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第8話 メイドさんと映画の夜③

 気が付けば映画も佳境、そうはならんやろの連続だ。どう考えても戻った方がいい場面で進み、ありえないミスで追い詰められる登場人物たち。

 海外あるあるだが、こういう時こそラブコメしてくるんだよな。


 映画が始まる前にちらっと見たレビューには散々書かれていたが、「こういうもの」として見れば結構イケる、


 ピザの箱も空になりお腹もいい具合に満腹、文句なしだ。

 暴食……とは言わないまでも味の強いものを食べ、酒を飲んだ後にはいつも牛乳を飲むようにしている。

 なんとなく口もお腹も綺麗になる気がするのだ。おそらく気がするだけだが。


 隣に目をやると、まるでミノムシのように毛布にくるまったメイドさん。宣言通り寝落ちしたようだ。

 明日の朝にはこの映画の結末が見られなかったことを悔しがるんだろうな。


 穏やかな寝顔を見ているとこんな日々を送れていることに感謝しかない。


 2ヶ月前はこんな余裕もなかった。

 いつも何かに追われている気がして、最低限社会人の(てい)を保つために必死だった気がする。


 彼女が来てから食生活も改善されて、夜に眠れないなんてこともなくなった。なにより、家に帰ると誰かが自分を待っているというのが大きい。


 俺とメイドさんは別にお付き合いしているわけではないしビジネスの関係だが、それでも誰かと住んでいるという安心感は何にも変え難い。

 彼女さえ良ければ、このまま契約を続けていきたいと考えている。

 会社の家賃補助が出る限界を攻めた結果、一人暮らしには大きすぎるこの部屋も二人ならちょうどいい。


 映画も終わり、無事バッドエンドを見届けて机を片付ける。飲み干したビール缶にピザの空箱、俺しか使わなかったタバスコの瓶にいつの間にか冷蔵庫から出されていた蜂蜜。


 夜は少し肌寒くなってきたか。


 洗い物をしながら、蛇口をお湯に切替える。風邪を引かないようにって……あ。

 手を拭いてリビングへ。


 少しずり落ちた彼女の毛布を肩まで引き上げる。こういうところは無防備なんだから。


「いつもありがとう、メイドさん」


 小さく呟く。こういうことは面と向かって言うべきだが、いつもするくだらない話が楽しくて言えずじまいなのだ。


「ふへへ……ごしゅじんさま、ちゃんとジャムも食べられてえらいです」


 どんな夢を見てるんだ。俺別にジャムが嫌いなわけじゃないし。


 女性の寝顔をまじまじと見るものでもない、そそくさとキッチンに戻る。

 明日の朝また怒られるだろうなと思いながら、洗い物を終わらせて、俺はシャワーを浴びるべくタオルを手に取った。


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