19話 3人の正体
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!〜
1章 異世界の始まり
19話 3人の正体
帝達が走りながら喋っていると森の出口が見えて来た。出口と言っても帝が森に入った場所と言うだけだが・・・。
帝達が森を出るとテントの前で焚き火をし、談笑しているユーナ達の姿があった。ユーナ達は交代で寝ているのか、シオン以外のエルフの子達がいない。恐らくテントの中で寝ているのだろう。帝達はゆっくりと歩み近づいて行く。帝は内心ではかなり安堵していた。皆が又、盗賊達に攫われていないか心配だったのだ。まぁ、心配なら置いて行くなと言う話なのだが・・・。
帝に気付いたティナが手を振りながら声を掛ける。
「帝〜。お帰り〜」
そして皆が帝の方を向き安堵し、表情が固まった。それもそうだろう。森に入った筈の帝が見知らぬ女性を3人も引き連れ戻って来たのだから。3人の内2人は獣人で1人は人間だ。そして3人の女性は顔立ちが整っている、つまりは美人だ。しかも2人の獣人は見た所、服を着ておらず代わりに布を纏っている。それを見てユーナ達は顔を強張らせながら帝に問うた。
「帝さん?森に行ったのでは?」
「その人達は?その格好は?」
「獲物はどうした?」
「まぁ、ある意味では獲物って言えば、獲物だよね〜?」
ユーナ、アイナ、シオンは笑顔だが目が笑っていない。そしてティナは「にししっ」とか笑いながら通常運転だ。
帝は3人の表情を見て一度足を止める。そして説明しながら再び歩き出す。
「森に入って暫くしたら、3人が魔獣に襲われていてな。それで助けたんだが、森の中だし放って置く訳にも行かないだろ?だから連れて来たんだが・・・駄目だったか?」
そう言いながら困った表情をする帝。勿論この話は嘘だ。正直に言った所で信用されると思っていないので、それっぽい事を並べただけだ。ユーナ達はフェン達に状況を確認する為、色々と聞く。因みにフェン達とは話を合わせるよう言ってある。
「そうでしたか。それは災難でしたね」
「帝が近くを通って良かったな!」
「そうですね!でなければ今頃どうなっていたか・・・」
「だけど何でこんな時間まで森にいたの?」
「恥ずかしい話だが、調子に乗って奥まで行ったら、来た道が分からなくなってしまってな・・・」
「成る程。それで魔獣に襲われたと?」
「そうなんだよぅ!ペイルは戦闘に慣れてないしぃ、守りながら逃げるには数が多いしぃ!戦闘中に服は駄目になるしぃ!最悪だよぅ!」
「そしたらご主人が助けてくれて!」
「「「「ご主人?」」」」
「あ」
話が上手く進んでいたら、ヘルことペイルがやらかした。
「帝さん?ご主人とはどう言う事ですか?」
「何故助けただけなのにご主人と呼ばれている?」
「もしかして服を着てないのに欲情して・・・」
「3人共食べちゃった!やっぱり獲物!!」
「「「!!!」」」
ユーナ、アイナ、シオンが再び笑顔で帝に質問するとティナがふざけた事を言い、3人の背後に般若が浮かんだのが見えた気がした帝。帝は慌てて取り繕う。
「待て待て!そんな事は一切して無い!」
「本当ですか?」
「本当だ!第一森の中だぞ?魔獣が周りに居るのにそんな事する訳無いだろ!?」
「って事は魔獣が居なければするんだ〜?」
「「「!!!」」」
帝の説明に茶々を入れるティナ。明らかに帝の状況を楽しんでいる。帝はそんなティナを睨む。ティナはそろそろ良いかなと言った感じで助け船を出した。
「まぁ、その事については後々聞くとして、帝が抱いてるその子狐は何?どうしたの?」
「あぁ、この子狐はナインテールフォックスって言うらしい。魔獣に襲われていてな、それで助けて保護した。因みに〈魔獣契約〉して使役魔獣にしてあるから大丈夫だ」
ティナが話を逸らし、帝の抱いてる子狐に話題を変えた。すると皆の視線がナインテールフォックスに向き、話題を変える事に成功した。そもそもティナが余計な事を言った所為なのだが・・・。
「ナインテールフォックス!?初めて見たけど尻尾は1本何だね?」
「普通は9本じゃないのか?」
「普通はそうですよね?何でこの子狐は1本何でしょう?」
「見た所は尻尾が切断されたとかでは無いようですが?」
