第2話 始まり ~櫻井編~
「櫻井さん!!」
部下がいきなりドアを開いて入ってきた。
「ん・・・?」
俺は返事をした。
「大変です!!レオンを動き始めました!!」
「そうか...」
櫻井はホテルの一室で部下の話を聞いていた。レオンの奴...ついに動き出したか...
「やっぱり狙いは『時の石』か?」
「そう見て間違いないようです。」
俺は窓の外を見た。今は夕方。空も段々と暗くなってきている。『向こう』だと20時ってところか。
時の石...俺だって欲しい...。しかし俺が持っていたところで宝の持ち腐れか。
それ以前にレオンに時の石を渡すわけにはいかない。
レオンがまともなことに使うとは思えない。
いや、待て。レオンは前に『契約能術』を使っていなかったか?
「レオンは契約者ではなかったか?」
一応俺は聞いてみた。
「そうです。報告書にはレオンが能術を使ったとあります。」
「じゃあ、時の石を持っていても使えないはずだな...」
「そうなりますね。しかしとても危険な代物です。」
「分かった、俺が『向こう』に向かう」
「わかりました。すぐに手続きを済ませておきます。あと、空様には既に伝えてあります。」
「場所は?」
「横浜のみなとみらい周辺との報告があります。」
「あと一つ、時の石の所持者は?」
「・・・春奈様です。」
「....分かった」
部下は急いで部屋を出て行く。
もう少し寝たかったが事態が事態だ。しょうがない。
急いで服を着替える。
「春奈か...久しぶりだな...」
櫻井は呟いた。元気にしているのだろうか。昔はよく一緒に遊んだものだ。そういえばあそこの家が時の石の所持者だったな。
「それにしてもどうして...」
どうして春奈は『向こう』に向かったのだろうか。それも時の石を持って。
着替え終わった櫻井はホテルの自分の部屋からでて隣の部屋へ向かう。
「空、はいるぞ!」
ノックをせず部屋に入る。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
「・・・ごめん」
空は着替えてる最中だった。櫻井は急いで部屋からでる。
「ばかああああああああ!」
ドア越しに空が叫ぶ。
「いや、ホントごめん」
「見た!?」
「み、見てない」
く、黒か・・・
「もう!!はいっていいよ!!」
ドアを開けた瞬間、
バチン!!
ビンタされた。
「絶対に許さない!」
空は頬を膨らませて怒っている。
今はそれどころではないんだが・・・
空とは長い付き合いだ。小さいころからコンビを組んでいる。
「まあまあ今度俺のを見せてやるから」
「い、いいよ!!」
顔を真っ赤にして怒っている。からかいがいがあるもんだ。
「空、仕事だ」
本題に入る。
「....分かってる。もう聞いたわ。」
「相手はレオンだ。覚えてるか?」
「覚えてるわ。強かったわね。うる覚えだけど契約者だったはずだわ」
「やっぱりそうか」
俺と空はずっと前にレオンと戦っている。もう5年も前のことだ。
「レオンの使う能力は」
「分からない」
空は言う。
「でも、何時の間にか部隊がやられていたのは分かっている。」
「そうか、そうだったな。しかしレオンはなぜ今更..」
「私にもわからないわ。何れにしても現場に向かってみるしかないわね。そういえば、時の石は今誰が持っているの?」
「春奈だそうだ」
「...へえ、久しぶりね。」
空はニヤニヤしている。
「まだ彼女に未練はあるの?」
「いや、ない」
空はまだニヤニヤしている。
「いや~なんでも~」
「まあとにかくだ」
話を戻す。
「行くぞ」
「おーけー。で、『向こう』ってどこなの?」
早速跳ぶ準備をしながら櫻井は答えた。
「場所は10年前の2012年。横浜みなとみらいだ。」