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4 破滅へのカウントダウン

「な、何、です・・・の・・・あれ・・・」

 自分が召還したものを見上げた霧乃は蒼白になった。

 空の穴の向こうに蠢く触手は、さっきの護法童子の機械的なそれとは違い、生物的な皮膚をしていた。ナメクジのように濡れ光り、ヘビのようにざらつき、芋虫のように突起がぶつぶつと吹き出し、ミミズのように伸び縮みし、タコのようにのたうつ。

 どんな人間が見ても生理的に嫌悪を覚えずにはいられなかった。

「ぎゃー、なにあれー!」リアが悲鳴を上げた。

「キモいー!」アンナも鳥肌をさすりながら叫んだ。

 エレノアとメラニーは目を見開き、嫌悪に震えながら立ちつくしていた。

 橋澤と久里子は頭上の異常事態よりも漆黒の男のほうが気になるらしく、男の様子を窺っていた。光は完全に慌てふためき、頭上、漆黒の男、周囲の皆にせわしなく視線を移していた。

 宇宙の穴から触手が一本、地上に向けて伸びてきた。ミミズが蠕動するように先端を湧き出しながら伸び、ほんの数秒で雲の上から地上数十メートルの高さまで来ると、地上の様子を探るように空中をぐねぐねとのたうち回った。その触手は一本で校庭を覆いつくすほどの太さがあり、動くスピードは濁流が押し寄せるかのように恐ろしく速かった。先端が前後左右に移動するのに合わせ、幹の部分がうねうねと波打ち、突起だらけの表皮がニュルニュルと模様を伸び縮みさせた。

 迫りくる触手に、その場の全員が腕をかざして身を庇い、嫌悪に顔を背けて地面に倒れこんだ。

 地球ではありえない、比べる基準の物すらない巨大な肉塊が視界いっぱいにのたうつ光景は、悪夢ですら見たことのない気持ち悪さだった。やがて地球の空気を探り終えたのか、不意に巨大触手は先端から吸い込まれるように縮みだし、宇宙の穴へと戻っていった。

 と、宇宙の穴の縁に、触手の先端がずらりと並んで頭を出した。並んだ触手は一斉にぐいと宇宙の穴を広げた。そして穴の中からは、何本もの新たな触手が地上に向けて先端を伸ばしてきた。

「ひー、また来る!」

「おいー! 何とかしろーっ、白菊ー! 白菊ってばよ!」

 アンナが怒鳴っても霧乃は無反応だった。この場で唯一、地面に伏せずに立ったままでいた。一瞬アンナは根性に感心したが、しかし霧乃は虚ろに触手の群れを見つめ、弛緩した笑みを浮かべてブツブツと呟いていた。

「ほ・・・ほほ・・・滅びるがいいですわ・・・地球ごと・・・」

 単に立ったまま腰が抜けて動けないだけだった。足元には水溜りができていた。

「進歩のねえ奴だな、もう」

「黒間くん、なんか術で追っ払えない? 黒間くん!」

 ヴァンパイアが巫女、じゃなかった神官に頼るのもどうかと思ったが、この際贅沢は言ってられないと、リアは呼びかけた。

 光は地面に伸びて安らかに気絶していた。

「黒間くーん! しっかりして! すぐに人工呼吸を!」

「待て、その前に心臓マッサージだ! 服を脱がせ!」

「腰の帯も緩めたほうがいいと思いますう」

「外傷がないか調べたほうがいいわね! 全身くまなく!」

 四人は光への下心で我に返った。

 一方久里子は、漆黒の男に畏怖しながらおずおずと近づいていた。

「ニ・・・ニャル・・・さま」

「ニャルラトテップだ、珍妙な装束の人間」

「何とぞオグドル・シル神にお帰り願えませんでしょうか」

 いつもの高圧的な態度は微塵もない低姿勢だった。鎧のまま手揉みまでしてカチャカチャと音を立てていた。

「これはしたり。召還したのは汝らのほうであろう。それに神々は如何な者の要望にも従いはせぬ」

「その割には呪文一つであっという間に来てくれたけど」漆黒の男の異様な威厳にも怯まず、エレノアの口は毒舌を取り戻した。

「ピザ屋さんより迅速ですぅ」

「なかなかにサービスのよい神のようで」橋澤は口調が接客モードになっていた。

「口を慎め、外来種に再生物に異界の役人ども、身を弁えよ」

「再生物はヒドいですよう」

「ああああんたらこのお方を誰だと思ってるの! クトゥルー神話の高位神、にゃるりゃふぉ・・・痛て、舌噛んだ」

 久里子が低姿勢のまま解説した。オカルトマニアをもってしても発音は難しかった。

「クトゥルー・・・?」アンナが怪訝な顔をした。

「メタリカが歌ってたやつだよ」

「ウエスト博士が小説のファンでしたぁ」

「あんたはずいぶんご執心なようね、そのニャ・・・様に」エレノアが久里子の態度に眉をひそめた。宇宙人をもってしても発音は難しかった。

「当たり前でしょ! ほとんど万能の宇宙神なんだから! その気になれば地球なんか軽く滅亡しちゃうんだから!」久里子は失礼にも漆黒の男をぶんぶんと指差しながらまくしたてた。

