第24話 メイドさんとフワサクシュークリーム②
ご飯を食べて洗い物も終わらせると、俺たちは再びテーブルに着いた。
「んふふ、シュークリームだ……!」
小躍りして喜んでいるメイドさん。やっぱり甘いものに目がないらしい。
たった数百円でこれだけ喜んでくれるなら毎日でも買ってくるのに……いや、健康のことは考えて、買ってくるにしても1週間に1回だな。
「シュークリームなんて毎日でも食べたいですよ私」
一瞬思考を読まれたかと思った。
「身体壊すからやめようね」
「たとえこの身体が壊れたとしても私は……!」
一体何がそこまで彼女を突き動かすのか。
考えても仕方がない、今は俺もこの甘味に身を任せよう。
そう思ったところで前を向くと、彼女は既に箱を開けていた。手の早いことで。
「わぁ4つも入ってる!ご主人様は1つで残りは私ですよね?」
「おい、どうして半々に分けるって選択が最初に出てこないんだよ」
「……世界の……真理?」
わざとらしくはっとした顔を作って手を口に当てる。
どんな真理だ……ってかどんな世界だよ。
「まぁいいけど」
俺もそんなに食べられる訳じゃないし。
もともと4つとも彼女の為に買ったなんて言うと、調子に乗るだろうからここは黙っておこう。
「やったぁ!ご主人様、お腹いっぱいとかないです?少しご飯もおかずも多めに入れさせていただいたんですが」
繊細かつ大胆で計画的な犯行過ぎる。もう世が世なら逮捕案件だろ。
「残念だけどシュークリームを1つ食べられるだけのお腹は空いてるよ、甘いものは別腹って言うし」
「チッ」
「舌打ちした?」
「してないです」
手渡されたシュークリームにかぶりつく。まさに甘味の洪水、ふわふわの見た目に反してサクサクの生地、とろっとしたクリームが舌の上で踊る。
「うんまい」
「同感です!!」
既に1つ目を食べ終えたメイドさんが、指に付いたクリームをぺろっと舐めた。
赤く覗いた舌にぞわっと肌が粟立つ。無防備というかなんというか。
「うーん、抹茶とかいちごとかもいいですけど、やっぱりプレーンなシュークリームが1番食べてて安心しますね」
そう言うと、彼女は口を大きく開けて再びがぶっとシュークリームにかぶりついた。
また溢れたクリームが指に付いたことは、言うまでもないだろう。