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第10話 とあるメイドの独白

side:メイドさん


 私がこの家に来て約2ヶ月。

 自分的にはストレスなく、それなりにやれていると思う。その主な理由はもちろんご主人様である。


 初めてこの扉を開いた時の彼の顔は忘れられない。その後「え、メイドさん……?契約書にそんなこと書いてたっけ」と動揺していたけど、すぐに私をリビングに通してくれた。部屋の様子はひどかったけど。


 会社からは大丈夫だとお墨付きをもらっていたが、男性の家に住み込みで働くのは、流石の私といえども緊張した。

 まぁ部屋を1ついただけて家賃も光熱費もかからないとなれば破格の条件ではあるが。


 働き始めて1週間、お互い気を遣ってしまってぎくしゃくした。彼も私のことをなんて呼べばいいか迷っていたし、私もご主人様の生活リズムを把握しかねていた。


 それでも慣れというのは怖いもので、2週間もすればなんとなくではあるが、お互いが家にいる状態が当たり前になってきた。


 それに、彼はからかうとかわいい反応をするのだ。

 私とご主人様はあくまでビジネスの関係だ。だからあまり深いところまで踏み込まないようにしているけど……。

 何を聞いても穏やかな顔で答えてくれるから、もう少し彼のことを知っていこうと思う。

 ……あくまで仕事のため。彼の好みを知ることはご飯を作ったり日用品を買う上で必要だから。


 起床時間を知らせるアラームが鳴る。彼の起きる1時間前。

 私は朝型で彼は夜型。


 毎日頑張っているご主人様には、せめてこの家が安心できる場所になるよう私は精一杯お手伝いするのだ。

 生活習慣がよくなれば、いつか私はいなくなるだろうけど。


 だけど今は、今は取り急ぎ美味しい朝ごはんを食べてから出勤してもらって、美味しい夜ごはんを楽しみに帰ってきてほしい。


 いつか別れが来ることは確定しているけど、それは少なくとも今ではない。であれば、私は私のできることを全力でやるだけだ。


 まずはこの暖かい布団から這い出て、いつもの戦闘服に着替えるとしよう。

 ん゛ん゛っと咳払いをひとつ、私は身体を起こした。


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