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第6章 作戦 ~櫻井編~

「覗くんじゃないわよ」


「はいはい覗かねえよ」


ここは市内のとあるホテルの最上階。

あいにく部屋は1つしか空いていなかった。男女が相部屋というのもマズイと思ったが、状況が状況だ。空はとても不服そうな顔を最初はしていたが、説得したら何とか折れてくれた。


「そもそもお前の裸姿なんて見たくねえし。」


「どういうことよ!!」


そして空は今風呂に入る支度をしている。俺は窓際の椅子でワインでも飲むことにした。


改めて部屋を見渡す。値段の割には良い部屋だな、というのが櫻井の率直な感想だった。


空が風呂場に向かう。こっちを心なしかチラチラ見ているのは気のせいだろうか。


櫻井は部屋の隅にあるゴミ箱が目に入った。


「懐かしいな」


それはなんの変哲もない普通のゴミ箱だった。


この時代においての話ではあるが。


2022年、つまり櫻井と空がいた時代にはいわゆるこの時代のゴミ箱とはかなり違う。粒子化箱(アトムボックス)と呼ばれるものが2022年のそれに当たる。


粒子化箱(アトムボックス)とはようは物体を粒子化するマシーンのことである。

粒子化箱(アトムボックス)に入れられたゴミは、自動的に物質の最少単位、いわゆる素粒子にまで分解される。

粒子化箱(アトムボックス)は基本的にこの時代でいうコンセントのようなもので家庭と外部で繋がれており、素粒子はケーブルを伝って素粒子管理センターにまで運搬され、管理される。


『素粒子自体は空間的な性質を持たない』と幼いころに習った櫻井にみその理論は正直良く分かっていなかった。


風呂場のほうからシャワーの音が聞こえている。


窓の外を覗くと多くのビルの光はまだついたままである。遠くにはライトアップされた観覧車を伺うことができる。観覧車には「22:00」と時刻が表示されていた。


シャワーの音が止まった。着替えにはいったようだ。

風呂場のドアから空の体のシルエットが見えるようなことは...ない...。


空が風呂場からでてきた。頭がまだ濡れている。体全体からはまだ湯気がでていた。

空は鏡台の椅子に座る。

俺の視線に気がついたのか、顔を赤くすると、ドライヤーを利用しながら話し始めた。


「今後の予定はどうするの?」


ドライヤーの音にかき消されないように、空は気持ち大きな声で話す。


「そうだな」


俺も少し大きな声で話す。


「まず具体的なレオンの居場所はこっちにはわからない。みなとみらい周辺ってところまでしかどうしても分からんしな。」


「それはしょうがないわね。探知系能力者を派遣でもしてくれればいいのに。」


「いないものの話をしてもいみないだろ。」


空のやつまた下着は黒か。パジャマの間から丸見えだぞ...。もしかして黒しか持ってないのか?


「そうね」


空は髪をかきあげながら、


「じゃあどうするの」


と真面目な顔で聞いてきた。


「まずは春奈を探す。」


それを聞いて春奈はニヤリと笑う。


「なるほどね。当てはあるの?」


「いや、ない。」


空はガクッとうなだれた。


「じゃあその春奈はどうやって見つけるのよ」


俺は紙を鞄からだした。


「春奈はどうして時の石を持って10年前の2012年に跳んできたと思う?」


俺は尋ねた。


「それもそうね。」


空は考え込む。


「俺の考えではだ」


俺は紙に『2022』と書き込む。


「空はまず2022年にレオンの襲撃を1回受けたんだ。」


その横に『レオンの春奈襲撃』と書き足す。


そして、と俺は続ける。


「そこでレオンに追い詰められたんだと思う。」


「時空管理センターで襲われたってこと?そんことあるかしら?」


「全然あり得る話だ。レオンは2021年に1回時空管理センターに潜入して『あの事件』を引き起こした。」


「・・・・」


「空は時空管理センターの人間だろ?そこで2012年に飛んだんだと思う。」


俺は『2012』と紙に書き、その横に『春奈到着』と書いた。


「・・・成る程ね。でもなんで2012年?タイムマシンのデフォ設定では跳ぶ年数は1年前となっていたはずよ」


俺は目を瞑った。


「今言っただろ」


「え?」


「2021年の今日は『あの事件』があったんだよ。」

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