「え、こっちの人も神様?」

「さっき下僕とか言ってなかったか?」リアとアンナが怪訝な顔をした。

「神々にも序列があるのよ」久里子が解説を付け加えた。

「汝は神々への畏敬を弁えておるようだな。だが召還を撤回することはならぬ」

「どうしたら帰ってもらえるんですか、生贄とかですか?」

「よし、こいつら連れてっていいから」アンナが久里子と霧乃を指差した。

「呼び出した人が襲われるのがお約束ですよねぇ」

「でも黒間君は置いて行ってよね」エレノアが注文をつけた。

 ちなみに光は、四人によってたかって上着を脱がされた時点で目を覚ましたものの、空の触手の群れを一目見たとたん再び気絶した。とりあえず光の安全は確保しようと意見が一致し、アンナにお姫様抱っこされて離れたところへ運ばれていた。脱がされた巫女服はそのまま無くなっており、行方については四人ともシラを切った。

 漆黒の男はかぶりを振った。「卑小な地球人ごとき、神への供物には足らぬ」

「そ、それじゃ悪魔さんとか」

「待てコラ」

「ここは男の見せ所です、センセ」

 地球人の卑小ないがみ合いに、漆黒の男はますます見下す態度を大きくした。

「神々が召還に応じし目的は唯一つ、永遠なる怠惰の慰みとなす従者の奉仕にも飽き、新たなる余興を求むることのみ」

「なんかムズかしそうなこと言ってるけど、何のこと?」

「要するにヒマこいて退屈なんで遊んでよってことでしょ」

「とんだ構ってちゃんだよ」

 一斉にやいのやいのと神をこき下ろしだした四人に、漆黒の男もさすがに沈着な態度が揺らいできた。

「汝ら地上人種ごときには神々の意思を窺うことなどできぬ。慰みとなるに足らねば、怒りの受け手となりて消え去るがよい」

「ヒマつぶしで地球を破壊されるなんて、やですよぉ」

「何で神様なのにヒマこいてんの」

「オグドル・シルは己が創造した玉座に宇宙の原初よりおわす存在なり。かの世界しか知らず、従者にかしずかれて永劫の時を過ぎ行くうち、かように身も心も俗人の及びもつかぬところとなられたのだ」

 漆黒の男の口調は変わらず冷淡だったが、何となく神の解説には嘲りのようなものを感じた。もしかしてこの人、主人の世話に苦労してるのかも。

「引きこもりの極致かよ!」

「何とかして穏便に帰ってもらわないと」

「そーだ、本を燃やしちゃえば、呼び出しが消えるかもしんない!」たしか怪物が本と呪文で現れたあの映画でも、その方法で怪物が消えてた。

「待って、いきなり燃やさないで、あの本にお帰りの呪文とか書いてあるかも。何にしろあの本が必要よ」エレノアが提案した。

「よし、それ乗った!」

 アンナはいまだに幸せそうな笑顔でブツブツ呟いている霧乃に駆け寄り、足元の水溜りを慎重に避けつつ、手から魔術書をひったくった。

 いったいどんなとんでもない本なのかと、表紙に掛けてあったブックカバーを外して題名を見た。

『禁断の呪法 恋のおまじないネクロノミコン』。

「なんじゃこれは―――――っ!?」

 アンナは思わず全力で本を地面にバシンと叩きつけた。

「ちょ、ちょっと何してんのよ」

「ハァハァ、すまん、あまりのバカらしさについ」

「『恋のおまじない』ぃ~?」リアが横目で久里子をジロリと見た。

 久里子はしゃがみこんで背を向け、甲冑の指でガリガリと地面に円を描いていた。

「あ、あたしだって、中学のときは・・・それなりに・・・べ、別に、特に相手がいたわけじゃないけど・・・」

「それで厳重に封印されてたんですねえ」メラニーも苦笑していた。

「黒歴史ってやつだね」

「もういいから早く持ってきて」

「わかった」

 いろんな意味でバチ当たりな魔術書にアンナは手を伸ばした。

 魔術書はぴょんと飛び跳ねて逃げた。

 仰天したアンナたちが見守る中、魔術書はバサバサと羽ばたくように開閉し、空をひらひらと舞って漆黒の男の手元へ飛んで行った。漆黒の男は魔術書を受け止めると、表紙を感慨深げに眺めた。

