週末の楽しい過ごし方
三年の冬、俺はなんとなく過ごしていた。もう三学期の後半に差し掛かり、卒業式は間近のところまできている。センター試験も難なくクリアした俺だが、やはり、どうしようもない自由登校という、暇な時を過ごしている。と、いうより浪費している? まあ、叱られもしないのが、少し気にかかるな……
そんな怠惰な時間も、怠惰な生活だって、もうすぐ終わってしまうのだ。いささか不服である……
まぁ、そんなことを気にもとめず、ソファーの上に寝転んで、リモコンを手にとる。する事のない俺は、チャンネルを変えていくが、やはり、この時間は観たいのもなく、テレビを消して、リモコンをテーブルの上に投げる。
「この時間は、面白いテレビはないのか? まぁ、いいが……」
ふと、時計を見たが、さっきとほとんどかわらず、午後一時を指している。なんと、ぜんぜん時間が進んでないだと……そんな気持ちがこみ上げてきた。
お、俺は超空間に囚われてしまったのか!
「そんなわけ無いでしょ! このバカ中二病アニキが!」
とんでもないことを言われる。バカとはなんだバカとは、バカっていう方がバカなんだぞ! 我が妹よ……
「考えてること、丸分かりだっつーの、いい加減高3にもなつて、中二とか笑えないから、辞めてくんない!」
「酷いこと言うなー……中二だって人の生き様だ! お前はそれを全然、全く、これっぽっちも分かってないな!」
ははっ、妹よ、怖じ気付いたかっ! 我の生き様は、誰にも止められはせんよ、はっ!
「そんな決めポーズしなくても、お兄ちゃんの考えていることは、分かっちゃうんだよ♪」
うっわ……ないわー、さっき言ったことを、可愛く言ったつもりなんだろう。実の妹にそんな事されても、これっぽっちも、嬉しくはない……
「で、なんか用なのか? お前が、俺に話しかけるとしたら、それくらいなもんだろ?」
「うっ……な、なんで分かったのよ……」
「そりゃあ、お前が俺の心が読めるのに、俺がお前の心を読めないわけがないだろ!」
ドヤ顔でそう言って、ポーズを決めてみる。
「もう、いいよ……? お兄ちゃん……無理して、中二病みたいなことしなくても……」
「あっ、ばれてた?」
「バレバレだし、実の妹相手にそんな事して楽しいの?」
なんか真剣に聞かれる。う、うん……これが、意外と楽しい……
「お兄ちゃん……」
「じょ、冗談だって……」
そう言って苦笑い……いつものことさ、気にしない。でも、何だかんだで、乗ってくれるのだよね、こいつは……
「で、本題を言え……」
「あ、うん……」
なんか、真面目な顔になった。
お気楽な俺でも、室内の空気が変わるのをかんじた。
俺は、固唾をのんで、妹の様子を見守る。
脂汗が、どっとあふれ出てくる。な、なんだなんだ! この空気はーっ!
そして、この沈黙を破るように、やっと妹が口を開いた。
「私の眼鏡、知らない……?」
一瞬部屋の中が凍った。ほんとにこういうことってあるんだな……
そして、俺は盛大にずっこける。
し、シリアスな雰囲気の中、そんな事を聞くの!?
妹の方を向くとら悪びれる様子もなく、舌をだして、こう言ったのだった。
「てへっ♪」
こんばんは、愛山 夕雨です。
久しぶりの三題噺です! 今回のお題は「リモコン」、「眼鏡」、「卒業式」で、制限時間をもうけて作った作品なので、あまり良いものでは……でも、気にしないです……
前回の三題噺の時は、ペンネームが違いました。分かってくれる人が、居れば幸いです。
それでは、またゲリラ投稿もよろしくお願いします