表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WILD SKY~彼らを繋ぐ世界の空~  作者: 立花 佑
第九話~王女様の憂鬱~
41/61

5.

 玉座の間は円柱の形をしている。八本の柱で支えられた天井は、球を半分に割ったように弧を描いていた。

 深紅の厚いカーテンは柱の隅に束ねられ、壁の全面が分厚いガラス張りになっているので、城下町を三百六十度眺望することができる。

 東側にゼノレフ国の大山脈、北側にドナ海の水平線まで見渡せる。フレイヤを治めてきた先代の王達はここから国の行く末を見つめ、統治の有り方を見極め続けてきた。

 ジラ王は街に表を向けたまま、ガディルを迎えた。

「手紙でも綴ったように、ルピナに身を固める決意をさせてほしい。あのじゃじゃや馬娘を大人しくさせることができるのは、そなただけだ」

 表を向けて、「頼む」とジラ王は頭を下げた。

「お気持ちは嬉しいです、できれば私もそうしたいと望んでいます。しかし、ルピナ王女はそれを望んでいないと思います。まだまだやりたいことがあるんじゃないでしょうか」

 精悍に言い放つガディルは太い眉根を寄せていた。

「ルピナをまた旅に出させていいものか考えていた。あいつのやりたい事はやらせてやりたい、だが将来この国を背負っていく人間だ。学業も政も、学ばなければならないことが、まだ山ほどあるのだ」

 玉座に歩み寄って、ドスッと腰を落とした。

「なら尚更、私との結婚は早いのでは。身を固めることで、ルピナ王女が苦しんでは元も子もありません。ルピナの気持ちがないまま、私は彼女と結婚する気はありません。申し訳ございません」

「そうか。そこまで言うなら仕方ない。ルピナを大切に想ってくれている気持ちは、私より強いようだな」

 頭を下げるガディルを、ジラ王は我が子同然のように見据える。

「私からいうのもなんですが。ルピナ王女の国外外出許可を解除されてはどうでしょう。申したように、ルピナがやりたいこともできない姿を見るのは、私も苦しい。そこで、許可を御認めになり、私もルピナの護衛としてお供します」

「ガディル王子が、ルピナの護衛に?」

 まさかの提案に、ジラ王は返す言葉を直ぐには見つけられなかった。

 低く唸ったジラ王は「ならば」と口を開いた。

「条件がある」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