冒険の始まり
ここはインティモモ・アニミ
そこで紡がれる、出会いと心の物語...
フィロールは風の街だ。
大陸を横断する大河にほど近い丘の上にある。大陸最大の国であり開拓者によって開かれた最初の国、ノキスミール星興国。その首都であるこの街が国境付近であるこの場所に位置していられるのは、その地形が天然の要塞として機能しているからである。それゆえに街は平和で活気付き観光地としても有名だ。
そんな豊かな街で生まれ育ったのがこの物語の
主人公
アリオン だ。
俺は星歴208年の春のこの日、冒険の扉を叩いた。木の軋む重厚で如何にもな音を立ててギルドのその大きな扉は開いた。
大陸に7つしかない中央ギルドの一つであるここフィロールギルドのカウンターの周りは賑わい、一攫千金や、新たなる冒険に飢えた冒険者たちが自分にあった依頼や新たな情報を求めてギルド職員たちと話し合っている。
夢にまで見た光景だ、と少しの緊張と期待に胸が躍った。
「君、ギルドは初めてか?」
声の方向に顔を向けると2mはありそうな筋肉隆々の男が立っていた。その迫力に気圧されながらぶんぶん頭を縦に振ると大男は
「そうか、じゃあまずはあっちで手続きだな」
と右奥のカウンターを指差した。
「あ、ありがとう!」
初日らしいベタなイベントと大男の優しさに感激しながらも礼を言いカウンターに向かう。
「久しぶりのお客さんだ♪」
と妙に一つだけ空いていたカウンターの受付嬢が機嫌よく言った、
「登録手続きに来たんだけど...」
「はいよっ、じゃあまず書類書いてねー」
一枚の書類を受け取る
名前 アリオン 年齢20
性別 男 履歴イテルスターハイスクール卒業
身長162 …
「おっけー、そしたら次は鑑定だ、200rで中央ギルドの誇る鑑定が受けられるけど簡易鑑定とどっちにする?」
本当は鑑定がしたい!めちゃくちゃしたい、が
「簡易鑑定で大丈夫」
ポンと出せるくらいこれから稼いでやる...と心で思いつつ簡易鑑定の機械に手を乗せる。
簡易鑑定で見れるステータスは大まかなものだが、力、体力、魔力、の3つだ、冒険者でない平均的な一般人の値は力30魔力は2〜4体力は50、明るい未来に期待して光出した鑑定機を見つめる。
力45、魔力10、体力30。
「な、なん、だ、と」
あまりの数値の低さに声が出てしまった。
「ま、まあ全然悪くないよー」
受付嬢が苦笑いを浮かべながら励ましてくれた。
…15分後、銅色に光るカードを渡された
「これで君も今日から冒険者♪」
元気な声で送り出された。
俺は腕には自信がある、ステータスの低さには面食らったが腕一本で生計を立てることに魅力を感じたからこそ選んだこの道だ。そしていつか、あの日物語で読んだ、星の様に輝く最上級冒険者に...
そう気持ちを切り替えて傭兵募集の受付に向かった。