「ほう、これは余が数年前、戯れに発布した書ではないか。かような形で成果を見ようとはな」

「結局あんたが元凶かい! 冗談で破壊神召還呪文とか出版すんなよ!」

「よもや地球人に正確な発音ができようとは思わなんでな。あの鼻を塞いだのが功を奏したらしい」

「そんなバカなー!?」リアは霧乃の鼻の絆創膏を見て顎を落とした。

「言うておくが、召還を取り消す呪文など無いぞ。たとえ燃やしたとて同じぞ」

「なんて陰険な性格なの」

「黒幕だ、この人。見た目からして」

「はわわ、もうダメかもですうー」メラニーが(比喩的に)頭を抱えてオロオロしだした。

「チクショー、なんか手はないんかよ!」

「ニャル・・・殿、何とかあの方をなだめる方法はございませんか」橋澤はすでに“お客様は神様です”モードになっていた。実際、本当に神様だった。

「言うた通りぞ。降臨せし神が去るは、慰みが満たされし時のみ」

「神を満足させろってこと? 倉内さん、神の好みってなんなの?」エレノアが訊いた。

 久里子はしゃがみ込んだまま、空に劣らず暗い表情で答えた。

「・・・クトゥルーの神々は・・・普段は、宇宙の深淵の玉座にいて・・・」

「それから? さっきあの人が言ってた“従者の奉仕”って?」

「あのデカいのにご奉仕しろってか・・・? ロージー人形でも用意すんのか?」

「従者たちは・・・フルートを吹き、神々は音色に合わせて身体をよじらす・・・」

「は? フルート?」

「とにかくそう書いてある。従者のフルートが、神々を落ち着かせてるって」

「じゃ、じゃあ、音楽室からフルート持ってきましょう!」

「吹けるの、メルちゃん?」

「ジェスロ・タルなら聴いたことありますけど」

「普通のフルートじゃないわ。従者も身体が数メートルサイズだし」

「だいたい宇宙の真空の中でどうやって吹いてるのよ」エレノアが科学的な突っ込みを入れた。

「知らないってば! そういう設定なのよ!」

「だー! 結局どうすりゃいいんだよー!」

 頭上では宇宙の穴から、オグドル・シルなる神の触手がすでに十数本、地球側に侵入してグニョグニョと蠢いていた。まるで空から逆さにイソギンチャクが生えているようだった。ただしそのイソギンチャクは町じゅうを午後のおやつに飲み込もうとするサイズだった。

