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18話 2匹目の使役魔獣

     転生した異世界で自由気ままに生きていく

       ~チートじゃない?才能です!


         1章 異世界の始まり

       18話 2匹目の使役魔獣


 帝が結界から出ると後を追ってフェンリル達が出て来た。帝は〈闇眼〉を発動しながら周囲を見渡し、魔獣が居ないかを確認する。


「魔獣は居ないか、まぁ簡単に見つけられるから問題は無いが」


 フェンリル達はキョロキョロと辺りを見渡しながら少し歩く。


「本当に結界から出られるとはな・・・」

「凄いなぁ、本当に出られたよ」

「結界の中と違って外は生き物がいっぱいだね!」


 フェンリル達の反応を見ていた帝は遠足で浮かれる子供を観ている様で心が和らいだ。


(子供見たいで可愛いな)


「さて結界も出たし、仲間の下に向かうからちゃんとついて来いよ?説明は向かいながらするからな?」


 帝が時間を気にし、急ぎ足で夜の森を進み始める。帝は走りたいがフェンリルとヨルムンガンドは獣人になったばかりで、まだ自分の体に慣れていないだろうと考えて暫くは急ぎ足で進み、徐々に速度を上げれば良いと思っている。その帝の後を追いながらフェンリルが話掛ける。


主人(あるじ)よ。色々聞きたい事はあるが、まず最初に・・・儂等は、いや主人もそうだが、魔力は抑えなくても良いのか?」

「は?抑える?魔力を?何でだ?」

「いや、何故って・・・。主人の仲間は皆、主人程の強さなのか?」

「いや?全然?」

「なら尚の事、魔力を抑えなくてはならないのでは無いのか?」

「何で?」

「「「!!!」」」


 フェンリル達は帝の返答に驚いた。その為、フェンリルは驚愕の表情のまま帝に言った。


「主人よ。このまま仲間の下に向かうと皆ショック死してしまうぞ?」

「!!!」


 フェンリルの言葉を聞いた帝は足を止め、フェンリルの方を向き険しい顔で聞き返した。


「・・・このまま行くと皆が死ぬと言うのはどう言う事だ」

「・・・その様子だと本当に知らない様だな?」


 そう言うとフェンリルは説明し始めた。


「良いか?主人よ。魔力とは生きとし生きる者全てに内包されている。強弱問わずにだ。そして魔力とは力だ。強過ぎる力はそこに在るだけで周囲の弱者を殺す。それ故に強者はそうならぬ様に〈魔力操作〉によって自身から溢れ出る魔力を抑えるのだ。でなければ強者の周りには弱者の屍で溢れかえる。故に強者は〈魔力操作〉の恩恵を必ず所持している。主人は仲間を殺したい訳では無いだろう?」

「・・・」


 フェンリルの説明を黙って聞いていた帝は口を開く。


「・・・どうすれば魔力を抑えられる?教えてくれ」

「魔力を抑えるには〈魔力操作〉が必要だが・・・」

「所持している」

「なら簡単だ。自身から溢れ出る魔力を体の表面に纏うイメージで操作をすれば良い」

「体の表面に纏うイメージ・・・」


 フェンリルの説明は分かりやすいが、上手く魔力を抑えられない帝。


「上手く行かんか・・・。そうだな他の方法なら〈魔力視〉か〈魔力感知〉が在れば自分を見ながら、もしくは自分の魔力を感知しながら調整が出来るから多少は簡単になるのだがな・・・」


 魔力の操作をしながら聞いていた帝は〈魔力視〉と〈魔力感知〉を同時に発動した。すると帝から溢れ出る魔力がハッキリと視認でき、膨大な魔力を感知出来た。感知出来たが上手く魔力を抑える事が出来ない。その為、帝は抑えるのを一旦止めるとフェンリル達に「見本を見せてくれ」と頼んだ。


「見本か。個々によって抑え方のイメージは違うから参考になるかは分からんが・・・。まぁ、儂等も魔力を抑えなくてはいけないしな」


 そう言うとフェンリル達は魔力を抑え始めた。この時、帝は〈魔力視〉と〈魔力感知〉を発動していて、フェンリル達の膨大な魔力を感じていた。帝はフェンリル達を静かに見ていた。

 フェンリル達は自身の膨大な魔力を帝にも分かりやすい様にゆっくりと抑え込み、自身に纏って行く。その様子を見ていた帝は再び魔力を抑え始めた。そして先程まで苦戦していたのが嘘の様に魔力を完璧(・・)に抑え込んだ。


