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16話 化物への歩み

転生した異世界で自由気ままに生きていく

~チートじゃない?才能です!~


1章 異世界の始まり


16話 化物への歩み


 フェンリルとヨルムンガンドが帝に接近戦を仕掛け始めた頃ヘルはアレの準備を始めていた。


(人間如きにコレを使うなんてね・・・)


 そしてヘルも〈神格解放〉を発動させ、〈幽霊船召喚〉を発動させる。


「出でよ!冥府の船!」


 ヘルが〈幽霊船召喚〉を発動させると、ヘルの頭上に大きな魔方陣が出現する。先程アンデッド達を出した魔方陣よりも大きく、模様も違う。そして魔方陣から1隻の船が現れた。

 出現した船はかなりの大きさで、フェンリルが乗っても余裕がありそうだ。



 帝はフェンリルとヨルムンガンドに攻撃をされながらもヘルの事を観ていた。


(また、魔方陣か・・・。でも魔方陣の模様がさっきと違うな?)


 帝がそう考えていると魔方陣から1隻の船が現れる。


(〈幽霊船召喚〉を発動したのか。だけどさっきのと模様が何で違うんだ?)


オウル:〈幽霊船召喚〉と〈上位死霊作成〉〈上位死者作成〉は異なる召喚だからです。〈召喚〉の恩恵は発動して召喚された者と契約を交わす事で、何度でも同じ者を召喚出来ます〈作成〉の恩恵は作り出し召喚します。〈召喚〉の恩恵で呼ばれた者は自我があるので指示を出さなくても行動しますが〈作成〉の恩恵で召喚された者は自我が無いので指示を出さないといけません。


(えーと。もしかすると作成された奴を倒しても経験値は手に入らない?)


オウル:はいりません。


(やっぱりか・・・。まぁ、恩恵は奪えるみたいだからいいか)


 帝は召喚された者から経験値を得る事が出来ないと知り、気を落とすが、恩恵を奪える事で気を取り戻す。そして〈神眼〉を発動し幽霊船のステータスを確認する。


冥府の船Lv781

HP 35万 MP 50万 ATK 93万 DEF 104万

AGI 67万 MAG 113万


〈浮遊〉〈超速再生〉〈体力超回復〉〈精神超回復〉

〈防御力超強化〉〈統率者〉〈不死身〉〈痛覚無効〉

〈風圧無効〉〈状態無効〉〈魔法無効〉〈魔力消費激減〉〈魔砲〉〈自動照準〉〈捕食〉〈突貫〉〈並列思考〉

〈思考超加速〉


帝は召喚された幽霊船のステータスを見て声を出す。


「冥府の船?ナグルファルじゃ無いのか?」


「!?」


ヘルが帝の言葉に目を見開き、驚愕する。


「何故、人間如きがナグルファルを知っている!?」


「何故って最初に言っただろ?俺の知る神話があるって、その神話だとヘルが死者の国であるヘルヘイムを支配していて、戦争の際にはナグルファルで亡者達と出陣したとされているんだ。だから船を出した時にナグルファルだと思ったんだが・・・違ったみたいだな」


 帝は返答した後に溜息を吐き、落ち込んだ様子で話し始めた。


「ナグルファルだったら奪うつもりでいたんだがな、違うなら要らないな・・・」


「・・・人間如きが舐めた口を!だったら私の切り札を見せてあげるよ!」


 そう言うとヘルは再び〈上位死霊作成〉と〈上位死者作成〉を発動した。しかし先程発動した時よりも明らかに魔方陣が大きい、だが現れた死霊と死者達(アンデット)はファントム、スケルトンジェネラル、エルダーリッチの3種類だけだった。しかし数は合わせて1000体程いる。


 帝は現れたアンデットを黙って見ているとヘルが〈死霊者混合〉を発動した。


「〈死霊者混合〉!現れろ!新たなる下僕!」


 ヘルが〈死霊者混合〉を発動させるとファントム、スケルトンジェネラル、エルダーリッチの3種類のアンデット達は黒いモヤになり1つに集まり始め、徐々に形成して行き、黒いモヤの中から1体のアンデットが姿を現す。見た目はレイスの様にボロ布を被っているが、体はスケルトンの様に骨だけだ、右手にはヘルの様に大鎌を持ち、左手には杖を持ち先端に頭蓋骨が付いている。帝は現れたアンデットに〈神眼〉を使いステータスを確認する。


