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ゴキ娘!!  作者: 猫派犬派
37/58

3匹目:




「生きて、いたんだ……」


 病室内。

 医師二人の退出から、僅かな沈黙を経て発された言葉。

 その声は、ベッドの上に身を起こした少年からのものだ

 嗚咽と震えの混ざったそれは、横に立つ女医に向けて、


「まだ、息をしていたんだ。傷だらけで、血だらけで……、それでも、生きていたんだ」


 言いながら少年は感情を思う。

 自分が、確かなものとして言葉に乗せるそれが何なのか、そしてそれの向かう先を、だ。

 家族を失った悲しみか、何もできなかった事への後悔か、あるいは別の感情か。しかしそのどれであったとしても、その何もかもが、

 ……自分に対してのものだ。

 だが、それでも問わずにいはいられない。自分の思い出した全てを以て、こちらの喪失に対して知ったような口をきく彼女に。


「なのに、どうして……、どうして」


 救ってくれなかった、と最早言葉としての形を失いかけた問いが女医へ行く。

 問に相対した女医は、目を伏せて腕を組み、語る。

 それは、少年の知らない『現場』の話。その一端。


「我々が現場に到着したとき、君と君の妹君には息があった」


 紡がれる言葉は、ただ事実だけを淡々と、


「ただし、妹君は下半身の殆どを岩塊に圧潰され、助かるのは絶望的と、ひと目でそうわかる状態だった。

 対し、君自身も破片で左腕を貫かれ重傷ではあったが、まだ可能性があった」


 だから、と女医の言葉は続く。


「――我々は決断したのだ」




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