「俺に聞かれても困るが・・・。恐らくだがそのせいで親に捨てられたとかじゃ無いのか?」
「成る程・・・。それで1匹のところを別の魔獣に襲われたと言う事ですか?」
「恐らくな・・・」
「それで名前は何ですか?使役魔獣にしたなら名前付けたんですよね?」
「あぁ、名前はオーロにした」
「オーロか、可愛い名前だな!」
皆がオーロを順番に撫でながら話す。そしてティナが撫で様とすると・・・。
「シャーッ!」
牙を剥き出しにして威嚇する。
「何で!?何で私にだけ威嚇すんの!?」
何故かオーロはティナにだけ威嚇した。そしてその様子を見ていたカリスが帝の前まで行き、抱かれているオーロを見上げる。帝がオーロを抱き下ろすとカリスはオーロの匂いを嗅ぎ、オーロもカリスの匂いを嗅ぐ。そして2匹は仲良くじゃれあい始めた。ティナはその様子を見て項垂れている。
「カリスとオーロは仲良くしてくれそうだな。それよりティナは何で嫌われているんだ?」
「私が知りたいよ!?」
「不思議ですね?ティナは普通の動物にはかなり好かれ易いのに・・・何故でしょう?」
「ティナに食べられると思ったんじゃないのか?」
「何でさ!?そう言う事なら私よりもアイナの方が食べそうでしょ!」
「何だと!?」
「やるの!?」
「やるか!?」
「「あ!?」」
「・・・またか」
アイナとティナの2人が喧嘩を始めた。そしてシオンは2人を見て、どうすれば良いか分からずアワアワしている。そしてユーナが笑顔で2人に告げる。
「2人共?寝てる方も居るのだから静かにしましょう?」
「「だって(ティナが!)(アイナが!)」」
「静かにと言いましたよ?そんなに元気なら2人は朝食抜きでも大丈夫ですね?」
「「すいませんでした!」」
いつもの様にユーナが2人の喧嘩を止める。魔法の言葉、飯抜きの一言で・・・。
「まぁ、カリスもオーロもいつかはティナに慣れるだろ。4人共、疲れてるだろう?朝食の準備は俺がするから寝ても良いぞ?」
「ですが、この人数分だと・・・」
「そうか?ならお言葉に甘えて私達は先に寝るとしよう!」
「じゃあ、帝。後はよろしく!おやすみ〜」
ユーナが断ろうとするが、ティナとアイナはさっさとテントに向かって行った。ユーナは2人がテントに入って行くのを見て、溜息を吐き帝に謝る。
「すいません帝さん。あの2人には後できつく言っておきますので・・・」
「気にしなくて良いさ。あの2人に朝食を任せたら大変だろ?それに俺が自分で言った事だ。だから気にせず2人も寝て良いぞ?」
「ですがテントのサイズ的に私達が入ったら、そちらの3人は寝る場所が・・・」
ユーナの言う通り、テントはそこまで大きく無い。元々は1つしか無かったがユーナ達を攫った盗賊のアジトに2つ有ったのを帝が持って来た。その2つのテントを使っても人数的に全員は無理だった。その為、ユーナは寝る場所が無くなる事を心配している。そこで帝が前もって考えていた言い訳をフェンに言わせる。
「儂等は体質的に余り睡眠を取らなくても大丈夫だ。だから気にせずテントを使ってもらって構わん」
「そうなのですか?ですが・・・」
「ユーナ良いじゃないか。気持ちは分かるが本人達がこう言っているんだ」
帝に言われユーナとシオンは申し訳なさそうにテントに向かって行った。2人がテントに入ったのを確認した帝は出来るだけ小声で話す。
「今後について確認したいが、俺は王都で冒険者になるつもりだがお前達はどうする?」
「主人が冒険者になるなら儂等もなるぞ?」
「だろうな。それで決めておきたい事がある」
「決めておきたい事?」
「あぁ。1つは武器だな」
「「「武器?」」」
「フェンとヨルンは獣人で身体能力が高い。だからと言って獣人が武器を使わない訳じゃないだろ?それに冒険者なら武器は念の為、有った方が良いだろ。それで2人はどんな武器を使いたい?」
「儂は特に無いが?」
「自分も特には・・・」
「まぁ。今すぐにとは言わない。その内使いたい物が出てくるだろ。それと・・・」
「私は?」
「・・・ペイルは大鎌があるだろ?」
「2人だけズルイ!」
「・・・分かった2人が使いたい武器が決まった時にその大鎌を改造してやる。それで良いだろ?」
「まぁ。それなら・・・」