「「「!!!」」」


 フェンリル達は驚愕した。それは魔力を抑えるのに苦戦していた帝があっという間に魔力を抑え込んだ事・・・では無く、帝が魔力を完璧(・・)に抑え込んだ事にだ。フェンリルが説明していたが魔力とは生きとし生きる者全てに内包されている、つまり生き物、生命(いのち)のある者全てにだ。そして魔力とはどんなに抑え込んだとしても、僅かではあるが必ず(・・)漏れ出てしまう。どんな強者であろうと必ず(・・)だ。なのに帝からは魔力が一切漏れ出ていない・・・。当の本人である帝はその様な事は知らない為、魔力を抑えられた事に満足していた。


「・・・上手くいったみたいだな?これなら仲間達の下に行っても大丈夫だろ?」

「あ、ああ。問題はない・・・」


 帝がフェンリル達に問題がないか確認をするとフェンリルが問題はないと言っている後ろでヨルムンガンドとヘルが小声で話していた。


「・・・これは良いのかなぁ?」

「・・・逆に問題じゃないの?」


 帝の魔力が一切漏れ出ていない事が、問題だと思うフェンリル達だが気にする事を止めた。


 帝が再び進み始めたのでフェンリル達は付いて行きながら色々と聴く。


「それで主人よ。色々と聴きたいのだが?」

「構わないぞ?約束だしな。それで何を聴きたい?」

「取り敢えずは、3つ聞きたい。あのアンデットは何だ?〈結界無効〉とは何だ?譲渡とは何だ?」

「あのアンデット達は〈上位死者作成〉と〈上位死霊作成〉で作った」

「そうではなく!あの強さは何なのだ!?儂等を超えているぞ!」

「当たり前だろ?そうなる様に魔力を込めたからな?」

「いやいや!魔方陣の模様が違ったけど!?そもそもご主人はその2つの恩恵を使えたの!?」

「使えたと言うよりは、使える様になったが正しいな。魔方陣の模様については知らん」

「知らんて・・・。いや、それより。「使える様になった」ってどう言う事?」

「それは俺の所持している特殊恩恵の能力だ」

「どんな恩恵か聞いても?」

「あぁ。恩恵の名は〈恩恵複製〉だ。能力は触れた相手の恩恵を複製し、自身が所持する事だ」


 話しながら歩いていた帝はヘルの方を見て。


「大鎌をヘルに渡した時に指が触れただろ?あの時に複製したんだ」

「あの時に!?」

「後、フェンリルとヨルムンガンドを殴った時にも発動していたぞ?」

「それって・・・」

「フェンリルと自分からも複製したって事ぉ?」

「あぁ、そうだ」

「・・・何の恩恵(・・)を複製したんだ」

「ん?あぁ!悪い悪い!説明が足りなかったな。〈恩恵複製〉は触れた相手の全ての恩恵(・・・・・)を複製する事が出来るんだ」

「「「は?」」」


 帝の発言にフェンリル達が再び驚愕する。そして狼狽したフェンリルが聞き返す。


「ま、待ってくれ!全て?全てだと!?儂等の恩恵を全て複製したと言うのか!?」

「そう言う事だな?」

「うわぁ。何それ?触れただけで相手の恩恵を全て複製とか怖すぎるんだけど?倒せなく無い?」

「いや、既に倒せないでしょう?だって全て複製って事は自分達の〈不死〉も複製したって事でしょう?挙句にあの強さだよぉ?どうやって倒すのぉ?無理でしょう?」

「そうだ!主人よ!儂等の〈不死〉も複製したのか!?」

「勿論。複製してあるぞ?だから言っただろ?全ての恩恵だって?例外無く全てだ」


 帝の話しを聞いたフェンリル達は溜息を吐き、諦めて次の質問をする。


「アンデットの事は分かった・・・のか?まぁいい。それで〈結界無効〉とは何だ?聞いた事が無いが?」

「それも俺の特殊恩恵の能力だな。名前は〈恩恵創造〉」

「・・・どんな能力だ?」

「・・・聞くのぉ?」

「・・・聞くの怖いんですけど?てか何となく分かるんですけど!?」


 フェンリルの質問に特殊恩恵〈恩恵創造〉の能力だと答えた帝に、どんな能力なのかを躊躇いながらも聞くフェンリル。そして恩恵の能力を聞くのを怖がるヨルムンガンドとヘル。


