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12話 |巻物《スクロール》と特殊恩恵

転生した異世界で自由気ままに生きていく

~チートじゃない?才能です!~

1章 異世界の始まり


12話 巻物(スクロール)と特殊恩恵


「成功したのか?」

 帝がシオン達の奴隷紋を見て確認をする。

「成功した様ですが・・・」

シオンが成功を告げるが表情が暗く喜んでいる気配は無い。

「一時的とは言え奴隷になるんだから嬉しく無いのは分かるが、そんなに露骨に嫌な顔をしなくても良く無いか?」

「いえ、そうではなく後ろの方々が・・・」

「後ろ?」

 帝はシオンに言われ後ろを振り向くとユーナ達3人がこちらを見たまま固まっている事に気付いた。

「どうした?奴隷契約は無事に成功したみたいだぞ。何か問題でもあったのか?」

 帝がそう言うと3人は声を荒げて帝に詰め寄った。

「問題なら大有りだ!」

「そうだよ!何してくれるのさ!」

「そうですよ!何で奴隷契約の魔法ではなく奴隷契約・範囲を使ったのですか!そもそも何で奴隷契約・範囲を使えるのですか⁈〈奴隷術Lv1〉じゃないんですか⁈」

 帝は3人に詰め寄られ、慌てて答える。

「ま、待ってくれ!奴隷契約・範囲?俺はただ奴隷契約を発動しただけだぞ?それに俺の〈奴隷術〉はLv1じゃなくてLv45だぞ?」

「「「え?」」」

 帝の言葉を聞いたユーナ、アイナ、ティナの3人は驚いた表情のまま再び固まった。


「いや。だからな?俺の〈奴隷術〉はLv1じゃなくてLv45だぞ?」

 帝が同じ説明を再びする。今度は聞き取りやすい様にゆっくりと丁寧に。

「Lv1ではなくLv45だと?」

「そうだ」

「ミカドは〈奴隷術〉を使った事が無かったんだよね?」

「あぁ。間違いなく今回が初めてだ」

「なのにLv1ではなくLv45ですか?」

「あぁ。間違いなくLv45だ」

 帝は3人の質問に対して即答する。

「「「はぁーっ」」」3人は盛大に溜息をする。

「ミカドの言う通りなら巻物(スクロール)が原因だな・・・」

「そうですね。〈奴隷術〉を巻物で獲得したのならLvの高い理由は巻物に間違いないと思います」

「にしても。手に入れた恩恵が初めから、このLvは運が良いね。ん?良いと言うより悪いのかな?」

ユーナとアイナは〈奴隷術〉のLvは巻物が原因だと言ってるがティナはLvの高さを言っている。

「運が悪いと言うのはどう言う意味だ?」

 帝は疑問に思い質問する。


「その様子だと知らないみたいだけど、普通は巻物で獲得する恩恵はLv1〜15くらいでたまにLv20を超えてる物が出回るくらいで、ごく稀にLv30を超えたのが発見されるんだよ」

「ほお」

「因みにLv1〜15の巻物で金貨1枚〜15枚でLv20を超えると金貨30枚〜40枚でLv30を超えると金貨50枚はするぞ」

「そうなのか?」

「それと、その値段は安くてですので巻物の恩恵次第では増減します。後、私が知る限りでは発見された巻物で一番高いLvは〈火魔法〉のLv40で金貨102枚です」

「あぁ、そう言う事か。つまりは俺が見つけた〈奴隷術〉の巻物は発見された中では一番高いLvだから売っていれば高額になった。と言う事か、だから運が良いよりも悪いなのか。なるほどな」