「ったく。それで武器の他にも防具も考えて置いて欲しい。流石に防具無しは見た目的にな・・・。武器が決まってからで良いがな。2つ目は2人の服だな。これは最優先だ!王都に行ったら先ず服屋に・・・駄目だ。金が無いか。そうなるとやはり冒険者登録が先か、魔獣を売れば金になるだろう。その後に服屋だな!そこで2人の服を買って・・・」
「私のは?」
「・・・3人の服を買う」
帝の言葉にちょいちょい口を挟んでくるペイル。
(確かに2人ばかりだとペイルを除け者にしている感じが出るか・・・)
「3つ目は拠点だな」
「「「拠点?」」」
「あぁ。王都で冒険者をするのに毎日宿屋じゃ金が掛かるだろ?偶にならともかく毎日じゃな。それに宿屋で払うなら家を買った方が後々便利だろ?後は家の方が寛げるしな」
「ふむ・・・。主人の言いたい事は分かるが何故常々儂等に確認する?」
「何故って・・・」
「自分達は主人の配下なんだからぁ。確認なんかしなくても良いんだよぉ?」
「いや。家を買うにあたって意見を聞こうと思ってな?」
「「「意見?」」」
「あぁ。配下何だから一緒に住むだろ?ならお前達も寛げないと不公平だろ?」
「そう言われると、そうだが・・・」
「自分達は人間の家なんか分からないしねぇ?」
「それもそうか・・・。なら大きい家を買って後から増築、改装すれば良いか!」
帝はフェン達と王都での今後についての話を小声でしていた。理由としてはユーナ達に聞かれると説明が面倒だと思ったからだ。そして帝はこの時、2つのミスを犯していた。1つはユーナ達が寝ているかの確認をしなかった事。これは女性が寝ているテントに行くと言う行為に帝が非常識だと思った為に、発生したミスだ。その為、小声で話していたのだ。フェン辺りに確認させれば良かったのだが・・・。
2つ目はシオンが〈聴覚〉の恩恵を所持している事を忘れていた事だ。〈聴覚〉は名前の通りて耳が良くなると言う恩恵だ。つまりテントの中に居るシオンには帝達の小声での会話が全て聞こえている。
それを知らない帝は他にもいくつかの話しをフェン達とし、話しを打ち切ると朝食の準備を始める。
朝日が顔を覗かせ始めた頃、各テントから皆が出て来た。正確にはアイナとティナ以外の者達が・・・。
ユーナとシオンは遅くに寝たのに、最初に寝たであろうエルフの女性達と同じ頃に起きた。起きてきたのを確認した帝は人数分の朝食を並べて行く。その間に皆は顔を洗って、目を覚ましている。皆が座り食べ始めた頃に、アイナとティナがようやく起きて来た。
「おはよう〜。私の分は〜?」
「私にもくれ〜」
「まず顔を洗って来い!その間に用意してやるから!」
「「うぃ〜」」
2人は気の無い返事をしながら、顔を洗いに向かう。そしてサッパリした表情で戻って来た。
「いや〜目が覚めたよ〜!」
「いやー。良く寝た!」
アイナとティナはそう言いながら、帝の用意した朝食を食べ始めた。
「ん〜。帝の料理はやっぱ美味しいね〜!」
「そうだな!ユーナにも負けてないぞ!」
「確かに帝さんの料理は美味しいですよね」
「そうなんだよ!帝さんの料理は最高だよ!」
「いや。そこまで言われると流石に恥ずかしいから、止めて欲しいんだが・・・」
皆がそれぞれ帝の料理を褒める中、フェン達はやけに静かだ。どうしたのかと思い帝が声を掛けようとすると・・・。
「主人よ!何だこれは!?」
「めちゃくちゃ美味しいよぉ!?」
「死ぬ程美味しい〜!?」
(いやいや。死ぬ程美味いって・・・。ペイルはアンデットだから既に死んでるだろ。ってか人の作った料理を食って死ぬとか言うのは止めろよ!人聞き悪いぞ!いや、それよりも今フェンの奴・・・)
「「「「主人!?」」」」
「あ」
(やっぱり聞こえてたか・・・)
昨晩はペイルがやらかしてしまい。今度は朝一でフェンがやらかした。帝はこの姉妹は馬鹿なのか?と思っていた。
昨夜と同じくユーナ、アイナ、シオンから表情が消え、無表情で帝の事を凝視する。居た堪れなくなった帝は観念し、全てを話す決意をした。但し3人が世界樹の守護者と言う事は言わずにだが・・・。
「あ〜。分かった。説明する。全部説明するから、その顔はやめてくれ。かなり怖いから・・・」
皆が朝食を食べ終わり、一休みし始めた頃を見計らって、帝が喋り始めた。
「まず最初に・・・やましい事は何一つしてないからな!」