「ほほほほ・・・もうすぐ・・・もうすぐですわ・・・この世界は浄化されます・・・」

 霧乃は恍惚の表情で神の触手をじっと見上げていた。

「誰かあのバカを黙らせろ!」


 そのとき、リアの瞳にある決意が宿った。

「アンナ、こうなったら」

「よし、逃げよう」

 アンナはくるりと校門のほうに向き直り、両手と片脚をダッシュの形に構えた。

「そうじゃなくて」

 リアはアンナの肩をがしりと掴んで向き直らせた。アンナは片脚を上げたダッシュの構えのまま、ぐるんとリアの正面を向いた。

「神様が普段フルートを聴いてるんなら、もしかしたら他の音楽も気にいるかもしれないじゃん」

「へ? なに? 音楽・・・?」

「ちょっと、あんたまさか、なに考えてるの」エレノアが食って掛かった。

 リアは構わず、つかつかと漆黒の男のほうに歩み寄った。

「ニャーさん」

「ニャルラトテップだ、変種」

「わたしたちがあの神様のために演奏します」

 リアの言葉に皆が唖然とした。漆黒の男は眉を上げた。

「ほう、汝らが従者に代わって神に楽奏を供しようというのか。かような申し出は余といえど初めて聞く」

「そりゃそうでしょうよ」呆れ果てたエレノアが呟いた。

「神様は満足してくれたら、帰ってくれるんですよね。やらせてください」

 エレノア、アンナ、メラニーも、橋澤も久里子も、漆黒の男の反応を見守った。あまりにバカバカしい提案に、いますぐ神を地上にけしかけるんじゃないかと心配になりながら。

「面白い。やって見せよ」

「はいっ!」

 リアはしゃきっと背を伸ばすと、すたすたとアンナたちのほうへ戻っていった。手と足を同時に出しながら。

 戻ってきたリアをアンナは両肩を掴んでがっくんがっくんと揺さぶった。

「お前なに考えてんだよ!」

「だだだだって、ももももうほほほ他に手が」

「適当にも程があるわ」

「ムチャですよう」

 アンナの腕を振りほどいたリアが目をパチパチさせながら言った。

「アンナ、前に言ってたじゃん、ロックは宇宙の共通語だって」

「ホントに宇宙人が出てくるとは思わなかったからだよ!」

「それでも、実際にロック好きな宇宙人がいたじゃない」

 リアはエレノアのほうを見た。エレノアは複雑な顔をしていた。

「それとこれとは違うでしょ。大体あんなのがロックでおとなしくなってくれると思うの」エレノアは頭上の巨大触手の群れを指差した。

「耳がついてるかどうかも分かりませんし」

「やってみなくちゃわかんないよ、ロック聴くの初めてみたいだしさ」

「当たり前だろが!」

「アンナ」リアはきっぱりと言った。「わたしたち、まだライブの途中だよ」

 アンナは呆気に取られ、一瞬の後、四人が置いてきた楽器のほうを見た。

「メルちゃん、次メルちゃんの歌だったでしょ。あの気持ちいい曲、きっと神様だって気に入るよ」

 メラニーは身体のオロオロを止めた。

「エリさん、さっきの初ライブの演奏、すごく良かったよ。次の曲もエリさんの演奏なしじゃできないよ」

 エレノアは何か反論したそうに言いかけたが、結局何も言葉が出てこなかった。

「・・・・・・チクショー! もうヤケだ! やってやるぜ!」

 アンナは考えるのをやめた。

「うんっ! メルちゃん、エリさん!」

「・・・が、がんばりますっ!」

「・・・やれやれ。他に名案もなさそうだし」

 リアは笑みを浮かべた。

「ちょっとあんた達、本気でやるつもり」久里子が不安そうに言ってきた。

「超本気!」

「こんなバカなのって聞いたことないわ」

「神様だって始めて聴くもんね」

 久里子はまさしく世界の終わりという顔になった。

「ああもう知らない! 勝手にして! あたしは普通の神にでも祈る!」

「その前に、今度はライブの邪魔しないでよね。先生もお願いします」

 不意に声を掛けられた橋澤は久里子と、それから霧乃の方を見た。

「わかった、こいつらは任せろ」

 リアは橋澤と久里子に軽く手を振り、霧乃と漆黒の男にちらりと目を向けると、

「行こう、みんな!」

 アンナたちに呼び掛け、楽器のほうへ走り出した。

「うおー! ライブの続きだ――!」

 アンナは両拳を振り上げ、やけくそに走り出し、リアを追い越した。

「うおー」

 メラニーもマネをして後を追って走った。

 エレノアはため息を一つつくと、三人を追って走り出した。

 空では蠢く巨大触手がいよいよ数を増していた。一本がひときわ長く伸び、校舎の屋上を擦めた。


「いいみんな? メルちゃんの曲からだよ」

 楽器に辿り着いた四人は、頭上の光景に怯えながら位置に着き、ギターを掛け、スティックを取り、スイッチを調整し、マイク位置を直した。

「ふえぇ、初めてのお客さんが神様だなんて、緊張しますぅ」

「いつも通りにやればだいじょうぶ! 観客なんて、ただのモブキャラだから!」

「よけいに混乱させるんじゃないわよ」

「こうなりゃヤケだ! 地球最大のロックンロールをブチかましてやるぜ!」

 ひとしきり想いを口にし終えると、四人はマイクのスイッチを入れた。

 アンナがリアとエレノアの方を向くと、二人とも頷いた。最後にアンナはメラニーを見た。メラニーは口を引き結んで頷いた。

 アンナはスティックを漆黒の男と、頭上でのたうつ巨大触手に向け、叫んだ。

「聴いてくれよ神様! ワン! ツー! スリー! フォー!」

 カウントに続いて、アンナがドラムを叩き、続いてエレノアのキーボードからアコーディオンの音色が流れた。リアとメラニーがリズムに合わせて演奏に加わった。短いイントロが終わりに近づき、メラニーは息を吸い込み、歌った。

『目を閉じて』

 巨大触手が一斉にビクンと反応した。

『目を閉じて』リアとアンナがコーラスで繰り返した。

『目を閉じて夢を見て』メラニーは続けた。初ステージの、しかも巨大怪物が頭上で蠢いているという状況でも、メラニーの声は震えておらず、同時に弾いているベースの演奏も乱れてはいなかった。

 見るとメラニーは本当に目を閉じて歌っていた。演奏は身体が覚えているので、観客の顔を見て緊張しないようにしているのだった。特に観客の見た目があれじゃ、見ないほうが正解だね、とリアは思った。

 歌詞は人生と死神についての内容になった。この曲書いた人、本当に死人が歌ったって聞いたらどんな顔するんだろう。神様のほうはどうかな、とリアは演奏とコーラスを合わせながら頭上の様子を伺った。

 触手は変わらず蠢き続けていた。

 ふたたびコーラス・パートになった。『目を閉じて・・・』

 と、触手がまたビクンと反応して蠢いた。今度は連続的に。触手の蠢きは、曲のリズムと同じタイミングだった。

(聞こえてる!)

