五書目『現実から逃げる少年と、、、』
なぜだか、僕は家に居た。捕まるのが怖くて、責められるのが嫌で。
僕、鑑継軸だ。年齢、15歳。誕生日、1月。血液型、A。好きな食べ物、ポテトサラダ。好きな音楽、クラシック、好きなもの、お金。
好きなこと、物思いに更けること。
とか、自分でモノローグを口に出す。部屋で一人で寂しく自分について語るとは。かわいそうなやつだとは思う。
そうだ、僕は人を殺したんだった。そんなことを今更ながら思い出す。
あの、坂での出来事を。不慮の事故というと言い訳をして、事実から目を背けているみたいなので、嫌なんだけれど。
まぁそれでも、悪意は無く人を殺した。 齢12と医者は言っていた。
そんな、幼い少女の、これからの人生を俺が棄てたのだ。
「はぁ」ため息をつく。
これからどうしようか。入学式に出ていないなそういえば。
まぁ、どうにかなるかな。と思いつつも少し胸がドキドキする。
なんだか、嫌だなぁ。
これから、楽しいか楽しくないかわからない学校ライフを楽しく過ごすことはもう、無いんだろうな。
警察に捕まるだなんて嫌だ。けれど、犯した罪について反省していないわけではない。
というよりも、そこまで大したことでもないと思っている自分が怖い。
かなり大きな出来事に直面すると、現実逃避をするのだろうな。
そんなことを思っていると。
ピンポーン。と、家のチャイムが軽快になった。
まさか、警察か!?
僕は、ゆっくりと、家のドアについている外を見ることのできる小さな穴を覗く。
そもそも、この小さな穴。名前はなんなのだろうか。というより、中から安全を確認するために、外を見る。傍観する。
外側からされているということになるのだが。
それは、ある意味気分の悪いことだ。
まぁ、そんなことはとにもかくにも。
外を見た。
すると。
「遂に、幻覚まで見るようになったか」
現実から逃げすぎて、幻覚が見えるようになったのだ。
僕の家の前に居たのは。
紛れもなく、僕が自転車で轢いたあの子だった。