序章 2話 説明らしい
転生した異世界で好き放題に生きていく
~チートじゃない?才能です!~
序章
2話 説明らしい
「名前は分かった。それで、ミスした理由は?」
名前を告げた少女、ライラ=クイラことライラに対して帝は短く、そう告げる。
「そうですね・・・」
そう言うとライラは帝の対面の椅子に腰かける為に移動し始める。椅子に座り直したライラは「それでは」と言い姿勢を正す。それを見た帝も姿勢を正す為、座り直す。
「先ほども言いましたが、世界の魔力を補うためには、魔力の適合者つまり帝さんの世界で言う所の犯罪者の魂を浄化して魔力を戻すと言う行為でしか補う事が出来ないのです」
ライラは確認の意味を込めて帝を見つめる。
「続けてくれ」
「魔力の補充は具体的に2種類あります」
ライラは指を2本立てて説明を続ける。
「1つは、重度の適合者を優先的に自動選択して、魔力へ戻す方法です。2つ目は、低度の適合者を手動で選択して魔力へ戻す方法です」
ライラは指をたたむと目線の高さまで右手を上げる。そのまま左へ水平に振るうと、テーブルの上に半透明のタブレットの様なものが出現する。
「それは?、何だ?」帝がタブレットの様なものを指さして質問をする。
「このパネルで、適合者の選択や検索、選択対象の設定などを操作します」
「選択対象の設定?検索?検索は何となく分かるが・・・設定の必要があるのか?」
帝は疑問に思って質問する。
「設定するのはかなり重要ですよ?犯罪と一言で言っても多種多様なので・・・。例えば小さなものは嘘、大きなものは殺人と設定しますと世界中の適合者が一気に居なくなります」
「確かに嘘も犯罪になるのか、相手を騙す訳だからなぁ・・・世界的には困る事だが、適合者が居なくなるのはライラにとっては良いことじゃ無いのか?」
帝はライラの手間暇を考えて軽く発言してみる。
「確かにその方法なら適合者を一掃できて楽できるのですが・・・そうもいかないのですよ・・・」
頬を指で掻きつつ、苦笑しながらライラは答える。
「何故だ?」
「適合者は次々に現れるのです。その為、一掃しても意味が無いのですよ。それに、一時的に適合者が居なくなると次に現れた適合者が異常な数値で適合する可能性があるので・・・」
「異常な数値が出るとまずいのか?」
帝は話の中で分からない事をどんどん質問する。
「まず、単純に魔力が枯渇します。次に適合者が適合者以外の生き物、つまり善良な人達、動物などの大量殺害を始めます。そうなると世界のバランスが崩れ世界が崩壊を始めます」
魔力が枯渇すると世界が崩壊すると聞いた帝は驚いた顔をするが、すぐに冷静になり質問をする。
「そのパネル?で確認してるんだろ?なら異常な適合者が発生したら即座に消して魔力へ戻せばいいんじゃないのか?そうすれば世界は崩壊しないだろ?」
話を聞きつつ提案までする余裕のある帝を見ながらライラは答える。
「パネルで確認はしていますが、異常な適合者が発生しただけでは居場所が分からないのです・・・」
確認してはいるが適合者が発生しただけじゃ居場所までは分からない、と言う事は居場所を特定するには適合者が行動に移してからでないと居場所の特定ができずに探す手間が掛かると言う事だ。ここまでの話を聞いていて帝は確信をついて質問をする。
「ライラ、お前は神様じゃないのか?その辺はどうにでもできるんじゃないのか?」
「へ?」
帝の唐突な質問に対してライラは反応ができなかった。
「おい!聞いてんのか!?」
反応が薄いので声を荒げてしまう帝。
「ひゃい!」と変な声を上げてしまうライラ。
「もう一度言うぞ?ライラ、お前は神様じゃないのか?」
「えっとぉ・・・私、帝さんに神様だなんて説明した覚えが無いのですが・・・」
困惑の表情のままライラはそう言うが、帝は何を今更と言う表情だ。
「世界の魔力量を調整までして崩壊を回避しようとするような奴が、神様以外の何だと言うんだ?むしろ私は神様じゃないですよとか言われたらそっちの方が驚くぞ?」
これまでの話の内容から帝はこの少女、ライラが神様であると確信を得ていた。それもそのはずだ世界を崩壊から救おうとしているのだから、帝が言うように神様じゃないと言うのなら何だ?と言う話になる所だが他は悪魔ぐらいしか思いつかない帝だが、世界を救おうとしてるのに悪魔な訳ないだろうと言う話だ。
そのため消去法で神様だと決めつけたのだが、帝は100%神様だと思っている。
「えっとぉ・・・帝さんの言う通り、神様と言えば神様ですが・・・帝さんの世界の神様とは少し違いますよ?ん~とぉ・・・神様の神様?」
自分の口から神様と言うライラだが、何だか歯切れが悪い。
「神様の神様?つまりライラは俺たちの世界の神様も作り出したと言う事なのか?」
神様の神様と言う説明だとそういう解釈しかできないのだが・・・。
「はい、そうですね。私以外の神様と呼ばれる存在は私が生み出しました。世界はいくつもあり一人では、到底管理しきれないので各世界を管理してもらうために管理者として生み出しました」
帝の質問に対して即答するライラ。その場合だと新たな問題が発生する訳なのだが・・・。それはまた別の話である。
「ライラ?その説明だと神様は神様でも創造神とか原初の神とか全く別の神様だと思うんだが・・・」