 ともかくも神が曲に反応したのを見て、リアは希望が湧いた。

 メラニーのヴォーカルは2番を歌い続けた。

 今度ははっきりと、曲に合わせて触手が動いているのを見た。それだけではなく、触手のうねりや先端の振れが、あるものはドラムのビートに合わせて揺り動き、あるものはキーボードのメロディに沿って波打っていた。

(曲にノッてる!)

 リアは驚きと喜びに顔を輝かせ、アンナとエレノアのほうを振り返った。

(見て! 見て! 神様喜んでるよ!)

 口には出さないが表情は二人に伝わり、リアに促されて二人も頭上を見た。触手の群れが一斉に曲に合わせて動いていることを見て取り、エレノアは驚き、アンナは笑みを浮かべた。目を閉じたままのメラニーは気付かないまま一心不乱に歌と演奏を続けていたが、他の三人の演奏とコーラスが高揚してきたのを感じとり、うっすらと目を開けた。

 そしてメラニーも触手の群れが音楽に合わせて踊るように脈打っているのを見た。正しく弾くことだけに集中していたメラニーの演奏と歌に、喜びが漲ってきた。

 今やバンドと、観客である空一面の触手の群れは、曲から沸き起こるエネルギーを増幅し合い、一体となって歓喜に満ち溢れた。

 触手の蠢きの変化は離れた所にいる久里子、橋澤、漆黒の男にも見て取れた。そして全く周囲の状況が目に入らなかった霧乃も、ようやくオグドル・シル神の様子が変わったことと、場違いなロックの歌が聞こえることに気が付いた。

「な・・・何ですの、どうなってますの」

 初めて目を地上に向けて様子を見回すと、遠くの方でリアたち四人が演奏しているのが見えた。歌っているのはよりによって、霧乃が最も恐怖と屈辱を味わわされたあのゾンビだ。オグドル・シル神があのゾンビたちの曲に合わせて踊っている。

「あ・・・あいつら、またしてもわたくしの邪魔を! おのれ! おのれおのれ!」

 憤慨してバンドの方へ足を踏み出した霧乃に、久里子の手が制止に入った。

「シッ、霧乃、静かに」

「離しなさい久里子! あいつらは学園では飽き足らず、わたくしの神までも汚していますのよ!」

 久里子の制止も聞かずにわめき立てる霧乃は、そのとき突然、圧倒的に強大な悪寒がのしかかるのを感じ、口をつぐんだ。久里子も異様な空気を感じて振り返った。

 漆黒の男が片手をこちらに向けて広げていた。位置は変わらず数メートルは離れていて、手の大きさも人間と変わらないはずなのに、霧乃はまるでロードローラーに押しつぶされてでもいるように身体が重くなり、身動きができなかった。

「続けさせよ」

 漆黒の男は、幾星霜の下僕稼業のこのかた初めて見るオグドル・シル神の反応と、それを引き起こした地球の音楽に興味津々の表情を浮かべていた。

 メラニーは喜びいっぱいに歌い終え、四人はゆっくりと余韻を響かせて演奏を終えた。

 触手の群れは曲の終わりとともに静止し、次いで各部を震わすように蠢いた。それはまるで観客の拍手のようにも、「もっともっと」という催促のようにも見えた。

 神がお気に召したらしいことで、観客の反応に高揚した四人も、続けたい気分だった。ことに生まれて初めてのライブ演奏で観客を沸かせたメラニーは、心の底から楽しんでいた。

 リアが他の三人に向かって呼びかけた。「みんな、次わたしの歌やろう! あの曲ならきっと、神様も気に入って、帰ってくれるかもよ」

 エレノアはその意図を察して頷き、メラニーとアンナにも目で促した。全員が同意したのを確認すると、リアはマイクと、その上に広がる触手の群れに向き直った。

「ワン! ツー! スリー! フォー!」

 アンナのカウントとともに、四人が一斉に軽快なイントロを弾きだした。そしてせいいっぱい胸を反らして、メインヴォーカルのリアが歌い始めた。

 歌詞は遠い故郷を想う内容だった。歌の良さが分かるなら、きっと歌詞の意味も分かってくれるよね。なんたって宇宙全能の神様だし。さあ、サビだよ、神様、聴いて!

『帰ろう、僕の心の故郷へ・・・』

 メインヴォーカルのリアに、アンナ、メラニー、エレノア三人がコーラスを合わせた。四人とも歌いながら神が歌詞の通りにしてくれないかと期待した。地球の英語を一言一句分かりはしなくとも、歌詞の意味は感じとって、もしかしたらその通り、家に帰りたくなるかもと。

 しかし触手の群れは、さっきと同じく、曲のリズムやメロディに合わせて身をくねらせ続けるだけだった。

 それでもリアはめげずに歌と演奏を続けた。二番が終わり、間奏に入っても、触手の蠢きは変わらず空一杯に広がったままだった。

 まだだよ、この曲はアドリブが入ってからが盛り上がるんだから!

