全世界共通の敵
僕がアレの存在に気がついた時。
それは、丁度アレの活動が一番活発になる時だった。
…まずい…。
僕は心の中で呟く。口に出すのは、危険だ。
鋭い武器を持ち、反撃を試みる。
鋭い痛みが走る。自分にもダメージを受けるのがこの武器の難点だ。
でも、アレが遠のくのを感じる。今のうちに対策を練らなければ…。
「ジュン!おい、ジュン!」
小声で後ろにいる同胞の名前を呼ぶ。返事はない。
…まさか…。
そっと後ろを振り返る。
やられた。
ジュンは既に負けていた。
身体が既に、アレに支配されている。
瞬間、何かに気付いた。
咄嗟に第一の敵である彼に気付かれないよう、そっと辺りを見回す。
息をのんだ。
この空間の三分の二は既にアレに支配されていた。
いつの間にこれほどまでに…。
第一の敵、彼を見る。
にやり、と笑った気がした。
彼が、アレを、手引きした、のか?
そんな考えが頭から消えない。
理性ではアレだって彼の敵であることがわかっているのに。
わかっているのに。
頭がぐらぐらし始めた。
アレだ。
標的を僕に絞ったのか。
負けてたまるか。
鋭い武器を使う。
痛みを、感じない。
駄目だ。
閉じようとする瞼に逆らって辺りを見る。
四分の三は、アレに支配される世界と化していた。
もう、おしまいだ…。
この空間にこれ以上居て、アレに勝てるはずがない…。
僕の意識が…沈む…。
「コラァ!お前らぁ!授業中に何寝てんだ!起きろ!!」
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