 帝はティナの言っていた意味を理解して頷いている。


「まぁ。別に金に困ってる訳じゃ無いから構わない。それに売ってたかどうかも分からないしな」と帝が言うと・・・。

「嘘でしょ⁈金貨100枚だったとしても普通に暮らすなら、贅沢さえしなければ一生、働かなくても良いのに⁈」とティナが詰め寄ってきた。

 帝は少し引きながら答える。

「ま、まぁ。あるにこした事は無いが安定した収入がある方が安心できるだろう?それに冒険者に憧れてここまで来たんだぞ?」

「そうかもしれないけど〜。やっぱり勿体無いよ〜」

「それにもう済んだ事だ。戻る訳でも無いだろ?」

「そうだけどさ〜」

「ティナ。諦めましょう。ミカドさんの言う通り済んだ事ですし、性格なのだからしょうがないですよ。それよりも問題はこちらです」

 ユーナはそう言い奴隷紋の浮かんだ右手の甲をこちらに向けてくる。

「解除が直ぐに出来ると言う話でしたし直ぐに解除してもらいたいのですが・・・」

「そうだミカド!巻物の事なんかどうでもいいから早く解除しろ!」

「そうだ。そうだ。巻物なんかどうでもいいから早く解除しろー」

ユーナの言葉にアイナとティナが賛同して文句を言ってくる。

 巻物の事を言い出したのはお前達だろ!と帝は思ったが口にはしなかった。

「あぁ。その事何だが・・・」

 帝は言うのを躊躇ったが、どうせ知られる事なので話始めた。

「今直ぐは無理だ」

 帝の言葉を聞いた3人は再び帝に詰め寄った。

「直ぐには無理とはどう言う事だ!」

「私達を騙したのですか⁈」

「ミカドの嘘つきー」

「待て待て。落ち着け!今説明するから!」

帝は3人が落ち着いたのを確認してから話し始めた。ティナだけは慌ててない様だが気にしない。


「先に言っとくが解除は出来るからな?ただ解除には1日経たないと無理みたいで、その間に解除する方法は俺。まぁ、術者の事だな。俺が死なないと解除されない様だ。それで王都までは後2日かかると聞いていたから問題は無いと思ったんだ」

 帝の説明を聞いていた3人は理解したのか黙って頷き質問を始める。

「ミカドさんはその事を知っていたのですか?」

「いや。知らなかった」

「ではいつその事を知ったのですか?」

「シオン達に説明する前だ」

「・・・どうやって?」

「どうって・・・。自分の恩恵で何か使える物が無いか探してたら〈奴隷術Lv45〉の使える魔法にその説明があったんだが?」

「ミカドさんは〈鑑定〉の恩恵を所持してるんですか⁈」

「〈鑑定〉?いや。無いが?自分の恩恵何だから分かるだろ?」と帝は質問を質問で返す。すると話を聞いていた3人更には一緒に聞いていたシオン達まで否定し始めた。

「いやいや!普通は無理だから!」

「〈鑑定〉がないと自分の恩恵だってどう言う能力か確認なんて出来ないぞ!」

「ステータスを確認すれば手に入れた恩恵は確認出来ますが能力までは無理ですよ!」

「これはエルフ、人間の関係では無く種族、いえ。この世界に生きる者達の共通の(ことわ)り、世界の真理ですよ!」

「ミカド様はどこまで規格外なのですか⁈」


 帝は皆に口々に否定されてしまう。あまつさえ遠回りに化け物扱いされている気がする。だが帝はそんな事より所持している恩恵、〈神眼〉の事を言って良いのか少し悩む。帝は恩恵の確認を〈神眼〉で行なっている為、説明するには〈神眼〉を話さないといけないのだ。その為帝はオウルに相談する事にする事にした。


(オウル。〈神眼〉の事を話して大丈夫か?)


オウル:問題ないです。特殊恩恵として説明すれば大丈夫です。


(そうか?特殊恩恵が何かは分からないが問題ないのなら、それでいくか!)


 帝はオウルとの相談を終え、話始めた。

「実は所持している恩恵に〈神眼〉と言う恩恵が在るんだが・・・。それで〈神眼〉は特殊恩恵でな。あまり言いたくなかったんだ・・・」

 帝は〈神眼〉と言う恩恵を所持している話しをし、オウルに言われた通り〈神眼〉は特殊恩恵だと説明する。


「「「「「特殊恩恵!!」」」」」

 すると皆が驚き、質問を始めた。

「と、特殊恩恵ってどんな能力なんですか⁈」

「〈神眼〉と言う名なんだ凄い能力なんだろう!」

「恩恵に神って付いてるんだよ?だから凄いに決まってるよ〜!」

「そうです!神と付く恩恵が凄くない訳無いです!」

「ミカド様!どんな能力なんですか?」

 皆が〈神眼〉の能力に興味津々で聞いてくる。

 帝は〈神眼〉の能力は対象者のステータスを見る。ただそれだけの能力と思っているが、この世界においてはそれがかなりの戦力になる事を知らない為、皆の期待を裏切ると思い黙ってしまった。

「・・・まぁ、話してもいいか。〈神眼〉は対象者のステータスを見る。ただそれだけだ」


「「「「「・・・見るだけ?」」」」」

 帝以外の声がハモる。


(見事にハモったな)


「あぁ。見るだけ」


「「「「「見ると言うのは?」」」」」

 再び帝以外の声がハモる。


(また。ハモった)


「言葉通りだ。対象者のステータス。つまりはLv、職業、HP、MP、ATK、DEF、AGI、MAG、LUK、所持恩恵、恩恵のレベル、恩恵の能力。後は・・・。あぁ。名前と種族ぐらいか?それらを確認する事が出来る」

 帝が〈神眼〉の能力で見る事の出来るステータスを説明していく。帝は知らないが〈神眼〉には他に対象者の使える魔法、体技も確認する事が出来る。もちろん魔法、体技の効果も確認する事が出来る。因みに職業にもLvは存在し獲得出来る恩恵も存在する。これらも〈神眼〉で確認出来るが帝は知らない。意識しなければ見る事が出来ない為だ。