 リアはアンナを振り向いた。

(いい?)

(任せとけ!)

 アンナは短く頷き、マイクへ口を近づけた。

『ゴーイング・ホーム!』リア、メラニー、エレノアが声を揃えて歌った。

『ゴーイン、ゴーイング・ホーム!』一フレーズ遅れて、アンナが一際大きな声でアドリブを入れた。

 リアがアンナのヴォーカルに励まされるように声を張り上げた。

『ゴーイング・ホーム!』

『ゴーイン、ゴーイン、ゴーイング・ホーム!』

 コーラスが2回目の繰り返しに入ったとき、触手の波打ちに変化が生じた。今までと違うタイミングで入ってきたアンナのヴォーカルに、一部の触手がぐるりと反応したのだ。やがて他の触手も数本、それを追いかけるように動きのタイミングが変わり、やがてまた数本、また数本が続いた。

 そして一部の触手は先端から縮んで上方へ戻っていった。

 触手の変化を見て取ったリアたちは、チャンスを逃すまいと、三回目のコーラスに突入した。

『帰ろう!』

『帰ろう、帰ろう、故郷に!』

 触手の群れは、最初に縮んだ数本を追いかけるように、一本また一本と、縮みながら空の穴へと上昇していった。いまや校舎のすぐ上をのたうっている触手は数本だけとなり、その一団も蠢きながらだんだんと上昇していった。

 オグドル・シル神の様子の変化は、離れたところの一団にも見て取れた。霧乃と久里子は口をポカンと開け、橋澤は安堵に汗を拭い、そして漆黒の男は、ついぞ見たこともなかった光景に、自分でも信じられないことだが、感嘆していた。

 神の好反応に気をよくしたバンドの歌と演奏はますます活気づき、さらにコーラスを繰り返しに入った。すでに触手は数本が穴から先端を伸ばしているだけとなり、まとまって揺り動きながら徐々に空の穴の中へと後退していった。

 ついに全ての触手が穴の向こうへと下がり、宇宙の暗黒と星々が穴の中に見えるようになった。空の穴を縁取る雲の環が回転しながら徐々に直径を縮めてゆき、やがて宇宙空間が見えなくなるまでになり、空には雲が渦巻くだけとなった。

 神が故郷に帰るのを見届けたリアは、他の三人を促してエンディングの演奏に移った。きちっとフィニッシュを決めなくちゃ、最高のパフォーマンスとは言えない。神様を最後まで満足させなきゃ。

 エンディングの演奏に合わせて、渦巻く雲は急速に薄れていき、最後のコードが鳴り響いて消えたときには、空は明るい午後の青さに戻っていた。

 バンドの四人は演奏を終えた静寂の中、空を見回した。不吉な暗さも、怪しい雲も、口を開けた宇宙空間も、触手の群れも、何もなくなっていた。

 オグドル・シル神は地球を滅ぼすことなく帰っていった。

「やった――――――!」

 リアとメラニーは楽器を下げたまま両手を挙げて跳び上がり、アンナはスティックを宙に放り投げた。エレノアも両拳を胸に当てて安堵に天を仰いだ。

 そこへ、校舎のあちこちから、まばらな拍手と、歓声と、口笛が聞こえてきた。校舎の中に残っていた数人の生徒たちが、巨大触手が空から襲来し、バンドの演奏とともに去っていくのを目撃していたのだった。これだけ派手に異変が起きたのでは、誰も気付かないほうがおかしいが。一部の生徒はまだ何か起きないかと上空を見回していた。

 生徒たちは何がなんだか分からないうちに、気味の悪い触手が消えたことと、その関係者らしいバンドの演奏に対して、拍手を送っていた。巨大触手が視界いっぱいに蠢いている中で聴くと、演奏も何割か増しで美しく聞こえたのだ。

 バンドの四人は、それぞれに手を振り、自分たちに向けられた拍手に応えた。

「サンキュ――!」「ありがと――!」「ありがとうございま――す!」「ありがとう、みんな」

 手を振る四人に観客の拍手は続いた。

「わっ、わたしっ、バンドやってよかったですっ! ほんっっとにっ、よかったですっ!」

 初ステージのメラニーは感激のあまり涙を浮かべていた。

「わたしも、メルちゃんと一緒にできて、すっごく嬉しい!」

「よくやったわ、二人とも」

「やったぜ、オレたちのロックは最強だ!」

 バンドがお互いを、また自らを讃えていたとき、

「待ちなさ――い! なんてことをしてくれたんですの――!」

 耳をつんざく叫びが割って入った。霧乃がずかずかと向かって来ていた。こっちは無念のあまり涙を浮かべ、さっきの触手にも負けず劣らずの恐ろしい形相をしていた。制止しようと霧乃の腰を両手で掴んでいる久里子を、霧乃は甲冑も含めた重みをものともせずガリガリと引きずっていた。