冥府の王ハデスLv1517

HP 102万 MP 298万 ATK 190万 DEF 182万

AGI 251万 MAG 312万

〈超速再生〉〈体力超回復〉〈精神超回復〉

〈狩猟王〉〈冥界王〉〈腐敗攻撃〉〈腐敗無効〉

〈上位死者作成〉〈上位死霊作成〉〈死者操作〉

〈死霊操作〉〈斬撃超強化〉〈翔撃〉〈無双鎌〉〈魂傷〉

〈魔法無効〉〈痛覚無効〉〈不死身〉

〈魔力消費激減〉〈魔法超強化〉〈詠唱破棄〉

〈魔法同時発動〉〈思考超加速〉〈並列思考〉〈脅迫〉

〈気配遮断〉〈豪炎魔法〉〈轟雷魔法〉〈旋風魔法〉

〈大地魔法〉〈漆黒魔法〉〈深影魔法〉

〈火魔法超強化〉〈雷魔法超強化〉〈風魔法超強化〉

〈土魔法超強化〉〈闇魔法超強化〉〈影魔法超強化〉

〈影痛〉〈影喰い〉〈火操作〉〈雷操作〉〈風操作〉

〈土操作〉〈闇操作〉〈影操作〉〈影の支配者〉

〈魔力操作〉〈透過〉


「・・・」


 帝は〈神眼〉を使って確認してつい黙ってしまった。恩恵がヘルと大差無いのだ。そうとは知らないヘルは帝が、ハデスに対する恐怖で黙ってしまったと思い込んで機嫌が良くなる。


「あれ〜?さっきまでの威勢はどうしたのかな〜?私の切り札のハデスにビビったのかな〜?」


 ヘルの物言いを無視して帝は、ハデスの所持している恩恵〈透過〉の効果を考える。


(〈透過〉と言う事は透明化辺りか?だとしたら制限は有るのか?取り敢えずは奪うが他の恩恵が勿体無いな・・・。どうすれば無駄にしないで済むんだ・・・あ!)


 帝は思いつき〈創造者〉を発動して短剣を創り出す。そして〈魔眼〉で短剣の能力を確認する。


名も無き短剣(創造されし短剣)

〈恩恵倉庫〉


(良し!後はこれを奪って上手く行くかの確認だな!)


 帝は創り出した短剣から恩恵を奪うと能力を確認する為、ハデスに対して〈強欲な剥奪者〉を発動し恩恵全てを奪う。勿論〈能力強化∞〉も発動している。


 そして〈神眼〉を発動し〈恩恵倉庫〉を確認する。


[恩恵倉庫の中身]


戦闘術


〈狩猟王〉


回復


〈超速再生〉〈体力超回復〉〈精神超回復〉


魔法


〈豪炎魔法〉〈轟雷魔法〉〈旋風魔法〉

〈大地魔法〉〈漆黒魔法〉〈深影魔法〉


身体耐性


〈魔法無効〉〈痛覚無効〉


攻撃強化


〈斬撃超強化〉



魔法強化


〈火魔法超強化〉〈雷魔法超強化〉

〈風魔法超強化〉

〈闇魔法超強化〉〈影魔法超強化〉


戦闘中


〈翔撃〉〈影痛〉〈影喰い〉


戦闘以外


〈思考超加速〉〈並列思考〉〈影の支配者〉〈脅迫〉

〈不死身〉〈魔法同時発動〉〈詠唱破棄〉


操作系


〈火操作〉〈雷操作〉〈風操作〉〈土操作〉〈闇操作〉

〈影操作〉〈魔力操作〉



(良し!上手く行った!)


 帝は小さくガッツポーズを取る。そして気付いた。


(・・・いちいち恩恵を創るのに武器も創るのは面倒だな?無駄な武器が増えるし・・・。なら恩恵を創る恩恵が在れば良いんじゃないか?)


 そして帝は再び〈創造者〉を発動して短剣を創り出す。そして〈魔眼〉で短剣の能力を確認する。


名も無き短剣(創造されし短剣)

〈恩恵創造〉


(これも大丈夫っと・・・。後は能力の確認だが何の恩恵を創るか・・・。良し!こう言うのはどうだ?)


 再び〈神眼〉を発動し確認する。


皇王 帝


特殊恩恵(帝限定)


〈強欲な剥奪者〉〈限界突破∞〉〈創造者〉

〈神眼〉〈魔眼〉〈探索者∞〉〈観測者∞〉〈環境適応∞〉〈言語理解∞〉〈倉庫∞〉〈全魔法適正〉〈身体強化∞〉

〈能力強化∞〉〈恩恵剥奪〉〈恩恵付与〉〈恩恵倉庫〉

〈恩恵創造〉〈恩恵複製〉


(これも成功っと!後は〈恩恵複製〉の効果を確認して終わりだな!っとその前に、オウル。ハデスは倒すと経験値になるのか?)