「・・・ミカドさん?本気で言ってます?」

 ユーナが真剣な表情で聞いてくる。


(やっぱり期待を裏切ったか・・・。まぁステータスを見るだけだしな・・・。あまり役に立つとは思えないし)

 と帝は考えていたが・・・。


「凄いじゃないですか!」

「そんなに見れるのか⁈」

「それだけ見れればかなり有利だよ!」

「神の名が付くだけに凄いですね!」

「「「素晴らしいです! 」」」

 皆の反応は帝の予想を良い意味で裏切った。


「・・・」

 帝は驚き無言になってしまう。


「・・・見るだけだぞ?」

 帝が驚きから復活し、確認の為皆に聞くが・・・。


「見るだけなんてとんでもないです!」

「そうだぞ!ステータスを見る事が出来るなら、相手の戦い方や奥の手が分かるんだぞ!」

「まぁ。ミカドの場合は自身が強いから相手の戦い方よりも、不意打ちや切り札に対策を取れるのが有利だねー」

「ミカドさんの場合だとそれすらも意味が無さそうですけど・・・。まぁ。万が一はありますしね!」

 皆が皆、〈神眼〉の能力を褒めてくる。


(そんなに凄いのか?分からないが・・・。まぁ。良いか。・・・良いのか?)


 帝が納得のいかない納得をする。

「と、取り敢えず!この話は終わりとして!明日になれば奴隷術は解除出来るしこのままで良いか?」

 帝が〈神眼〉の話を終わらせ、奴隷術の話に戻す。

「そうだな。ミカドの恩恵は気になるが今は奴隷術の問題だな」

「王都に着くまでには解除出来るならさほど問題は無いですね」

「そうだねー。まぁ。解除出来なくても私は王都の人間じゃないからこのままでも良いけどねー」

 アイナ、ユーナは解除出来れば問題ないそうだがティナはこのままでも良いと言う。

「「ティナ!」」

 ユーナ、アイナが驚きティナを見る。

「何を言っているんだ!」

「そうですよ!シオンさん達の様に仕方無いならともかくとして奴隷ですよ!」

ユーナ、アイナが声を荒げてティナに詰め寄る。

「いや。ただ奴隷になるのはそりゃ嫌だよ?だけどミカドはパーティーを組んだばかりの私達を助けてくれたんだよ?そんなミカドの奴隷なら酷い扱いはされないでしょ?」

「確かにそうだが・・・」

「確かにそうですが・・・」

「それに手袋すれば奴隷紋は見えないし、私は盗賊職だから指出しのグローブ持ってるし。それにシオンさん達じゃないけど居場所が分かれば何かあった時ミカドが助けてくれるでしょ?」

 そう言いながらティナは帝の方を見る。

「それはそうだろう?パーティーを組んだからには仲間だ。仲間を助けるのは当たり前だろ?」

 帝は当然の様に答える。

「ほらね?だからミカドの奴隷なら別に良いかなって思ったんだ。まぁ。居場所が分かるっていう便利なとこがあるからだけどね」

 ティナが自分の考えを言うとユーナとアイナは黙り込み、何かを考えている様だ。

 ティナの見た目は子供だが年齢は20歳でそれなりにしっかりしている。パーティーを組んだばかりの帝でさえ、ふざけた言動が無ければ大人な女性と思う程にしっかりしている。見た目はアレだが・・・。


「・・・確かにティナの言う通りですね」

「だがどうする?私は戦士職だから小手は一応荷物の中にあるがユーナは僧侶だぞ?僧侶でも別に手袋はしたりするが・・・確かユーナは持ってないだろ?」

「そうですね・・・。確かに私は手袋を持ってません」

 3人のうちユーナだけ手の甲を隠す物が無い様だ。

 帝は少し考え思いついた事を言ってみる。

「包帯は無いのか?」

「「「包帯?」」」

「あぁ。包帯なら怪我してる様に見えるだろ?それに本当に怪我を心配してしつこく聞かれても本人が大丈夫だと言い張れば相手も諦めるだろ?」

 そう言い帝は3人を見る。


「包帯は有りますが・・・。上手く行くでしょうか?」

「余程の事がない限り大事だと思うが・・・」

「やるだけやってみれば?何もしないよりはマシでしょ?上手くいけばラッキーって思えば良いんだしさ!」

 ユーナとアイナは不安そうだがティナはかなり前向きだ。

「取り敢えずこの作戦で行くか?後はまだ日も高いし出来るだけ王都に向かうとして、道中で他の手を考えれば良いだろ?」

「そうだな。王都に向かいながら一様、他の手を考えるとしよう」

「そうですね。ここに居ても何か良い案が浮かぶ訳じゃ有りませんし」

そう言い帝達は荷物の片付けを始め。王都に向かい始めた。

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