「まーだ来やがったよ」

「せっかく感動的なところでしたのにぃ」

「そうだよ、騒ぎ起こした張本人のくせに」

「少しは感謝してもらいたいわね」

 四人はうんざりしながら霧乃を非難した。

「お、お黙りなさい、悪魔の分際で! よくも、わたくしをこんな・・・こんな・・・」

 屈辱と憤怒のあまり言葉を詰まらせた霧乃は、ぐるんと振り向くと校舎から歓声を送っている生徒たちにも指を振り回した。

「あ、あなた方もこいつらに拍手なんかするんじゃありません! こんな、こんな神を冒涜する輩なんかに!」

「霧乃、やめとこう。今はあたしたちのほうが分が悪い」

 久里子は生徒たちの不興を察して霧乃をなだめにかかっていた。理不尽に暴れる子供をあやす母親のようだった。

 一方、アンナたちは観客を味方につけたことで得意満面になっていた。

「恐れ入ったか、オレたちのロックは神のお墨付きだぞ」

「今や神様公認だもんね、えっへん!」

「余はお墨付きなど与えてはおらぬぞ」

 不意に近くで威圧的な男の声がした。漆黒の男がいつのまにか近くに立っていたのだ。

 六人は仰天して飛びすさった。

「うおあ、また出た!」

「帰ってなかったの!?」

 漆黒の男は六人の反応を蔑むように目を細めた。「余を怪物の如くに言うでない。怪物の分際で」

「神様と一緒に帰ったんじゃなかったんですか」

「余は這い寄る混沌、いかなる場所であれ自らの意思あらば赴くことができる」

「ま、ま、まだ何か、ニャルラふごっ」久里子が舌を噛んだ。

 とうとう誰もまともに名前を発音できなかったことで、漆黒の男はついに慈悲を示した。「余をナイと呼ぶことを許すぞ」

「どうも、ナイさん。あの、まだ地球を許してくれないんですか」リアがおずおずと尋ねた。

 漆黒の男は首を傾げた。「神々は元より許しなど持ち合わせてはおらぬ。関心の外に捨て置かれただけだ」

 人間と妖怪たちがゴクリと固まるのを見た漆黒の男は、説明を続けた。

「案ずるでない。オグドル・シルは深淵の玉座へと戻られた」

「それじゃ、ナイさんはどうして」

「余は大いに関心を惹かれたのでな。オグドル・シル、否、外なる神々が未だかつてあのように楽奏に愉悦を表されたことはなかった」

「神様のライブ初体験ってわけだね」

「光栄ですう、えへへ」

「オレたちロックの伝道師だな」

「褒めてとらそう。そなたらには遠からず再び楽奏を供してもらうやもしれぬ」

「ナイ様、その節には私にまずお話を通していただきませんと」

 すっかり存在感のなかった橋澤がいつの間にか寄って来ていた。宇宙神がいなくなったとたんに漆黒の男に対する態度が大きくなっていた。

「そなたの介在など無用だ。矮小な役人が。この者達の主のつもりか」

「顧問兼監視員です」

 漆黒の男は軽く眉を上げ、ちらりとリアたちを見た。

「まあ、いちおう顧問だし。先生に黙ってやるわけにもいかないしね」

「またあんな神にいきなり来られても困りますから」エレノアも同意した。

「矮小だって、ぷぷ」アンナは橋澤への一喝に吹いていた。

 リアたちの同意に、漆黒の男も承諾した。「よかろう」

「ご用の際はこちらまでよろしく」

 橋澤が名刺をうやうやしく両手で差し出した。『橋澤清石(はしざわきよし)』と甲石高校の連絡先が書かれていたが、裏面には何やら魔界の文字らしき禍々しいフォントが並んでいた。なぜか日本語でも併記してあり、『アバドン・クロノス・マンタス サタン統治領情報局顧客管理部』と書かれていた。するとあれが橋澤先生の本名なのか。なんか肩書も、さっきからの接客姿勢も小物っぽいなあ、とリアは思った。