オウル:なります。アレは作成された者を合わせた別の者になりますので倒せば経験値が入ります。


(なら気にする事なく倒せるな!)


 そして帝はハデスを見るとその場から走り出し、ハデスに対して腕を軽く振った。その攻撃とは呼べない動きが当たったハデスは消滅した。


「「「「!?」」」」


 突然のハデスの消滅に攻撃した帝も見ていたフェンリル達も驚きを隠せない。


「何が起きた!?」

「分かるか!」

「嘘でしょ?私の切り札のハデスがたったの一撃?」


(・・・意外だな。アレでも倒せるとは思ってはいたが、何の反応もしないとはな。それよりもフェンリル達からどうやって恩恵を複製するかだな)


帝は〈恩恵複製〉を創った際に[触れた者の恩恵を複製し、所持する]と言う能力にした。その為フェンリル達から恩恵を複製するには触れなければ行けない。初めは〈強欲な剥奪者〉の様に周囲に効果のある能力にしようとしたが、それでは範囲内の全ての者から恩恵を複製してしまうと思った為、に辞めた。


(先ずは冥府の船からだな!その後は魔法を試すか)


 そして帝は冥府の船に目掛けて跳躍し、〈恩恵複製〉を発動しながら殴り付けた。その一撃で冥府の船は消滅した。そして帝は空中でフェンリル達に対して魔法を発動させる。


影の拘束(シャドウバインド)!」


 帝が魔法を唱えるとフェンリル達の影から紐状の物が飛び出し、フェンリル達に巻き付き拘束していく。


「拘束系の魔法!」

「舐めるな人間が!」

「この程度で我を拘束出来ると思うな!」


 フェンリル達は影の拘束を引き千切ろうと抵抗するが拘束から逃れる事が出来ない。・・・いや、フェンリルだけは拘束出来なかった。


「何なの!解けない!」

「何だこの拘束力は!?」

「舐めるなよ!人間が!」



 ヨルムンガンドとヘルが拘束から逃れる事が出来る筈が無い。ヨルムンガンドは大地に縫い付けられる様に拘束され、ヘルは立ったまま拘束され、大鎌を手放してしまう。普通ならば拘束すら出来ないが、帝は影の拘束(シャドウバインド)を発動する際に〈束縛〉の恩恵を発動し、更には〈能力強化∞〉により〈束縛〉の能力を強化している。

 帝はフェンリルに影の拘束が効かなかったのを見て思い出した。


「あぁ、そう言えばフェンリルは〈拘束無効〉を持っていたな。まあ問題は無いな。さてヨルムンガンドとヘルが拘束出来たところで提案何だが?」


「提案だと?どう言うつもりだ?」


 帝の言葉に対して、フェンリルは警戒しながら聞き返す。


「俺はお前達を仲間にしたいと思っている。だがお前達はそんな気は微塵も無いだろう?だからお前達に〈契約術〉を発動し配下にしようと思っている」


「ふざけるな!人間如きが我等を配下にするなど、舐めるにも程があるぞ!」


 帝の言葉にフェンリルは怒声を放ち、怒りにより体から膨大な魔力が溢れ出る。それでも帝は気にもせず話しを続けた。


「・・・そう言うとは思っていた。お前達は言動からして人間の配下になるとは思えないからな。だから選択肢を2つ考えた。1つ目は素直に〈契約術〉を受け配下になる事だ。2つ目は〈契約術〉が有効になる際の実験をした後に契約する。ようは〈契約術〉の有効判定の確認だな。具体的に言えば、どの程度弱らせれば良いのか、弱らせるのは精神的でも良いのか、と言ったところだ。結果としてはどちらも配下になる事に違いはないが、お前達は素直にならないだろ?だから先ずは肉体的な実験からだ」


 そう言うと帝はフェンリルの顎下に瞬時に移動し、無造作に下から殴りつけた。アッパーの様に繰り出した攻撃はフェンリルの顎に直撃し、牙を砕き、周囲に撒き散らしながら、後方に退け反らせた。


「がぁぁぁぁぁ!」


 フェンリルは痛みの余りに叫び、苦悶の表情を浮かべるが帝は気にもせず追撃する。後脚をへし折った。


「ぐがぁぁぁ!」


 自重を支えられなくなったフェンリルの身体が退け反った勢いで背中から倒れて行く。


「がはっ!」


 背中から倒れたフェンリルが衝撃で息を吐き出す。帝はフェンリルの仰向けになった、剥き出しの腹に飛び乗ると高速で連打する。


「ぐがぁぁぁぁぁぁぁ!」


 帝の連打による衝撃が大地を揺らし、フェンリルの背中から大地に波紋状の亀裂が作られていく。


ドドドドドドドドドッ!


