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第3話 メイドさんと朝ごはん

 6時半、小さめの音でアラームが鳴る。

 月曜日の朝はいつも憂鬱だ。まずはなんとか身体を起こして伸び。

 ぱきぱきと骨が鳴る。本当はここからストレッチなんかするといいんだろうが、生憎そんな気力はない。


 寝惚けまなこでドアを開けて洗面所へ。

 キッチンでは物音がしているところを見ると、メイドさんはもう起きているんだろう。

 あ、鼻歌うたってる。俺は夜型で、メイドさんはどうやら朝型らしい。


 顔を洗っていると、次第に香ばしい匂いが鼻を通り抜ける。


「ご主人様、おはようございます」


 洗面所にひょこっと顔を出した彼女は姿勢を正して口を開く。

 既にメイド服を着てメイクまでしている。


「おはようメイドさん、朝からありがとね。まだ定時前なのに」


「いえいえ、仕事なので。いつもお昼の休憩長くいただいていますし」


「もしかして洗面所使う?すぐ変わるけど」


「いえ、ご主人様が起きてきた気配を感じて挨拶だけでもと」


 そう言うとぴゅっと引っ込んでキッチンへと消えるメイドさん。

 律儀だよなぁ、俺も見習って会社で挨拶しよう……。


 身支度を終えてリビングへ。

 このカウンターキッチンからソファまで見える間取りは、開放感があって気に入っている。


 テーブルには既にトーストとスクランブルエッグ、サラダにコーヒーとまるでホテルの朝食のようなメニューが並べられていた。


「朝から豪華すぎる」


「しっかり朝食べたら1日が早く感じますよ」


 本当にそうなのだ。朝ご飯を食べない生活から食べる生活に変わってから、明らかに退勤時の体力の残り方に差がある。


「メイドさん様様だよ」


「お給料上げていただいてもいいんですよ?」


「それは会社と相談してね」


「じゃあ無理か〜」


 嘆くメイドさんは紙パックの牛乳を手にこちらへ。

 目の前に座ると手を合わせる。


「「いただきます」」


 時刻は7時、これが俺たちの朝のルーティンだ。


 彼女はトーストにバターを塗ると、その上から大量のいちごジャムをかける。ジャムが分厚すぎてトーストが1.5倍くらいの大きさに見える。


「それかけすぎじゃない?」


 おずおずと聞くと、彼女は目を丸くする。

 もっきゅもっきゅと大きく咀嚼するとごくんと喉を鳴らした。


「いいですかご主人様、ジャムにかけすぎるなんて概念はないんですよ」


「概念と来たか、難しい話だね」


「そうです、今日から5日間も働かなきゃいけないご主人様はそんな難しいことを考えてる暇はないはずです、ささ、食べましょう」


 そして何事もなかったかのように彼女はジャムを追加する。

 そのあまりに自然な動作に思わず笑ってしまう。


 こりゃジャム買い貯めルート一直線だな。むしろ業務用の大きな瓶で買うか?なんて馬鹿げたことを考えながら、俺もトーストにかぶりついた。

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