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2匹目前座:貴方が正せと言ったから
「可哀想な愚民のために、そろそろ真面目に話をすることにしよう」
面白いだろう? 真面目に話すと言いながらゴキ子に馬乗りなんだぜ、あの変態白衣は。
「愚民、今、君は失礼なことを考えたな」
「考えて欲しくなければ姿勢を正して話をしろ」
「ふむ、いいだろう」
「誰がそいつの上で正座しろと言った……」
視界の中、博士の全体重を受け止めている座布団(美少女型害虫)の顔が見る見るうちに青く変色していく。
あー、あれは限界近そうだな。うん、意識的な意味で。
「君が姿勢を正せといったのではないか」
「そういう意味じゃねえ!!」
「ではどういう意味なのだ?」
「そいつから降りろって言ってんだよ!」
博士の視点がゆっくりと下へ、
「……おお!? 私の下で何をしているんだゴキ子君!?」
と、博士は、態とらしい大きな身振りと、如何にもという台詞を下敷きにされたゴキ子に送るのだった。
「……」
ただ、上からの圧力に弱かったのか、美少女型害虫座布団(蒼白)から返事はなかったという。