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第7話 魔導具の反動

 精霊王が次から次へと繰り出す攻撃を軽くいなすようにすべて相殺し、消し去るリア。そして、彼女は精霊王の力を確実に削ぐように吸収していく。


「大分、弱まっているわね」


 そう言って彼女はサイズが当初の半分くらいになった精霊王を見た後に微笑む。


「いや、その前にリア。なんで、そんなに強力な魔術を使用できるんだ? いくら、精霊王の力を吸収していてもすぐに魔術は会得が出来るものじゃないだろ?」


 俺はリアが放つ凄まじい力の奔流を肌で感じながらそう叫ぶ。だって、聞いたことないぞ。魔術で精霊王に勝つ人間って…


「元々、この程度の魔術は出来たのよ。ただ、規模が大きいせいでコントロールがなかなか出来なかったら使ってなかっただけよ」


「力が増えた今ならさらに簡単に使えるっていうのかよ? おまえ、本当に人間かよ?」

 

 それが本当だったら、歴史上のどの魔術師よりも魔力が強そうな気がするんだけどな。もう、なにがなんだか…


「失礼ね。人間よ。だた、ちょっと、人よりも最初から魔力が多いだけのね」


「我を無視して会話とは余裕だな!!」


 そう言って、精霊王は力を放つがリアがすぐに魔術を放ち消し飛ばす。


 苛立たしく頬を引きつらせる精霊王を見て微笑むリア。


「さてと、そろそろ、どうやら力の差もなくなってきたみたいだから、そろそろ私達のお話を聞いてくださるかしら?」


 リアはニッコリと笑いながら精霊王にそう言う。


「そ、そう簡単に教えると思うか?」


「なら、さらに力を奪うわよ?」


 睨みつけてきた精霊王に笑みを崩さずにそう言うリア。うーん、怖い。味方だと分かっていても怖い。だって、目が完全に笑ってないし…


「く、屈辱だ。我を封じた人間如きの話を聞かねばならぬとは…。よかろう、聞くだけ聞いてやろう。では、なにが望みなんだ?」


「素直に最初からそう言ってよね」


 偉そうにそう言う精霊王に苦笑したようにリアは微笑む。


「さぁ、ユウ。精霊王が聞くって言っているわよ。早く言いなさい」


 リアに促され、俺は精霊王に消えてしまった精霊に会うにはどうすればよいか尋ねた。


「死んだ。精霊に会いたい? 精霊は基本的に死なぬ。精霊界に還って諸元の姿に戻り、いずれ復活をするのだ」


「つまり、精霊界に行けばアイリに俺は会えるのか?」


「人の分際で大それたことを考える。いや、我を封じた人故にと言うべきか」


 そう言った後、精霊王は精霊界に行けるのは精霊のみよ。人のごときが行けるわけなかろうと言ってバカにしたように俺を見る。うーん、相変わらず人間を見下してやがるな。だが、アイリは生きていたんだ。いや、性格には死んでも生き返ることができるんだ。


 …良かった。よかった。俺は溢れ出る雫を指で拭いながら叫びたくなる気持ちを落ち着けるために深呼吸をした。



 そんな俺の反応を見ていたリアは優しげに微笑んでいたと思ったら、


「そう、やっぱりね。文献は正しかったようね。ユウ、よかったわね。アイリは生きて。…う、うぅ」


 と突然として身体のバランスを崩したように倒れだした。


「リア!? どうした?」


  俺は駆け寄って、なんとか彼女を受け止めたが…


「…ハァ、どうやら、精霊王の力を吸い過ぎたようね。奴の力が私の中で暴れているわ」


 リアは俺を見てそう弱々しく言う。


「大丈夫か!? くそ、こんな時に…」


 くそ、こんな状況になっても大人しくしている訳がない奴がいるっていうのに…


「さてと、どうやら、その人間は我の力を肉体に受け止めきれなかったようだな。まぁ、それも当然のことか我は昔は精霊の王であったのだから…」


 可笑しさが抑えきれないと言うばかりに微笑む精霊王。


「我はこれで完全な自由となるのだ!! 失った力などしばらく寝ていれば元に戻るモノだが…」


 そう言った後、俺とリアを見て、


「さてと、我に屈辱を与えたゴミ共をどうしてくれようか」


 と腹から怒りが湧いていると言わんばかりの声でそう言う。くっ、弱っているといっても、俺と奴の力の差は歴然としている。どうすれば…


「リア、この魔導具を借りるぞ!」


「ちょっと、それはやめなさい。あなたには無理よ。やめなさい!! 元々の魔力が膨大な私ですら、耐えれなかったのよ!! 貴方のような弱い魔力の人間が耐えれるわけないわ。ひとまず、ここは撤退しましょう」


 ここで、逃げてどうなるっていうんだよ。


「逃げ切れる見込みがあるのかよ! ないだろ!!」


「っでも、ここで無駄死にするよりも…」


「ここで死んでも、後で死んでもアイリに会えないなら俺の人生に意味などないんだ!! おまえは黙ってそこで寝ていろ!!」


 俺は彼女の言葉を遮ってそう叫ぶ。だって、そうだろう? 俺はそのために命をかけてここにいるんだ!


「わかったわ。これだけは忠告するわ。これを極度に使うと死ぬかもしれないわよ? それにもしかしたら人間をやめ…」


「アイリが生きていたことを分からせてくれたリアをここに置いて逃げるなんて今の俺にはできない!」


 俺はそう断言して彼女を黙らせる。だって、俺は後悔ばかりの人生だったんだ。だから、これ以上、誰かを見捨てて逃げるなんて寝覚めの悪い人生を歩みたくないんだ。俺はそう言って、アイリから借りた魔導具に魔力を込めたのだった

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