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潮風の匂い、水の街!

快晴の青い空に輝く太陽がキラキラと水面を光らせる。終わりのないその大きな海は内陸で育ったアリオンには衝撃を与えた。


初めてみる光景と、潮風の匂いに感動し、目の前に大きく広がる海を前にして立ち尽くしていた俺は、忍び寄る影に気づかなかった。目の前を人間の子どもくらいの大きさの影が駆け抜ける。

「うゎっ、なんだ?」

影が駆け抜けた方に目をやるとすこし大きな猫?のような動物が俺のバックパックを体に引っ掛け逃げている。まずい、すぐさま追いかける。美しい砂浜とその色に似た美しい白い高級宿などの建物が並ぶ出島を抜け、魚市や交易品の積み下ろしが行われる漁港エリアを通って街の中心部、内陸に向けてその大きな猫は走り抜ける。賑わい、沢山の人が行き交うこの街で1人と1匹は何度も人にぶつかりながら死闘を繰り広げる。

「まてぇーい。」

鬼の形相で追っていると目線の先、道路の突き当たりの建物から一人の女性が出てくるのが見えた。

「危ないっ!」

咄嗟に叫んだ。

バチバチッと音がしたかと思うとバシャーンという音と共にその大きな猫?は2mほどの立方体の形をした水に閉じ込められた。

「捕まえた〜。これ、君の?」

と言いその女性はバックパックを猫から取り上げた。

「そう!ありがとうぅーマジで助かった」

とバックパックの中身を確認する。とはいえ大事なものなんてあんまり入っていないのだが。ノキスミールの謎の祠で見つけた薄手の手袋があることを確認してすこしホッとする。顔を上げると女性は猫?と戯れている。よくみると猫には前足にヒレのようなものがついており尻尾はまるで魚の尾鰭のようだ。これがカイが言っていたフィーラーという猫みたいな動物か。カイに言われたことを思い出していたが...。なんだこの宙に浮いている水は。

「ま、魔法?」

と俺は見上げるとその魔法を放ったであろう彼女はフィーラーと戯れながら得意げな顔でこちらを見下ろしている。

今まで気が付かなかったが彼女の出てきたこの建物...サザリオン中央ギルドだ。



ホールで2人で話していると色々なことが聞けた。まず、彼女の名前はルーシー。銀色級の冒険者で魔法を得意としているらしい。遺跡を探しに来たことを話したら、遺跡に興味があるらしく着いて行きたいと言う。そんな話をしていると、ホール中央の階段からカイが降りてきて言った。

「龍なんてこの国で目撃された例はないってよ。」

「マジかぁ。なんだったんだろうな、あれ。」

と答えると、ルーシーが食い付いてきた。

「なに?龍って。」

と目を輝かせる。

どうせ一緒に遺跡に行くならと考えてサザリオンに来るまでの出来事を話した。

カイとの出会いや遺跡のこと、龍のこと...

「2人は謎を解いて何がしたいの?」とルーシーが聞く。

そういえば話したことなかったなと思い、俺とカイは顔を見合わせた。

「俺は龍を倒せる力をつけてまだ見ぬ空白地帯で冒険したいんだ。」

カイが言う。

「空白地帯?」

聞き馴染みのない言葉だ。俺が聞くとルーシーが答える。

「知らないの?この大陸には君たちが来たノキスミールとここティライオンに加えて西に広大な領地を持つルマイナ信仰国、北方の山岳地帯ではヴォーカムと呼ばれる勢力がいるでしょ?そうやって四つに限られたこの大陸で、ルマイナとノキスミールの間にはどの国のものでもない空白地帯がある...。その奥地には大量の龍がいてそれがそのエリアがどの勢力のものにもなっていない理由なのよ。」

「へぇー。物知りなんだな。空白地帯ねぇ。聞いたことなかったよ。てか俺に話しとけよな、カイ。」

「...あ、ああそうだな。忘れてたよ...。」なんでこいつは空白地帯と龍の関係を知っているんだ?一般には公開されていないはずだが...



違和感を感じていたのはカイだけであった...。





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