序章 1話 その名は?
転生した異世界で自由気ままに生きていく
~チートじゃない?才能です!~
序章 1話 その名は?
俺は皇王帝高校1年15歳だ。目を覚ましたら、見たことも無い真っ白な空間に居た。
「何処だ此処?」
何故此処に居るのか、どうやって来たのか全く分からないが、とりあえず頭を働かせながら服を着ているのを確認する。それから適当な方向に歩いて行く、暫くすると突然目の前に小屋のような物が見えてきた。
「何だコレ?」
帝は不思議に思った。見渡す限り何も無い空間に小屋があったら普通なら視界に入り必ず気が付くはずだ。なのにこの建物は目の前にいきなり現れたようにしか感じられなかった。周囲を見て回るがドアが付いてる他には何も無いようだ。
「とりあえず入ってみるか」
ドアをノックしようとした時「どうぞ」と女の子のと思われる声がした。帝は驚いたがドアノブを回し恐る恐るドアを開ける、中を見て帝は再び驚いた。
(え?どうなってんだ!?)
建物の中は外見からは想像できない広さだった、外見では3メートル四方の建物だったのに中は縦、横、高さ10メートル位の広さがある様に見える。部屋の壁際には観葉植物がいくつかあり、奥には本棚とベッドがありその近くには机がある。中央には1メートル位の円形のテーブルがありその一角に声の持ち主と思われる人物が立っていた。金髪を背中辺りまで伸ばしており瞳の色はキレイな青色だ。顔立ちは整っており、胸はそこそこあるようだ。着ている服は修道女のローブの様なものを着ている。見た目は人形のように見えるのだが背中にある物を見て帝の頭に疑問符が浮かぶ。その人形のような少女の背中には鳥に付いている羽がついているのだ。
(羽?羽!!)
帝が驚いた顔をしているとその少女は「どうぞ、お座りください。」と自分の対面の椅子を指して言う。面と向かって声を聴くと、何処かのお嬢様みたいなイメージを抱きつつも帝は促されたままに椅子に静かに腰かける。帝が座ったのを確認してから少女も椅子に腰かける。
「まず最初に謝らせて下さい、この度は本当に申し訳ございませんでした」
少女はいきなりそう言うとテーブルに頭突きする勢いで頭を下げた。帝はこの少女が何故自分に対して謝っているのかが分からないので「なんで謝っているんだ?」と帝は即座に質問をする。少女はゆっくりと頭を上げると「私のミスで帝さん貴方は死んでしまったのです」と言うではないか、何の冗談かと思い返答しようとした帝だったが少女の真面目な顔を見て止める。
「覚えていませんか?貴方は高校の入学式が終わり帰る途中、車の事故に巻き込まれてしまったのです。」
帝は言われて思考する。
(そうだ、思い出した!確かあの時、俺は!)
そう皇王帝は家に帰る途中、暴走した車に惹かれそうだった子供を助けるために飛び出して行き、身を挺して庇ったのだ。
「・・・思い出した。確かに俺は車に惹かれた。けど、死んだのか?それに、あれは俺の意思でやったことだ。君のせいではないだろ?」帝はそう言いながら少女を見る。
少女は苦笑しながら「確かに貴方から見たらそう見えるでしょうが、あの事故は間違いなく私のせいなのですよ」
「と言うと?」帝は少女を見つめる。
「あの事故はあの世界・・・いえ、あなた達の言う所の地球にはエネルギーがあるのですがそのエネルギーを調整する為に行った結果起きてしまった事故でして・・・」
「あの世界?エネルギーの調整?どう言う意味だ?さっぱり分からないのだが?」
「えっと・・・ですね・・・」
少女は困った顔をして首を傾ける。少し考えてから説明をし始める。
「帝さんは並行世界・・・パラレルワールドとかご存じですか?」
帝は少し思考して・・・。
「ゲーム、アニメ、漫画とかに出て来るやつかな?同じ地球だがそこには全く別の自分がいるとか言うやつだったか?」
「はい、その通りです。では魔力と言うのは分かりますか?」
「それもゲーム、アニメ、漫画に出て来るものだろ?魔法とか呪文とか技とか出すのに必要なやつ?」
帝はゲーマーやオタクほどではないにしろそれなりにゲーム、アニメ、漫画を楽しむ人種だ。ジャンル問わず気になる物には手を出すタイプである。有名な物からマニアック、マイナーなものまで多種多様にだ。その為、魔力と言われた時すぐにそれ位は思いついた。
「即答ですか・・・。まぁ、あながち間違いはないのですが・・・」
「で?その魔力がなんの意味があるんだ?」
「あ!はい!その魔力が帝さんの居た世界、つまり地球には殆ど無い状態でして・・・」
「そのほとんど無い魔力を調整してた際に俺は巻き込まれたと?因みに殆どってどれくらいだ?」
「そうですね・・・」
そう言うと少女は手の平をテーブルに乗せゆっくりと上に持ち上げる。するとテーブルと手の平との間にコップが現れる。帝が驚いているのを無視して少女はそのコップに手をかざす、すると今度は何も入っていないコップに少しだけ水のような液体が溜まる。再び驚く帝だが量は50ml位だろうか、と思いながら見ていると少女はそれを手に持ち「量で分かりやすく言うとこれくらいでしょうか?」そう告げた。
「確かにこの量は殆どと言うか微量・・・いや・・・無いと言っていいレベルだな・・・」
苦笑しながら言う帝に少女も苦笑しつつ「はい、正直言うと無いようなものですね・・・。ですが、あるにはあるので、調整しなくてはいけないのです」
