2匹目前座:ボケとツッコミ
「……酷い目に遭いました。大体、博士は悪ふざけが――」
と、ゴキ子は今、ジャージから昨日着ていたセーラー服へと着替え、博士への抗議活動を始めたのだが。
「それで愚民よ。私が怒っている理由の話をだな――」
対象である博士は俺に話しかけている体で、頑なにゴキ子を無視し続けていた。
「博士! 私の話を聞いてますか!?」
ゴキ子、博士の前に回り込む。
「それでだな、いいか愚民」
ゴキ子の視線から逃れるために博士も回る。
「……」
先程からこの繰り返しである。
……無限ループって怖くね? いや、割と本気で。
「さて、と」
頭のいいバカと、何も知らないバカの暴走を止めるのに一番効果的なのは、
「やっぱこれだねー」
手元の雑誌を○ッポよろしく丸めて振りかぶる。
「やっぱ雑誌ってすげーよ」
この二日で実感したね。まさか、ここまで幅広い用途で用いることが可能だとは……。主に物理攻撃において。
ええ、つまり、バカの止め方の最高峰とは、神をも黙らせる至高の一撃。
そう、
ツッコミ
である。
「最後までチョコたっぷりだもんな!!」
※ 雑誌にチョコレートは含まれません。
「行動はツッコミなのにボケではないかな、愚民?」
くっそ、この白衣、バカのくせに頭いいじゃないか……。
しかも、雑誌がクリティカルヒットしているのに顔色ひとつ変えやがらない。
「先にあっちのバカから殴っとくべきだったか……」
若干反省。