帝は額に手を当ててそう告げる。そう、ライラの説明では神様は世界の崩壊から守る為にライラによって生み出された、世界の管理をする者達の事になる。
「こう言うのもなんだが・・・創造神や原初の神なら管理の面倒な世界なんぞ放置して崩壊させてしまえば手間暇が減るんじゃないのか?」
「実際そうしていますよ?」
「してんのかい・・・」
物騒な質問をした帝は、ライラの返答を聞き俯きながら答えた。
「そりゃそうですよ。いくらなんでも全部の世界を救うのは私でも無理な話ですから。だから管理者を生み出したのですよ?それでも自分で作った世界は自分で管理をしたかったのです」
「まぁ・・・とりあえず、ライラが創造神?原初の神?と言うのは分かった。ん?ちょっと待て!お前が俺のいた世界を作ったのか!?」
ライラの返事を聞いた帝は始め、何を言っているのか分からなかったが意味を理解して驚愕する。
「そうですよ?先ほども言いましたが、自分の作った世界なので出来るだけ見捨てたくないのです。それでも救えなかった世界はいくつもありましたが・・・」
ライラは表情を暗くしてそう告げる。
「俺が言っても気休めにもならんが・・・そぅ、落ち込むな。世界がいくつもあるんだろ?ならば全てを助ける事は端から無理だろうしな・・・。話が逸れたが適合者の居場所の特定くらいなら何とかなるんじゃないのか?」
創造神や原初の神だと言うのなら寧ろどうにもできる気がする帝だが・・・。
「それが、そうも上手くいかないのですよ。ほかの世界であれば、パネルの検索設定をいじればどうにかできるのですが・・・パネルの設定をいじるには、その世界の魔力が必要でして・・・帝さんの居た世界は魔力が少なすぎて設定をいじるだけの量が無いのです・・・」
つまりは魔力が少ないせいで打つてが無いので地道にちまちまと適合者を魔力に変換するしかないのである。
「だいぶ脱線しましたが、パネルの設定変更が出来ないので地道に手動操作をしていたのですが、パネルの操作をミスしてしまい・・・誤って帝さんを選択してしまって・・・本当に申し訳ございません!」
ライラはミスの説明をし謝罪の言葉を口にして頭を下げる。
「なるほど、つまりは疲れが溜まってミスした訳か・・・死んだ理由としては納得できるものではないが、生きている以上は疲れは発生するものだし、何より面倒な作業をしていた結果なんだから、仕方の無い事だろ?」
「そんな、あっさりでいいのですか?」
帝の返答を聞いていたライラは頭を上げながらそんなことを口にした。
「何が?」
ライラの言っている意味が分からず、首を傾げながら質問をする。
「何がって・・・私のせいで帝さんは死んでしまったのですよ?もっと他に言う事があるのではないかと思うのですが・・・」
ライラは自分のミスで死んでしまった事を帝に話す事で罵倒される、もしくは最悪は暴力を振るわれる事を覚悟していたのだ。その為、帝からの予想外な返答に驚きを隠せない。
まぁ、実際のところ暴力を振るわれても神を生み出すほどの力を持ったライラがただの人間に殴られたところでその身にダメージを受ける事は微塵もないのだが・・・その場合、暴力を振るった帝の拳が砕けてしまう訳だが・・・。
「他に言う事か・・・確かに、幾らでもあるとは思うがなぁ・・・言ったところでどうにかなる訳でもないだろうに?」
ライラの言うように、言う事つまりは文句なら幾らでも出てくると思う帝だが言ったところで何かが変わる訳でもないし、じゃあ罪滅ぼしに生き返らせてくれ!と言ったところでそれは無理だろうとわかりきっている事なので帝は口にしなかった訳だが、ライラにはそれが納得できなかったようである。
「確かに生き返らせてくれと言われても出来る訳では無いのですが・・・帝さんの体・・・肉体はすでに事故によって再生不可能な状態ですし・・・あ!再生可能な状態でも蘇生は出来ないですよ!結果的に生き返らせるのは無理ですが・・・」
「因みに蘇生できない理由は?」
「帝さんのいた世界では死者が生き返ったら大騒ぎになるのが1つ。それと単純に、魔力が足りないというのが原因の2つ目ですね」
「確かに死んだ人間が生き返りでもしたら大騒ぎになるな。そして何より、また魔力が少ないのが原因か、こればかりはライラがどうにも出来ないのだから、俺がどうこう言う事じゃないな」
「魔力に関しましては私でもどうにもできません。例えば小さい器に大きい器の水を入れる事が出来ないように魔力の保有量を底上げすることはできないのです。・・・魔力の保有量は世界を作った時にランダムで決まってしまうのです。
魔力が他の世界の様に大量にあるのなら世界の設定を変える事は出来るので、その世界の生物を生き返らせる事ぐらいなら簡単に出来るのですが・・・」
生物の蘇生を簡単と言ってのける所はさすが、世界を作る程の神と言ったところか・・・あれ?
「なぁ、聞いてもいいか?」
「どうしました?蘇生すること以外なら何でも聞いてください?」
ちゃっかり「蘇生は絶対にしません!」と意思表示をしながら返事をするライラ。まぁ蘇生しない!でわなく実際の所は、蘇生したくてもできないが正しいのだが・・・。
「蘇生できないのは分かったんだが・・・。なら蘇生ではなくて転生なら出来るのか?」