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―光が討伐隊に入隊してから1年後―
「光、援護して!」
「ハイ、後方援護完了!」
「光、障害物に気をつけて射撃!」
ダッダッダッと、爆竹が連続して鳴るような音が広がる。
雨降財団が所有する、東京ドームが数個も収まる広大な森林の中で、光は射撃訓練を行っていた。
入隊してから約1年。光は亮夜の下で厳しい訓練に耐えて、他の訓練生より早く実戦練習を受けていた。
光は入隊半年で訓練生から正規隊員に昇格をして、亮夜、鈴と共に、スリーマンセル(3人1組)で「神堂班」に所属し、武器を使ってのウォーム討伐訓練を始めていた。
当初、自分のスパルタ訓練に根を上げるだろうと光を見ていた亮夜だが、そんな予想を裏切り、光は泣き言を言わずにメキメキと頭角を現してきた。
鈴もそんな光の姿を見て、今は年齢に関係なく実戦訓練では細かく指示を出している。
「もう昼だ。ご飯休憩にしよう」
リーダーになっている亮夜が鈴と光に声を掛けると、鈴と光は頷き、武器を背中に抱え訓練所内にある休憩施設に向かった。
「亮夜さん、鈴さん、お茶を持ってきました」
光は小さなお盆に3人分の紙コップに入ったお茶をのせて、亮夜と鈴が座っている丸テーブルに持ってくる。すると、休憩所内にある食事配布所からオニギリを持ってきた鈴が、光の目の前にオニギリを差し出した。
「光、サンキュー。これ、光のオニギリよ」
「梅おかかと鮭と……これは何だろう?」
「それは焼肉だ」
「うわあ、どれも美味しそうだ。頂きまーす」
テーブルの上にお茶とオニギリを広げて、3人は昼食を取り始めた。
この訓練所は全てが実戦スタイルを取っているため、食事はバイキングや定食ではなく、手で食べられるオニギリかパンに統一されている。
一つの班が休憩所を利用できるは食事時間を入れて15分。その時間を過ぎたら、館内から外に出る決まりになっている。
なので、班員は急いで食事を済ませなければならないのだ。
光達が食事を始めて10分が経過した頃、突然館内に「ウー、ウー」と、大きなサイレン音が鳴り響いた。
「この音はまさか?」
「光、静かにして!」
突然聞こえた音に光が驚いた声を上げるが、すぐに鈴に窘められた。
『西方5キロ先にウォームが2体出現。各隊員はすぐに出動してください。繰り返します――』
「鈴、出動だ。」
「ハイ! すぐに移動車を手配するわ」
そう言うと鈴は椅子から立ち上がり、素早くどこかへ立ち去っていく。
「光、初めてのウォーム討伐になるが、戦えるか。無理なら……」
「行きます! 亮夜さん、連れて行ってください!」
光の真剣な眼差しを見た亮夜は、自分の胸ポケットに手を入れると、小さな箱を取り出した。
そしてその箱を光の目の前に差し出す。
「亮夜さん、これは何ですか?」
「これは『ウォーム討伐隊』に必要な指輪だ。嵌めてみろ」
光が箱を開けると、そこには3mmくらいの小さな赤い石がついた指輪が入っていた。
亮夜から貰った指輪は、光の右手中指にぴったりと嵌った。
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