〜。お前達は賢いのか〜」


 帝が2匹の頭を撫でているとギルド内に歓声が上がった。

「「「「おぉぉぉぉぉ!」」」」

「何だ?」

 歓声が上がった方を見ると、シオンが水晶に触れており水晶の色が黄色だった。歓声の理由はシオンの触れた水晶が黄色だったからだろう。

「流石エルフですね。水晶が黄色に変わるのは中々有りませんよ!」

「そうなんですか?」

「魔力量は種族によって大差は有りますが、あの水晶は限界値の魔力量を感知して色が変わる仕組みなんです」

「成る程。つまり現在シオンの魔力の限界値はそれなりに有ると言う事ですね?」

「そんなに簡単な物では無いのですが・・・。まぁ、そんなとこで・・・」


「「「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」」」

 さっきとは違う歓声が上がる。


「今度は何・・・あぁ。フェンが触れたのか」

 フェンが触れた水晶は白になっていた。

「し、白!?す、凄いです!私初めて見ました!何でミカドさんはそんなに落ち着いてるんですか!?白ですよ白!凄い事ですよ!」

「そう言われても・・・」

「登録時に白に変わった人は現在SSSランクの人達ばかりですよ!なのに!」

「いや、フェンが白なら多分・・・」


「「「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」」」

「やっぱりな・・・」

「う、嘘。あの方も白!?し、白が2人目・・・」

 フェンの次はヨルンだった。フェンが白なら当然ヨルンも白だ。ヨルンの方がMAGが高いのだから、そして当然ながらペイルも白だ。何せフェンの倍は有る。


「し、白が3人も・・・。あなた方は一体・・・」

「うるさいぞ!何を騒いでる!」

 受付の女性が喋ってる途中で、2階から怒声が響いた。皆が怒声の主に注目する。怒声の主はシャツに長ズボンというラフな位で立ちだがガタイが良い為か、シャツがピッチリしていてはち切れそうだ。

「申し訳有りません。ギルドマスター!」

 受付の女性にギルドマスターと呼ばれた男性は階段を降りながら喋り始める。

「この騒ぎは何だ!?カレン何があった!」

「冒険者の登録に来たこちらの方々の魔力量を測定しましたら、水晶の色が白に変わったので皆さん興奮してしまって」

「白だと!?本当か!どいつだ!?」

「こちらの3人です」

 ギルドマスターにカレンと呼ばれた受付の女性がフェン達を指す。ギルドマスターはフェン達を見ると驚いた。

「獣人2人に人間か!期待の新人だな!」

 そう言いギルドマスターは名乗り始めた。


「俺はギルドマスターのアーツと言う。元Aランクの冒険者だ」

 ギルドマスターはアーツと名乗った。アーツは帝達の側まで来ると右手を差し出し、握手を求めた。アーツはデカかった。身長は2m近く、顔も厳つい。その上顔に大きな傷があるのにスキンヘッドなので厳つさに拍車が掛かっている。

 帝は握手を待つ姿勢のアーツを見て話す。

「握手は良いんですが、その前に俺も登録を済ませたいのですが良いですか?」

「ああ。悪いな登録の邪魔しちまったか。それにしてもお前さん珍しいな?」

「珍しい?何がです?」

「それだよそれ!敬語の事だ!」

「変ですか?」

「そうじゃ無くてな?年長者を敬う心意気は良いが、冒険者が貴族や王族以外に敬語を使うと下に見られるぞ?つまりは馬鹿にされるぞ?」

「そうなのか?わざわざ済まない。コレで良いか?」

「ああ、問題ねえ。そう言えば登録の途中だったな?さっさと済ませて訓練場に行こうぜ!」

「訓練場?」

「ああ。登録の済んだ冒険者はまず訓練場で模擬戦をするんだよ。そこで武器の使い方や立ち回り方を見て、大体のランクを決めるんだ」

「ランク?」

「ランクは上からSSS(トリプルエス)SS(ダブルエス)、S、AA(ダブルエー)、A、B、C、D、E、Fの10段階になってる。ランクを決めると言っても最大でもCからになるがな。因みにCランクから始めた冒険者は、最近だと勇者くらいだな。勇者以外だと100年くらいは居ないらしいぞ?」