「能力は名前の通り、恩恵を創造する事だ」

「「「・・・」」」


 フェンリル達は固まった。そして肩を震わせながらヘルが捲し立てる。


「ほらー!聞いちゃダメなやつだよ!?おかしいでしょ!恩恵の創造?何それ?ダメでしょ!何その能力!?化物?化物なの!?化物の方が可愛いよ!一体誰が勝てるのさ!ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」


 ヘルが一気に喋った為、肩で息をする。その様子を見ていたフェンリルが納得した様子で喋り始めた。


「〈恩恵創造〉か・・・納得だ。どうりで知らない恩恵な訳だ。と言う事は譲渡と言うのも創造した恩恵なのか?」

「察しがいいな。〈恩恵譲渡〉と言って所持している恩恵を他者に譲渡する事が出来る恩恵だ。まぁ、譲渡した恩恵は無くなるが・・・。それで?聞きたい事は話したが、他にもあるか?」


 聞かれた事は話したので「他には無いのか?」と帝が尋ねる。


「いや、主人(あるじ)よ。〈結界無効〉の能力について聞いていないのだが?」

「そうだったか?・・・って言っても〈結界無効〉は名前の通りで、「自身に対する結界の能力を無効に出来る」ってだけの能力だぞ?」

「・・・十分すぎる能力だと思うが?」

「そうなのか?」

「いや、主人がそう思うなら良いとしよう・・・」

「?」

「それよりも先を急ぐのだろう?歩いていて良いのか?」

「あぁ。そうだったな。フェンリルとヨルムンガンドは〈人化〉したばかりだろ?その姿に慣れてないだろうから、適当に魔獣を相手させて、慣れて貰おうと思ってな」


 帝は結界を出てから〈探索者∞〉で近くにいる魔獣を探していたが、帝の魔力が駄々漏れ状態だった為に魔獣達は帝の魔力を危険だと本能で理解し、遠くに避難していた。その為、近くには魔獣がおらず、一番近くでも10km程離れていた。帝は〈探索者∞〉で確認していたので分かっていたのでどうするか考えていた。


「主人よ。近くに居ないのなら、こちらから出向けば良いのでは無いか?」

「そうだが・・・。走る事になるが大丈夫か?」

「普通に歩けるから、走る位なら大丈夫だと思うぞ?」

「自分も大丈夫だと思う」

「そうか?なら走るぞ?」


 そう言うと帝は〈探索者∞〉で確認した魔獣の下に向かって走り始めた。全力で走ってはいないが人では有り得ない速度で木々を避けながら走っている。速いのを自覚している帝は時折、フェンリル達が付いて来れているのか後方を確認している。見た限りフェンリル達は問題なさそうだった。帝同様に木々を避け、速度を落とさずに付いて来ている。


 帝が速度を少しずつ上げながら走っていると、遠くに魔獣が見えて来た。帝が〈気配遮断〉を発動する様にフェンリル達に告げて止まると魔獣の様子を伺う。フェンリル達も〈気配遮断〉を発動し帝の後方から魔獣を確認する。因みにフェンリルとヨルムンガンドは〈気配遮断〉を所持していなかったので帝が〈恩恵創造〉で造り、〈恩恵譲渡〉によって既に譲渡してある。その事は走りながら説明済みだ。

 〈気配遮断〉によって気配を消した帝達は木影から魔獣の様子を伺う。魔獣は群れており帝達に気付かず何かをしていた。魔獣達は猿の様な見た目だが全身の毛が黄色く、手足は太く長い、爪は肉食獣の様に鋭い、そして尻尾は蛇になっている。

 帝は〈神眼〉を発動し、魔獣達を確認する。


鵺Lv79x9

HP 8124 MP 3012 ATK 8610 DEF 6983

AGI 12409 MAG 5729

〈格闘術Lv90〉〈逃走術Lv89〉〈鎧毛Lv73〉〈剛毛Lv72〉〈剛爪Lv81〉〈闘爪Lv78〉〈打撃強化Lv71〉〈飛撃Lv59〉

〈強腕Lv92〉〈強脚Lv85〉〈闘気Lv51〉〈手刀〉〈足刀〉

〈移動速度強化Lv80〉〈加速Lv98〉〈罠察知〉

〈気配遮断〉〈気配感知〉〈超視覚〉〈超聴覚〉〈走破〉

〈回避〉〈縮地Lv97〉〈予測の魔眼〉〈未来予測Lv71〉

〈熱源察知Lv69〉〈並列思考〉〈思考超加速〉


ナインテールフォックスLv49 

HP 4012 MP 4931 ATK 2943 DEF 3524

AGI 5342 MAG 6537

〈幻術魔法Lv51〉〈聴覚Lv91〉〈嗅覚Lv98〉〈鎧毛Lv36〉

〈剛毛Lv48〉〈柔毛Lv31〉〈魔法複数発動Lv78〉

〈魔力消費軽減Lv77〉〈詠唱短縮Lv75〉〈潜伏Lv81〉

〈幻痛〉〈気配感知〉〈危機感知〉〈魔力制御Lv79〉

〈魔力感知Lv81〉〈疾走Lv89〉〈並列思考〉

〈思考超加速〉〈不運Lv86〉


(ん?他にもいるのか?)