「ちょっと、わたくしの事はどうなりますの。オグドル・シル神を召還したのはわたくしですのよ。わたくしを置いて勝手に帰るなんで」

「霧乃、頼むからこれ以上ナイ様を怒らせないで」

 久里子の制止も構わず詰め寄る霧乃に、漆黒の男は冷徹な視線で見下ろした。

「汝は己が身を弁えておらぬな、人間。神に命じようなど汝の手に余ることを思い知ったろうに。肉体が恐怖に耐えられぬこともな」

 漆黒の男は視線を霧乃の下腹に向けて言った。霧乃はさっきの失態を思い出して真っ赤になった。

「その通りね、これ以上恥の上塗りはしないほうがいいわよ」

 エレノアが漆黒の男にも負けず劣らずの冷たい視線で見下ろした。

「わたしたちが地球を救ったんですよお」

「そのとおり、ふふん」

 メラニーとリアも目付きをマネしてみた。威圧感はいまいちだった。

「今度オレたちに因縁つけるときは、オムツを忘れんなよ!」

 アンナがとどめの一言を放った。

「ぐぬぬぬぬ・・・おっ、憶えてなさあ―――――い!」

 霧乃は真後ろに振り向くと、ものすごいスピードで一直線に走り、叫びながら砂煙を上げて去っていった。

「ナイさんって、悪口も時代劇しゃべりなんだね」

「どうも近頃地球において、余と外なる神々の神格が甚だしく歪められておるようでな。努めて畏怖さるる言動を取るようにしておる」

「神様もイメージ戦略って大事なんですねえ」

「ど、どうも、うちの者が失礼をいたしました。なにとぞ、この場はお納めくださいませんか、ナイ様」久里子がまた揉み手をしながら平身低頭していた。

「恐れ入りますが、ご用がお済みでしたら、また騒ぎが起きても困りますし」橋澤は完全にいつもの“面倒は御免だモード”に戻っていた。

「ふむ。よかろう。だがよい機会だ」漆黒の男は始めて、小さく笑みを見せた。「もう一曲聴かせるがよい」

 バンドの四人も笑顔を浮かべた。

「は、はいっ! もう一曲あります!」

「わたしたちのセットリストまでご存知だったんですか、ナイさん」

「当然よ、這い寄る混沌様は全てをお見通しなんだから」久里子が神格の威を借りて代弁した。

「よおし、いよいよオレの出番・・・と、あれ、スティックが」

「さっきあんたが放り投げたでしょ」

「あった、あそこ!」

 アンナのドラムスティックは二本とも近くの地面に刺さっていた。一本は護法童子に真っ二つにされた霧乃の十字架、もう一本は霧乃がすっ転んだお守りの紐の輪に命中していた。

「おお、こっちの神様もロックの味方じゃねえか」

 スティックを拾ってドラムセットに戻ってきたアンナは、立ち上がった姿勢でマイクを取り上げ、校舎から覗いている何人かの生徒と、そして傍で待ち受ける漆黒の男、ついでに橋澤と久里子にも向けて、ライブ再開のMCを叫んだ。

「みんなありがとお―――う! 宇宙最高のライブへようこそー!」

 校舎の観客から歓声が上がった。

「そしてオレたちは宇宙最強のバンド! ギターはレイン・オブ・ブラッド、リア!」

 飛んできた口笛に応えて、リアが満面の笑顔で手を振った。

「ベース、ドロップ・デッド・ゴージャス、メル!」

 メラニーが笑顔で両手を挙げて進み出た。

「キーボード、レディ・スターダスト、エリ!」

 エレノアは眼鏡を外して手を振り上げた。

「そしてオレ――」

「ドラム、ビースト・オブ・バーデン、アンナ!」

 エレノアがMCを横取りした。呆気に取られたアンナに、エレノアはさっきのお返しとばかりに小さくニヤリと笑って顔を逸らした。

 アンナは苦々しく歯を剥き出したが、四人の中でいちばん歓声が大きいことに気付き、気を取り直してMCを続けた。

「最後の曲だ! ありがとうみんな! 次のライブも楽しみにしててくれよな!」

 座ってマイクを取り付けなおすと、アンナは勢い良くスティックを打ち鳴らした。

「ワン! ツー! スリー! フォー!」

 ドラム、ギター、キーボード、ベースが一斉に、軽快なイントロを奏でた。

 弾むようなドラムのビートを撃ち下ろすとともに、アンナが歌い始めた。

 リア、エレノア、メラニーは美しく重なるコーラスとともに、喜びに跳ね踊るようなリフを演奏した。

 歌のもたらす歓喜の波動に、観客の生徒たちは拍手を送り、身体を揺らした。

 そんな歓声に怪訝な顔をしつつ、橋澤と久里子は漆黒の男の様子をちらちらと伺っていた。

 漆黒の男は興味深そうに腕を組み、じっとバンドの四人を見ながら曲に聴き入っていた。

 四人は高揚感いっぱいの曲を観客たちに、そして自分たちに向けて送り続けた。

『夢見て夜を明かそう 時が経つのも忘れて・・・』


「むにゃむにゃ・・・あ、あれ、僕はどうしてこんな所に? 委員長~、どこですか~。何があったんですか~。ってうわぁ!? 何で僕ハダカなんですかぁ!? どうなってんですかぁ! 誰か説明・・・ってやっぱこっち見ないでくださいー! 指差さないで! 写真撮らないでー! 見ないでー! い――――や――――!」


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