「そうなのか?」

「まあな。Dランクからでもかなり優秀だからな。Cランクからなんてのは規格外の奴だな」

 帝がアーツの話しを聞きながら黒い水晶に触れた。すると水晶はカタカタと震え、「パリンッ!」大きな音を立てて砕け散った。


「・・・砕けたぞ?」

「・・・砕けたな」

「この場合、俺の魔力量はどうなるんだ?」

「・・・測定不能。規格外確定だな。取り敢えず訓練場に行くか」

「良いのか?白い方にはまだ触ってないぞ?」

「・・・大事だとは思うが念の為に予備の用意をさせる。その間に他の4人と一緒に訓練場での模擬戦を済ませてしまおう」

 アーツはそう言うと訓練場に向けて歩き出した。帝達はアーツの後をついて行く。更に後ろには野次馬の冒険者がついて来る。


 訓練場は直径50mくらいの円形になっており、すり鉢状になっており、観客席が備えられている。訓練場の壁は高く作られており、等間隔で柱が立っている。

「結構広いな?」

「魔法を使ったりもするしな、せめてこのくらいの広さは無いとな」

「あの柱は?」

「結界を張る装置だな。柱が多い程に結界は強くなる。周りに被害が出ない為の処置だ」

「模擬戦の相手は誰がするんだ?アーツか?」

「いや。模擬戦の相手はコレだ」

 コレと言ってアーツが出したのは10cm程の黒い石だ。

「何だそれ?」

「コレは魔闘石(まとうせき)と言ってな、魔力を流すと流した者の姿になる。訓練に使う為の魔道具だ。コイツが使う武器は対戦者が使う武器に有利な物になる。武器は訓練場に有るのを好きに使って構わない。ただ刃が潰してあるとは言え鉄製だから当たればかなり痛い。因みに魔闘石の強さは魔力を流した本人と同等くらいだ」

「面白そうだな。じゃあ。俺から行かせて貰うかな」

 そう言うと帝はアーツから魔闘石を受け取り、訓練場に飛び降りた。中心まで行くと魔闘石に魔力を流す。すると魔闘石から黒いモヤが出始めた。帝が投げると魔闘石を中心にモヤが形を変えていき、人型になる。


「へえー。身長も体格も同じか。取り敢えず武器はコレで良いか?」

 帝が手にしたのは大剣だ。しかも2本。

「・・・嘘だろ?大剣の片手持ち?訓練用つってもかなりの重量だぞ。あの体の何処にそんな力があるんだ?」

 帝の行動にアーツが驚くが、アーツだけはない。野次馬の冒険者達も驚いてる。

 帝が適当に構えると魔闘石も構えた。その両手には短剣が逆手で握られている。一撃の威力の大剣に対して、威力は無いが手数で勝る短剣。有利と言えば有利だろう。但しこの場合、短剣側は大剣の一撃をまともに受けてはならない。短剣が折れてしまうからだ、そうなると短剣側は躱すか受け流すしかなくなる。それを見越した帝は大剣を選んだ。魔闘石が自分の考え通りに動くのか、それの確認の為だけに。


 そして帝が動いた。走りながら右手を振り上げる、速度と大剣の重さを合わせた上段からの一撃。帝の攻撃に対し、魔闘石は左手の短剣を大剣に合わせると外側に逸らし、攻撃を受け流した。逸らされた帝の攻撃は訓練場を叩き、クレーターを作る程の衝撃を生み出した。だが魔闘石は衝撃など気にせず両手を振り、攻撃を繰り出した。右手は帝の首を左手は帝の目を狙って、帝は攻撃の反動を利用し右に躱すとその勢いのまま左の大剣を横薙ぎに振るった。