 フェンリルは〈体力超回復〉と〈超速治癒〉により自動的に回復して行くそれでも帝の攻撃は、回復を遥かに上回るダメージを与えている。一応、帝はフェンリルが即死しない様に〈神眼〉を使いHPを確認しながら、攻撃の調整をしていた。つまり手加減をしている。


 帝が〈神眼〉を発動し、フェンリルのHPを確認すると残り僅かになっていた。


「丁度良い頃合いか?」


 そう言うと帝は即座に〈魔獣契約〉を〈能力強化∞〉で強化してから発動させる。するとフェンリルを中心に魔方陣が現れ、光り始めた。帝は試しにと〈能力強化∞〉を10倍に指定してから発動し、駄目なら徐々に上げるつもりだったが、そうはならなかった。


 魔方陣から光が消えていき、魔方陣も消えた。帝は〈神眼〉を発動しフェンリルを確認する。



フェンリルLv1674 天狼王(使役魔獣)



「・・・あっさり成功したみたいだな」


 帝の言葉にヨルムンガンドとヘルは驚愕した。


「そんな馬鹿な!我等、守護者を使役だと!一体どうなっている!?」

「有り得ない!?フェンリルを瞬殺!本当に人間なの!?」


 帝としてもこんなに簡単に上手く行くとは思っていなかったので、帝自身も驚いていた。


「まぁ、成功したならそれで良いか。次は・・・ヨルムンガンドだな」


 帝はそう言うとヨルムンガンドに近づいて行く。


「我もフェンリルの様に簡単に行くと思うなよ!」


 そう言うとヨルムンガンドは〈完全防御〉を発動させて帝の攻撃に備える。


 帝はヨルムンガンドが恩恵を発動したのも気にもせず取り敢えず殴ってみる。すると帝の拳はヨルムンガンドに当たってはいるが、見えない何かが拳を包み込んでいる感覚にあった。帝は何度か拳を撃つが、全て包み込む感覚にあった。


「ふはははは!効かんぞ人間!〈完全防御〉を発動している限りどんな攻撃だろうと微塵も効かんわ!」


(オウル。どう言う事だ?)


オウル:〈完全防御〉は発動している限り、どんな攻撃も防ぎます。但し発動を継続すると使用者は、その場から動けなくなります。


「成る程な〈完全防御〉の発動継続か、そんな事が出来るとは意外だったな。なら攻撃じゃなければ良いんだろ?じゃあお前は精神的に弱らせてみるか」


「どう言う意味だ?」


 帝の言葉にヨルムンガンドは理解出来ずに問い返した。


「何簡単な事だ」


 そう言いヨルムンガンドの首辺りに移動する帝。そしてヨルムンガンドは帝によって地獄を見せられる。


「こうしたらどうなる?」


 そう言いヨルムンガンドの大きな鱗を1枚掴む帝。


「まさか!?貴様!止め・・・」


 そして力を加えて一気に引っ張る。


ベリッ!


「がぁぁぁぁぁ!」


 鱗は簡単に剥がれた。帝の予想通り〈完全防御〉はこの行為を攻撃とは認識しない様だ。


「貴様!我の鱗を!許さんぞ!」


 帝の行為にヨルムンガンドは怒声を撒き散らす。


「〈超速治癒〉と〈体力超回復〉が有るんだから大丈夫だろ?それに守護者の鱗だ、使い道は色々有るだろうし・・・な!」


 そう言いながら剥がした鱗を〈倉庫∞〉に仕舞いながら、次々と鱗を剥がす帝。


ベリッ! ベリッ!! ベリリッ!!!


