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導きの星〜序〜

「ポーラーホーンの肉美味かったなー」

と荷造りをしながらアリオンが言う

「お前まだいってんのかよもう一週間経つぞ。」

星の平原での仕事から一週間、2人はカイの故郷である交易都市ミラヴィアへの旅に向けて宿を出る準備をしていた。


今回は星の平原を横断する街道を抜けてからティライオンとの国境に向けて南下するという旅程になっている。直線的なルートで向かうと深い森を抜ける必要がある。装備や経験的に言えばレンジャーと言って差し支えないカイ1人ならば抜けれるが初心者のアリオンに宵越しの森抜けは厳しいとの判断だ。

「そのかわり、俺も初めてのルートになるから気を抜くなよ。」

「もちろんだって」

「まったく、予定外の帰郷になったぜ。」


乗り合いの馬車は2000r(リゲル)前回の仕事では2万4000r稼いだが一週間経って所持金はこれで4万8000rだ。首都だとやはり生活費は馬鹿にならない。

「ミラヴィアってどんな町なんだ?」

と俺が聞くと、

「お前なんも知らずに来たいってさわいでたの⁉︎」

とカイが驚きながら言う。

「前にも言ったけどミラヴィアは交易都市だ、ティライオンとの国境近くにある。ティライオンは水の都と名高いがノキスミールとの国境線近く、内陸部はノキスミールとあまり変わらない。しかし交易が盛んなティライオンの影響でミラヴィアは交易都市になっていると言うわけだ。」

「てことはいろんなもんが買えるのか...」

「ああ、特に俺たちに関係あるのは武器や防具などの装備品だな、たくさん出回ってるから値段の幅も広いが時々安くても掘り出し物がある。」

「今から楽しみだな。たっくさん買うぞー。」

「お前そんなに金ないだろ。」

「あ。」



星の平原を抜けたところで馬車を降りる。

「まだ昼過ぎかぁ。もしかして一気に行けたり?」

「んなわけねえだろ馬鹿。」

どうやらカイに冗談は効果が今ひとつのようだ。ミラヴィアに向かい南下を始めて2時間ほど歩いただろうか。

「疲れたー。」

枝分かれした街道を歩いているので荒れた道ではない、ないが...休憩もなしに2時間歩きっぱなしは初心者には堪える。

「一旦休憩するか。」

「ちょっといい場所無いか探してくるよ。」

街道の真ん中で休むわけにはいかないので、日陰を探しに街道沿いの林に入る。5分ほど歩くと林の中に木のない開けた場所を見つけることができた。そこにキャンプを張り今日はここで一夜を明かすことにした。

「森を迂回したことで遠回りかと思ったが意外とこのルートでも無理矢理なら1日で行けそうだったな。」

「カイくーん俺そんなに脳筋じゃないのよー。ゆっくり行こうや。」

「分かってるよ。忘れそうになるけどアリオンはまだ初心者だからな。」

そんなやりとりをしながら持ってきた食料を平らげた。


日もすっかり落ちて星が出てきた。すると星の光に反射するように古びた小屋、いや、小さな遺跡のようなものが何もなかった空間にうっすら、しかし確かな存在感を放ちながら現れた。

「な、なんだあれ」

カイが目を丸くして言う

「分かんない、けど...」

2人はおもむろにその小さな遺跡に近づく。祠のようなその遺跡の中には手の甲にすこし装飾があるがそれ以外は普通に見える手袋と古びたしかし精巧に作られ錆もないすこし柄が不思議な形の短剣があった。アリオンは直感的に手袋を手に取る。カイは

「じゃあ俺はこっちだな。」

と短剣を手に取った。祠の奥の壁に目をやるとどう言う仕組みかわからないが星のような装飾が一つ輝きを放っている。その眩しさに目を細めると何やら周りに線が見えた。それはまるでこの大陸を模ったような模様、そして星はちょうどティライオンの首都、港町サザリオンを指し示していた。


「さて、行きますかっ」

キャンプを畳み街道に出た昨晩の不思議なことや意味ありげな星のサイン広がる冒険に期待を膨らませながら俺たちはミラヴィアへの道を行く。その歩みは、なぜかすこし速くなっていた。


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