 見ていた者達はこれで決まったと思っただろう。だが相対している帝はそうは思わなかった。


 案の定、魔闘石は右足で帝の大剣を受けると、大剣の力を下方に逸らし攻撃を躱す。そのまま空中で回転し、帝に追撃をする。帝はそれに対し、右手の大剣を下段からのカチ上げ攻撃で迎え撃つ。魔闘石は大剣の側面に左手で裏拳を放つ事で大剣を弾きつつも右手の短剣を帝の頭目掛けて振り下ろしたが、帝は屈みながら右手の大剣を弾かれた勢いにその場で回転し、遠心力を加えた右手の大剣による一撃を放った。その一撃は魔闘石の右脇腹に直撃し、訓練場の壁まで吹き飛ばした。

 魔闘石がぶつかった壁は崩れ、訓練場を揺らす。その衝撃に野次馬の冒険者達もアーツもたたらを踏んだ。魔闘石は立ち上がったが動こうとはしなかった。訓練場にいる全員が見ていると魔闘石にひびが入り、モヤが霧散すると魔闘石は砕け散った。

 魔闘石が砕け散ってしまったので帝はアーツのいる観客席に戻った。


「・・・また砕けやがったな?いや、今度は「砕いた」が正しいのか?」

「そう言われてもな。狙って砕いた訳じゃ無いぞ?」

「まぁ、見てたから分かるが・・・。にしてもお前さんは規格外と言うよりも化物だな。本当に人間か?」

「人間だ」

「まぁ、違ったとしても。あの強さじゃ、どうこう出来る奴何か居ないだろうがな・・・」

「俺よりも勇者の方が強いだろ?」

「どうだろうな?確かに勇者は皆が強いが、魔闘石の訓練で破壊した話は聞いてないな?後、魔力量の測定をする水晶も破壊した話しは聞いた事が無い。ひびを入れたなら聞いた事が有るが・・・破壊した話は無いな」

「そうなのか?まぁ、良い。それよりも俺はどのランクからになるんだ?」

「確実にCランクからだな」

「Cランクか・・・」

「不服なのは分かるがな?決まりで最高でもCランクからになるんだ。いや、俺としてはSランクからでも良いと思うんだがな」

「いや、不服の理由は違うんだ」

「そうなのか?じゃあ何が理由なんだ?」

「俺は既にパーティーを組んでいるんだ。メンバーのランクは聞いてないが駆け出しって言ってたんでな」

「駆け出しか・・・。ならFか速くてもEだな」

「そのランクのパーティーに俺が入っていても良いのかと思ってな」

「良いんじゃないか?特に問題無いだろ?」

「いや、周りから皆が色々言われたり・・・」

「それ言ったらお前さんがFから始めても一緒だろ?それに強い奴が弱い仲間をパワーレベリングするのは常識だぞ?」

「だがそれだと・・・」

「戦闘に慣れない・・・だろ?そんなのは後から幾らでも身に付けられるだろ?実戦で鍛えるのが悪いとは言わない。だがな実戦の最中に死んだら元も子も無いだろ?ならパワーレベリングしてLvを上げてから、ダンジョンに潜るなりして実戦に慣れれば良い。違うか?」

「そうだが・・・」

「言いたい事は分かるぞ?弱者に慣れると気が緩んじまうだろ?それだと強者に出会った時に咄嗟の判断が出来ないってんだろ?だがなどんなに強かろうと、本当に強い奴に出会うと咄嗟に動けなくなるんだよ」

「・・・」

「だからな?仲間が心配ならお前さんがパワーレベリングして、安心できるくらいに鍛えてやれば良いじゃねえか!」

「そうだな。鍛えてやれば良いだけだな。俺は慎重になりすぎていたらしいな」

「そう言う事だ!じゃあ戻ってさっさと登録済ませるか!」

「他の4人は訓練しなくて良いのか?」

「魔力量を測ったからな。大体の強さは分かる。エルフの嬢ちゃんはEで他の3人はDってとこだな」

「良いのか?そんな適当で?」

「良いんだよ。と言うかお前さん達ならFからでも直ぐにCまで到達するだろうしな。それより戻るぞ!」

 アーツに言われて帝達は訓練場を後にした。

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