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第2話 メイドさんと定時退勤

「メイドさん、定時だよ」


 時刻は18時、一応契約書に定められた就業時間は9時から18時。8時間労働+休憩1時間、さらには社会保険完備に有給と意外としっかりしているのだ。


 定時になるまでに夜ご飯まで作ってくれる彼女には頭が上がらない。


「それでは本日もお疲れ様でした、ご主人様」


 いつも通りの挨拶をして彼女は自室へ帰っていく。数分後、再び現れたメイドさんは私服に着替えていた。


 パーカーにスキニーパンツ、オーバーサイズなトップスが高身長な彼女のスタイルの良さを際立たせている。


「それじゃあご飯、食べますか」


 そう言いながら上機嫌にキッチンへぱたぱた駆けていく。いや、定時があるんだから自分の家に帰ればいいのに。


「メイドさんメイドさん、定時制なんだから住み込みじゃなくてもよくない……?」


 どう考えても男女2人で住むのはおかしいって。それが仕事だとしても。


「生活破綻者のご主人様を置いて帰れないですよ、それに」


「それに……?」


 なんだ、家に帰れない事情でもあるのか。というか一人暮らしだったらこの仕事する時に毎回家空けるの勿体ないよな。解約してるのかな。

 重めの事情だったらさっき俺を「生活破綻者」とか言ってさらっとディスったことを聞かなかったことにしよう。


「家賃光熱水費タダでお給料だけ貰えるこの生活をやめたくない!」


 帰ってきたのは予想外の答えで。


「そっちが本音だろ」


 まぁ実際は彼女の家賃光熱水費は俺が負担するということで、家事代行サービスの金額はそれを見込んで少し低くなっている。

 別に趣味は本とゲーム、散歩くらいだからお金の心配はしなくていいんだが。


「さぁどうですかね〜、あ、お茶いります?」


「いります」


 鼻歌と液体の注がれる音が聞こえる。

 まぁむざむざこの生活を捨てることもしないが、もう少し彼女には危機感を持ってもらいたいものだ。


 彼女のいれてくれたお茶を飲んで数分、部屋にいい香りが満ちてきた。


「美味しそうな匂い、晩ご飯はハンバーグ?」


「正解です、しかもデミグラスソース」


 これはテンション上がる。白ご飯にバウンドさせて食べるんだ……。


 温かいできたてのご飯が食べられる、それだけで彼女を雇ったかいがある。今までは半額シールのついたカピカピのお弁当だったからな。


 少しでも彼女が負担に思うことを減らそう、そう考えながら俺はテーブルへと向かった。

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