少女はそう言うとコップをテーブルに置く。
「それでその無いような物の調整とは具体的には何をするんだ?」
「具体的に言うと犯罪者など罪を犯した者を消すことです」
「・・・いきなり話が胡散臭くなったんだが・・・」
「ちょ!今までの話は理解してくれてたじゃないですか!!」
帝の返答に慌てる少女。
「確かに理解はしていたがなぁ・・・いきなり犯罪者や罪を犯した者を消すと言われてもなぁ・・・」
「本当ですよ!!あの世界で魔力に適合した人間は負の感情に飲まれ犯罪に手を染めてしまうのです。程度は幾らかありますが、適合者ほど重罪を犯すのです!その為、罪の重い人を優先的に地獄へ送り魂ごと浄化をし魔力として世界に戻す事で消費を抑えつつリサイクルしているのです!!」
「ん?ちょっと待て!それじゃ俺は犯罪者と間違われて殺されたのか!」
帝は椅子から立つと声を荒げながら少女に詰め寄るように動きだす。
「いえ!!ですから!最初にお伝えしました通り私のミスで帝さんを殺してしまったわけでして・・・」
少女は椅子から立つと詰め寄る帝に対して反対側の方へと移動し始める。
「ならそのミスとやらは、どんな内容なのか教えてくれるんだろうなぁ~?」
陽気に質問しつつも、少女を追い続ける帝だがその顔は全く笑っていない。
「言います!言いますから!!恐い顔で来ないで下さい!」
帝の顔を見て必死に逃げながらもちゃんと返答する少女だが、帝とのリーチの差はでかくあっけなく捕獲されてしまう。
「えっと・・・何から説明すれば・・・」
そう言うと態勢的に上目遣いになりながら帝を見る少女。それを見下ろす形になる帝は怒ってさえいなければドキッとしたかもと思ってしまうのだった。
帝に捕獲された少女は正座をしており、その前で腕と足を組みながら椅子に腰かけている帝。傍から見ればイタズラをした妹が兄に怒られている様に見える光景だった事だろう・・・。
「ミスした理由とそろそろお前の正体について話せ」
そうこの少女は帝が建物の中に入ってから未だに自分の名前を口にしていないのであった。
「ミスの件については私が悪いのでわかるのですが・・・正体と言われましても・・・。論理的に言えば自分が誰かなんて誰にも分からないわけですし・・・もしかして!ナンパですか!こんないたいけな少女を相手に!?ロリコンですか!?」
少女は始めに見た時のイメージとは真逆の、態度でしゃべりだした。
帝は満面の笑顔で、しかしながら腹の底に響くような低い声で
「自分の名前と素性を言えと言っているんだがな?子供には難しい話だったか?呼び方が分からないのも面倒だから・・・」
そこまで言って帝はふと思った。
「もしかして!人に言えない様な恥ずかしい名前なのか!?なら、無理には聞かないが・・・」
「違います!そんな!哀れみの目で見ないで下さい!人に言える名前ですから!」
帝が言い終わる前に食い気味に少女が答える。
「なら、早く教えてくれるか?」
「分かりました、ちゃんと聞いていて下さいよ?一度しか言いませんからね?いいですか?」
「前置きが長い!!」
「私の名前はライラ。ライラ=クイラと言います。」
ようやく名前を言った少女は恥ずかしい名前じゃないでしょと言わんばかりに胸を張ってドヤ顔でいる。
名前を聞いた帝は。
「で?ライラ?クイラ?どっちで呼べばいい?」
「へ?あ・・・えっとぉ・・・」
いきなり帝にそう言われて固まってしまう少女、いや少女改めライラ=クイラ
「ライラと先に名乗ったんだからライラか?いや馴れ馴れしいか?・・・ならクイラと呼べばいいのか?俺みたいに性・名前みたいに分かりやすいといいんだが・・・」
う~んと唸りながら首を傾げ、帝は自問自答しながらもライラ=クイラに問いかける。
「えっとぉ・・・帝さん?」
「うん?どうした?」
「どうした?ではなくて!感想とかないのですか?!」
急に立ち上がり、顔を赤くして怒るライラ=クイラ。身長的に帝が座っている為、帝を見下ろす形になっている。
「何に対しての感想だ?」
本当に何に対しての感想を言えと言われているのか分からない帝は首を傾げながら答える。
「何にって・・・名前!名前ですよ!!女の子が名乗ったんですよ!普通、可愛い名前だなとか、見た目の通り可愛いとか誉め言葉なら幾らでも出て来るものでしょう?!」
女の子が名乗ったからと言って一々感想を言わなきゃいけないものか?それに自分で可愛いとか普通言うかね?と思いながら帝は口を開いた。
「確かにそうだな、普通なら誉め言葉や世辞が出るところだがあいにくと、俺はミスったせいで殺されているからなぁ・・・」
帝が嫌味をたっぷりと込めてそう言い放つと。
「うぐぅ!」
と呻き声をあげながら精神的に特大のダメージを受けたかのように胸元を抑えつつ大きく、後ろに仰け反るライラ=クイラであった。
「それで、結局何と呼べばいい?」ライラ=クイラのリアクションを完全無視して話を進める帝に対し。
「もぉ・・・ライラでいいですよぉ~・・・」
力無くそう呟くライラであった。
皆様初めまして!寝る子トンキーと申します。お読みになって下さった方々ありがとうございます!。小説を読んでいるうちに自分好みのを書いてみたいと思い書き始めました。自分好みなので皆様がお気に召すか分かりませんが頑張って行きます!。初めて小説を書きますので誤字・脱字・変な文章等はご容赦下さい。