 帝が〈神眼〉で確認すると猿の魔獣、鵺の他に狐の魔獣であるナインテールフォックスがいる事が分かった。

 ナインテールフォックスは全身が金色の毛に覆われている綺麗な狐だった。本来なら生まれた時から尻尾が9本有るのだが、この個体は1本しか無い。そして綺麗な体毛の所々が赤く血に染まっている。

 鵺達はナインテールフォックスを痛ぶっていたのだ。ナインテールフォックスは〈幻術魔法〉の分身(アバター)全身透化(インビジブル)で攻撃を凌いでいるが、鵺の数が多い為に余り通用していない様だった。帝は木影から出て行き、鵺に姿を見せた。


「キョホッ!?」

「キョホホッ!?」


 帝が急に現れた事に鵺達は驚き、帝から距離を取る様に飛び退いて行く。帝は鵺達を無視して、傷ついたナインテールフォックスに近づいて行く、フェンリル達も木影から出て、帝の後ろを付いて行く。


「フーッ!フーッ!」


ナインテールフォックスは興奮しており、帝に威嚇をするが帝は気にせず近づくと屈み込み、右手を翳し〈聖魔法〉の上級回復(ハイヒール)を発動する。するとナインテールフォックスの傷はたちまち回復する。


「???」


 ナインテールフォックスは帝の行動に困惑し、首を傾げるが帝の表情は穏やかだ。帝は傷が癒えたのを確認すると立ち上がり、フェンリル達に告げる。


「丁度良く割り切れる数の9匹いるな。1人3匹を相手にして片付けろ。素材に使えるだろうから、無駄に傷付けるなよ?」


 フェンリル達は帝の言葉を聴くと、即座に動いた。

 フェンリル達は三方向に分かれ、鵺達に迫るが鵺達は本能でフェンリル達が強者である事を理解しているのだろう。フェンリル達から逃げる様に距離を取ろうとする。と言うよりも背中を見せて逃げ出している。だがステータスの差により逃げる事が出来ず、フェンリル達に先回りされてしまう。そしてフェンリル達の餌食になった。

 フェンリルは〈超加速〉と持ち前の速度を生かし、鵺達を翻弄しながら1匹ずつ確実に仕留める。

 ヨルムンガンドは体長を生かし、鵺の1匹を絞め殺すと残りの2匹を〈剛力〉の力任せで首の骨をへし折り、仕留める。

 ヘルは大鎌を使い、斬り殺さない様に注意しながら、叩き殺して行く。するとヘルが相手をしていた鵺の1匹が帝を目掛けて走り出す。鵺は帝から魔力を感じなかった(・・・)為、帝の事を弱者と思っての行動だった。それが死へ向かう(・・・)とも知らずに・・・。

 鵺は帝に飛び掛かったが、帝は片手で鵺の頭を掴むと力任せに地面に叩きつけた。


 ズドンッ!!


 鵺は帝の力任せの攻撃で絶命した。


 フェンリル達はそれぞれの獲物を帝の下に持って来る。その様子は(はた)から見れば、群れの獣がリーダーに獲物を献上している様に見えるだろう。


「ごめん。ご主人。1匹逃げられちゃった」

「気にするな。ヘルは接近戦に慣れて無いだろ?その辺は後々、指導するから慣れれば良い」

「確かに私は接近戦が苦手だけど何で分かるの?」

「動きを見てれば分かる。動きに無駄が多いからな」

「そう言うもの?」

「そう言うものだ」


 帝がヘルの戦い方を見て後々、指導すると言う。


「それは良いとして、主人よ。(これ)はどうするのだ?数が多いから全部は持って行けんぞ?」

「あぁ、気にするな。仕舞うから(・・・)大丈夫だ」

「仕舞う?どう言う・・・」


 フェンリルが聞いている途中で帝は〈倉庫∞〉を発動し、鵺達の死骸を全て〈倉庫∞〉に仕舞う。



「「「!?」」」


 鵺達の死骸が突然消えた事に驚くフェンリル達だが帝は気にもしない。


「・・・主人よ。今のは・・・」

「フェンリル!・・・聞くのはよそう?」

「そうだよ。聞かない方が良いよぉ?」


 フェンリルが帝に聞こうとしたがヨルムンガンドとヘルが聞くのを止めた。

 帝はフェンリル達のやり取りを無視して、ナインテールフォックスの方を向き、再び屈み込みと静かに、優しく、怖がらせない様に話し掛ける。帝の言葉が理解出来るとは思わずに・・・。


