第4話 露出狂認定とロリコン扱いと信頼されない男
試験会場に入るとそこには、どう贔屓目に見ても冒険者とは言えないような荒くれ者や金の刺繍が施されている燕尾服を着込んだお金持ちの子弟と思しき人など多種多様な冒険者がいた。
そんな異なる出で立ちをした彼らは、オレが今いる大部屋で試験を待っているのだろうか。大人しく待機している。俺は受付に冒険者ランク認定試験の申し込み用紙を渡す。
しばらくして、ショートの髪をした闊達そうな女性が大部屋に入ってきた。彼女は小気味よく試験の概要を説明していく。
眠い。瞼が重りみたいだ。それになんて長い説明だよ。かれこれ30分くらいは説明してるんじゃないか? もう、説明なんてどうでも良いや。寝よう。
「はい、次は受験番号0021番の駆け出し冒険者グリーン・リーフさん?グリーン・リーフさん!」
誰だよ。俺をあの変な二つ名で呼ぶ奴はよ。そう思って、目をあけると試験を説明していた女性職員が俺で呼んでいる。どうやら、俺は寝ていたようだ。しかし、その二つ名で呼ぶなよ。恥ずかしいだろ。これは文句の1つでも言わないと。
「本名で登録してあるよね? 名前で呼んでくれよ!」
「みろよ。あいつ葉っぱ1枚の格好できてるぞ!?」
俺の文句は周りの受講者らから受ける奇異の視線や声で掻き消えてしまった。こんな葉っぱ1枚の格好だからな。そりゃ、目立つわな。
「わっちはぬしが葉っぱ1枚の格好でも慣れておりんすが、はじめて見たものからは奇怪な人物以外の何者でもないのじゃろうな」
アイリの発言を聞いて俺は葉っぱ1枚の姿に慣れすぎたことがわかった。まさに衝撃の事実だ。
「まじか!」
俺は葉っぱ1枚で羞恥心がまったく湧かなくなった自分に戦慄した。
「あなたが冒険者グリーン・リーフさんですね?」
女性職員の確認の質問に対して俺は…
「はい、俺がその冒険者グリーン・リーフだ」
投げやりな口調でそう言った。そして傍らにいるアイリを指して言う。
「俺の試験姿をこいつが見たいと言っているんだが同行は可能か?」
「可愛らしい妹さんですね?試験を受けるお兄さんを応援したいのですね。もちろん、かまいませんよ」
女性職員がアイリを見て微笑みながら快諾の返事をしてきた。
「ありがとう。試験に来て良いてさ」
女性職員の快い返事をアイリに伝えると。
「わっちはこやつの妹じゃありんせん。彼女じゃ」
俺は快い返事に笑みを浮かべながら妹という言葉に訂正をいれる。彼女だって? また、とんでもない冗談を言うな。
「彼女!? この男は下半身を葉っぱで隠しているだけの露出狂なだけでなくロリコンなの!?」
女性職員は嫌悪の目で俺を見て糾弾してきた。ちょっと、まてよ。そいつの冗談を真に受けるなよ。俺は慌てて反論しようと言葉を紡ごうとするが…
「そうじゃ。こやつはロリコンの変態じゃ」
後ろからアイリがとんでもない爆弾発言を投下してきた。俺はさらに慌ててアイリについて説明しようと試みたが女性職員の大きな声がそれを遮る。
「変態! お嬢ちゃん、すぐに警察を呼びますからね? 待っていてくださいね」
そう俺に対して苛烈な罵倒を浴びせた後にアイリに対して優しい言葉をかける。傷つくわ。俺は変態じゃないぞ!
「ぬしよ。見たかの? ぬしはわっちを普段から大切に扱わないともっと酷いことになるからの?」
アイリは悪戯が成功して、勝ち誇ったようにニヤと笑う。俺に対しての当てつけかよ。
「こんな時に悪戯をするなよ! 職員の姉さん、この女の子は精霊だから!」
俺は駆け出しそうになっている女性職員に急いでアイリについて正しい説明を試みる。
「こんな具現化が長い精霊なんて聞いたことがありませんよ? 冗談はその格好だけにしてください」
俺の説明は女性職員にべも無く反論され、罵倒された。
「いや、格好のことは放っておいてほしい」
泣きそうだ。せめて、俺の話をちゃんと聞いてから反論して欲しい。俺は女性職員に罵倒されて涙目になりながらもそう呟く。
「さて、からかうのはここまでにして本当のことを言うとわっちはアイリスの精霊じゃ。そこの女中よ」
アイリがそう言うと徐々に透明になっていく。
その姿を見た女性職員が。
「透過!? 本当に精霊だったの」
そう驚きの表情で言う。だから、さっきから、そう言っているだろ。
その後、俺は納得していないが、女性職員の不承不承な謝罪によって俺のロリコン疑惑が払拭された。そして、オレはタダの露出狂(葉っぱ1枚あり)という扱いに収まることとなった。




