六書目『赤のマフラー、白の装束』
なぜ、生きている!?
確かに、あのとき僕が少女を殺したはずだ。
しっかりと、死ぬ間際に僕は近くに居た。
「幻覚か?」
そう思い、もう一度、外を見ると。やはりその少女はいた。
赤のマフラーを巻き、小さな体に大きすぎる白装束をそれが当たり前かのように着ている。
というよりも、着こなしている。
まるで、いつもこんな格好をしているかの様に。
「開けてよ。寒いんだけど」
喋った!!いや。喋るのは当たり前だろうけど。
いやでも、生きている時点でおかしいのに。
「あの、、、どなたですか?」
素知らぬふりをかまして、外にいる少女に質問する。
「あ?手前が轢いたかわいいかわいい女の子だろうが!!!」
そう叫んだ少女は、ドアを蹴る。
なんだこいつは。他人への迷惑を考えないのか。
というよりもやはり、この少女は僕が殺した少女なのだ。
僕はドアを蹴られるという迷惑行為に耐え兼ね、ドアを開くことにした。
別に、3歳下の少女を怖がったわけではない。
「、、、や、やぁ」「やぁ、じゃねえよ。寒い!ジュース出せ!オレンジな」
まったく。どんな教育を受けるとこんな風に悪育ちするのだろうか。
僕は、たまたまあったオレンジジュースをコップに注ぎ少女へ出す。
「んむ。うまぁぁぁぁぁぁぁ!!やっぱ、コッチの物は旨い!!」
「あの、君はなんなの?」
それ以外の質問が思い浮かばなかった。
「あ?分からんか?手前が渡しを轢いたことによってまた幽霊になったんだよ!!」
僕はまぁ。普通に驚いた。
しかし、幽霊という単語ではない。いや、そこも確かにおかしいのだが。
「また」の部分に驚いた。
「また」ということは、この子は何度も死んでいるのか?なんだ、なんてフィクションだ。
「ふぅ。まぁ、そう言うことだ。お前にも死んでもらうよ」
「そういうことって、どういうことだ!?君のなかで何が解決したんだ!!」
最近の小学生は恐ろしい。何を仕出かすか分からないとはよく言うが、何を考えるか分からないという方が適切な気がする。
「あの、その。色々聞きたいんだが。君はなんで生きてるの?」「は?さっきもいったじゃん。今の私は幽霊なの」「そうか。なら、幽霊になった君はなにしてるの?」
僕の言葉に少女はあきれたかおで答えた。
「んなもん決まってんだろ!折角生き返ったのに、また殺されたんだ。復讐だよボケ!」
なんでこんなに暴言を吐かれてるのだろうか。
まぁしかし、こんな暴言のシャワーごときで、少女が生きているという事実が存在するだけ充分かな。
と、思ったが。おかしい。
幽霊というのは本当なんだと思う。怖いし、馬鹿げてると思うが。生きているとなると信じるしかない。
しかしだ、なぜ俺の家を知っているんだ。
「はー、何。黙りこくって。ていうかさ、どうしてくれんの?また私、幽霊人生始まってんだけど。これで四回目なんだけど」
四回目!?は?
「四回目ってことは、、、君は四回死んでるのか!?」「うん。そう。何回も死んでる」
「どういうことなんだ。一から教えてくれよ!」
「あ?簡単に言えばさ。私が死にました。誰が殺したか確認しにきました。なんだムカつく野郎だってことになります。道ずれってこと」
あ、あぁそういうことか。要するに、殺されたから殺し返すと。まるで、ゲームのように。
「はぁ、詳しい話聞きてえなら、手っ取り早い方法があるけど。どうする?聞くか?」
聞くか。と聞かれて聞かないわけはない。
この時、面倒なことが起こりそうだとは正直感ずいたが、やはり自分が悪いのでしっかりと聞くことにした。
「そんじゃあとりあえず、、、」
そういって、少女は机に足をのせ、オレンジジュースの入ったコップを転がり落とす。
パリン!と響いたその瞬間。白装束の内側から拳銃を取り出した。
「は!?まて、それはおかしい!!かんがえろ!!」
「まぁまたあとで」
銃声が鳴り響いた頃には、もう意識は半分薄れていたのだった。