「がぁぁぁぁぁ!」


 ヨルムンガンドの鱗を次々と剥がす帝だが鱗を剥がした際のダメージ自体は大した事は無い。だがヨルムンガンドには激痛が伴う。


「剥がしても剥がしてもキリがないな?まぁ、ダメージは大した事無いだろうし、素材が手に入るし俺は構わないが」


 嬉々とした表情で告げる帝。守護者の素材なら良い武具が作れると考えているので、帝は遠慮無く、容赦無く、延々と鱗を剥がして行く。

 帝は鱗を100枚程剥がしたところで急に手を止めた。


「そう言えばフェンリルの牙と爪もあったな」


 思い出した様に言い、先程へし折ったフェンリルの牙と爪を回収するとヨルムンガンドの頭に向かう。ヨルムンガンドは息も絶え絶えだか瞳には帝に対する殺意が込められている。


「・・・貴様は必ず殺す!」


 ヨルムンガンドは殺意を込めた瞳で帝を睨み付けるが帝は無視する。そして・・・。


「これも使えそうだな?」


 そう言い、ヨルムンガンドの牙を掴んだ帝。


「!?ま、待て!止めろ!」


 ヨルムンガンドが制止の言葉を口にするが、手に力を入れた帝は容赦無くへし折った。


バキッ!


「ぐぁぁぁぁぁ!」


 帝はヨルムンガンドの牙を見て満足そうな顔で言った。


「良い牙だな。サイズも有るし武器にしたら良い物が出来そうだ!」


 帝が笑顔で告げた言葉にヨルムンガンドは恐怖を感じた。そして帝は次の牙を掴み・・・へし折る。


バキッ!


「がぁぁぁぁぁ!」


 ヨルムンガンドの牙も鱗同様に身体の大きさからかなりの数がある。そしてそれは帝を喜ばせるだけだった。


 ・・・どれだけの時間が経ったか。実際には帝が素材集めと言う名の拷問を始めてから10分程しか経っていない。しかしヨルムンガンドにはその10分がひどく長い時間に感じられた。そして弱々しい声で言葉を発した。


「た、頼む。もう、止めてくれ。何でもする!配下になれと言うなら、配下になる!だからもう・・・許してくれ!」


「・・・意外と早かったな?守護者なら心を折るのも手こずると思ったんだが?まぁ、良いか」


 そして帝はヨルムンガンドに対して、フェンリルに発動した様に〈魔獣契約〉を発動する。魔方陣が消えた後は〈神眼〉で確認をする。



ヨルムンガンドLv1559 大地蛇王(使役魔獣)



「・・・成功か。さてと後はヘルだけか」


 そう言いヘルの下に歩いて行く帝。目の前まで行くとヘルの目には恐怖が籠もっており、体は震えている。帝がヘルの顔の前に手をかざすと・・・。


「わ、私も配下になる!だから酷い事しないで!」


 帝が何かをする前にヘルの心は折れていた様だ。


「それは良かった。手間が省けて何よりだ!」


 そして帝はヘルにもフェンリル達同様の〈魔獣契約〉を発動する。



ヘルLv1227 冥霊王(使役魔獣)



(守護者3体確保!いやー、使役出来て良かった!)


 ヘルが使役出来たかの確認を済ませた帝は、かなりご満悦だ。それもそうだろう守護者3体を使役し、守護者2体の素材を大量に入手したのだ。それにヘルを拘束から解放した時に

大鎌を手渡す際にわざと指に触れる事で〈恩恵複製〉の条件を満たし、ヘルの恩恵を全て複製している。


(この戦いはかなり有益だったな!守護者の確保、守護者の素材、未所持の恩恵、恩恵の能力確認!一石四鳥とはな!)


 この時帝は守護者との戦闘で生き残ると言う事がもたらす意味を知らなかった。生き残るどころか配下にしてしまったが・・・。


「さて!用は済んだし、結界(ここ)から出て皆の下に戻るか!」


 帝は気付いていないが、この世界は戦闘中でも経験値が入る為、自他共にLvが上がる。倒した時よりも少ない経験値ではあるが戦闘を継続している限り、必ず手に入る。

 その為、自身よりLvの高い者、つまりは強者との戦闘中に強くなる者は少なからずいるのだ。それを知らない帝は自身のステータスよりも高い相手には死なない為に〈身体強化∞〉を使いながら戦い、ステータスや恩恵を奪っていたので経験値が入らなかった為、Lvの上がり方はそこまで異常では無かった。

 だが今回の戦いは、帝よりも遥かにLvの高い相手、守護者だった。その為、戦闘中に入る経験値は尋常ではない。挙句、帝には〈限界突破∞〉〈経験値激増〉〈超速成長〉と言う、3つの成長を促す恩恵を所持している。故に帝のステータスは勇者を超える・・・いや、既に守護者にすら匹敵する程・・・いや、これも正しくはない。正確にはLvだけは守護者に劣るがステータスは既に守護者も超えている。守護者の中には今はまだ(・・・・)帝よりも高い者はいるが、時間の問題だろう・・・。そして帝が自身のステータスに気付くのも時間の問題だ・・・。

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