「「「・・・」」」
「それだけは断言させて貰う!次に俺に対する呼び方についてだが・・・これは・・・」
帝が言いにくそうにしていると・・・。
「言えない事ですか!?そうなんですね!?」
「やはりやましい事があるのか!?」
「帝さん信じてたのに!?」
ユーナ、アイナ、シオンが勝手な事を言い出した。
「待て待て!違う違う!本当〜にやましい事は一切していない!・・・ただ正直に言っても信じてもらえるか分からないから悩んでいただけだ」
「と言いますと?」
「・・・この3人は人間じゃない」
「いや。そうだろう?2人は獣人なんだから?」
「いや。そう言う事じゃないんだ。2人は獣人の姿をしているが・・・それは〈人化〉と言う恩恵の能力なんだ」
「・・・つまり2人は獣人では無く獣だと?」
「・・・そう言う事だ。因みにペイルも〈人化〉によって人間の姿をしているが実際の姿は・・・アンデットだ」
「・・・アンデット」
「あぁ。アンデットだ。だから3人は〈魔獣契約〉で配下にした・・・魔獣と言う事だ」
「魔獣・・・ですか」
「あぁ。だから正直に言えなかった」
「魔獣である証拠はあるのか?」
「ある。〈人化〉を解けば元の姿に戻る。2人は巨大だから今は無理だがペイルは特に問題は無い」
「解いて貰っても?」
ユーナの言葉に対し帝はペイルに指示をする。
「ペイル!」
「了解〜」
軽く返事をしたペイルは〈人化〉を解いた。ユーナ達はペイルを凝視する。
「確かに目がアンデットと同じですが、それ以外は特に変わった所は・・・」
「特に無いぞ?」
「無いですね?」
「無いね?」
「実際ペイルは目以外は特に変わった所は無い」
「・・・その様ですね」
「・・・本日に魔獣なのか?」
「アンデットと言う意味では魔獣ですが・・・」
「アンデットは人型が多いしね〜」
「どうしろってんだ!?」
帝が素直に言ったのに対して、皆の反応はイマイチ納得出来ないと言うものだった。
「どうしろと言われましても・・・」
「目だけじゃなぁ?」
「目だけじゃね〜?」
「・・・」
「ご主人?どうするの?ってかもう〈人化〉して良い?」
「・・・好きにしろ」
帝の返事で再び〈人化〉するペイル。
(で、この問題の答えは何か?・・・知るか!)
「それでは帝さん?昨夜の説明は嘘と言う事ですね?」
「すまない。それについては嘘だ。さっきも言ったが正直に言って信じてもらえるか分からなかったからな・・・。まぁ。正直に言ったのに信じて貰えて無いが・・・」
「そりゃな?実際に目にはしたがそれだけじゃな・・・」
「アンデットって言う証拠を見せて貰わないとね〜」
「アンデットとしての証拠・・・何かあるか?あ!これならどうだ!」
帝はそう言うと右手の平をペイルに向けた。そして魔法を発動させる。
「回復!」
「えっ」
帝はペイルに向けて回復を発動させた。普通なら回復するがペイルはアンデットだ。その為・・・。
「いった〜〜〜〜い!ご主人いきなり何すんのさ!?何してくれてんの!?凄い痛かったんだけど!?」
・・・と言う具合に回復では無く、ダメージになる。
「すまん。そこまで痛がるとは思わなかった」
「すまんじゃないよ!ご主人と私の魔力差を考えて!」
「本当にすまない」
「じゃあ。王都に着いたら何か買って!」
「分かった」
「「「「・・・」」」」
帝とペイルのやり取りを見ていたユーナ達は黙ってしまった。
「これで分かったろ?ペイルはアンデットだって事が?」
「・・・確かにそうだな」
「回復魔法でダメージを受けると言う事は、アンデットと言う事に間違いは無い様ですね」
「証明する為って言ってもいきなりやる?」
「ペイルさん可哀想です」
「・・・いや。皆が信じないからだろ!」
「でもなぁ」
「いきなりは・・・」
「ちょっとね〜」
「酷いです」
「ペイルがアンデットだって分かったんだからこの件は終わり!早く片付けて王都に向かうぞ!」
居た堪れなくなった帝は無理やり話を終わらせ、皆を急かし、荷物を片付けさせると王都へと向かうのだった。
「逃げたな」
「逃げましたね」
「逃げたね〜」
すいません。長くなりそうだったので一旦ここで切ります!なのでもう1話続きます!次で1章が本当に終わります!・・・終わる筈です。終わる様に頑張ります!