「大丈夫か?もう大事だからな。それよりも何でこんな所に子狐が1匹で居るんだ?親はどうした?親とはぐれた迷子なのか?親はこの森に居るのか?」

「クゥーン!クゥーン!」


 帝の言葉に対してナインテールフォックスは何か言っているが帝には伝わらない。帝は知らないがナインテールフォックスは極稀に尻尾が9本では無い個体が生まれる事がある。その場合、生まれた個体は通常の個体よりも遥かに強くなる。そして強さの基準は尻尾の数が少ない(・・・)程に強くなる。成長する程に尻尾が増えていき、いずれは親よりも強くなる。親はそれを恐れて捨てるのだ。そしてこの個体は尻尾が1本(・・)しか無い。その為に親に捨てられたのだ。

 帝は言葉が通じるとは思っていないので一方的に話し続ける。そして・・・。


「なんなら俺について来るか?」

「!?」


 ナインテールフォックスは帝の言葉を聴くと、帝に飛び付いた。帝は優しく抱くと立ち上がり、フェンリル達の方を向き、告げる。


「そう言う訳でこの子狐を保護するが文句は有るか?」

主人(あるじ)よ?儂等は主人の配下になったのだぞ?主人のする事に文句がある訳無いだろう?」

「そうだよぉ?それにこの子を放っといたら別の魔獣が又この子を襲うだけだよぉ?」

「それもそうだな。じゃあ、文句は無いって事で良いな?」

「「「勿論だ!(よぅ!)(よ!)」」」


 帝はフェンリル達の返答を聞き、ナインテールフォックスに向けて〈魔獣契約〉を発動する。〈魔獣契約〉は無事に発動し、ナインテールフォックスは帝の使役魔獣になった。

 帝はナインテールフォックスと言う新たな配下を手にした。そして悩む。


「使役したのは良いが・・・。名前どうするか?」

(カリスはカーバンクルでリスに似てるからカリス。ナインテールフォックスは見たまんま狐だしな・・・。金色の体毛か、金色、あ!)

「オーロってどうだ?」

「!?クキュッ!キュッ!」


 帝がナインテールフォックスにオーロと言う名前を告げるとナインテールフォックス、オーロは帝の腕の中で喜色の声を上げる。


「気に入ったか?ならお前はこれからオーロだ!」


 そして現在、帝達は森の中を走っていた。森の外で待ってるユーナ達の下に向かって。帝はオーロを抱きながら走っており、オーロは帝の腕の中で大人しくしている。帝はオーロの頭を時折撫でている。その度にオーロは目を閉じて気持ち良さそうにする。フェンリル達はその光景を微笑ましく見ている。フェンリルがふと思い、帝に聞いた。


「そう言えば主人よ?儂等の名は今のままで良いのか?」

「名前?今のままじゃ駄目なのか?」

「いや、駄目と言う訳では無いが、街中等で呼んだ時に問題にならんか?」

「そうなのか?」

「儂等、各守護者の名が知れ渡っているかは知らないが、知っている者がいた場合に問題になるのではないか?」

「それもそうか・・・。なら、フェンリルはフェン。ヨルムンガンドはヨルン。ヘルは・・・ペイル。でどうだ?」

「ふむ。フェン・・・か。儂は気に入ったぞ!」

「自分もヨルンで良ぃ!」

「私もペイルで問題ないよ!」

「なら。決まりだな!」


 帝もフェンリル、改めフェン達も知らない事だが、フェンの言った事は正しい。各守護者の名は王都の図書館に保管されている歴史書に記されているのだ。この歴史書は複製されており、世界各国の図書館に保管されている。又、この歴史書は一般には公開されていないが、各国の王族や一部の者は閲覧が許されている。その為、フェンの言う通り各守護者の名を知っている者が各国に少なからず存在する。そして守護者の存在がバレると、世界樹も存在する事に繋がる。世界樹が実在すると分かれば各国は世界樹を独占しようとするだろう。どんな手を使っても・・・。


 

次の話で1章を終わらすつもりですが続いてしまったら申し訳ない!

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