めでたしめでたし、ではない、らしい。
数日間兵舎の自室でのんびりしていると、王からの使者がやってきた。
丁度これから湖の綺麗な保養地に旅に出ようと荷物をまとめている最中であった。
なんなんだ?
また姫がやらかしたのか?
せっかく戻って来た団長の健康がまた害されちゃうよ。
そう思い向かうと意外な任務を承ることになった。
「この度はご苦労だった。
褒美は追って付け届けることになるだろう。
申し訳なかったな。
欲しい物を宰相へと言い付けてくれ。
…所でだ。」
あぁ…嫌な予感がする。
今頃馬車に乗って草原をゆったりと風を浴びながら走っていて、お気に入りの釣竿と狩用の弓の手入れをしながら休暇に思いを馳せていただろうに。
「姫の親友の侯爵令嬢がいるのだが、隣国の王子と婚約していてな。」
えぇ…存じておりますよ。
優しい、美人で賢い良い子だ。
歳が近かったら俺と婚約していたかもしれなかったのに残念だったなと、団長にイジられたこともあるくらい有名な才女で、どっかの王子と婚約した時には少しだけ残念な気持ちになったもんだ。
「その王子がな…変な女に捕まって婚約を破棄しおった。
聖女とやらと自称する治癒魔法が得意な平民の女なのだが、そやつが令嬢の有る事無い事王子に吹き込んだらしくてな。」
あらら、滅茶苦茶しますね。
とは言え互いの国の利益になるように設定されたビックカップルでしょうよ。
そんな…なんというか熱に浮かされて破棄出来る簡単なもんなの?
「まぁ、それは良い。
それを機にこちらから融通する予定であった事を白紙にするだけなのだからな。
しかしだな、問題は馬鹿な侯爵は令嬢を追放しおったのだ。
家格を汚されたとかでな。
令嬢は結婚に乗り気ではなかった様子なのでそちらは悲しんでいる訳ではないらしいが、侯爵は政治的な足掛かりを失った怒りをそうして追放したのだろう。
彼女の妹を溺愛しておるとかでな、出来た令嬢を冷遇しておった様なのだ。
自分より遥かに優秀な娘が気に食わないだとか。
考えなしの行為の罰はいずれ与えるが、まずは令嬢の保護だ。
これから秘密裏に令嬢の新生活をサポートせよ。
しがらみがあり、令嬢を王族が直接サポートする事は叶わないのでな、頼んだぞ。」
…はっ。
いや、マジか。
困ったなぁ。
どうするか…なにか商売を始める様に誘導して、コンサルタントやサクラを使って成功させようか。
そうすれば追放の貴族落ちから速やかに復帰させられるだろう。
王の覚えもめでたいのだから、実家を乗っ取る事だって容易だ。
それか俺の部下に修行として入っている帝国の第二皇子は婚約者がいないはずだったな。
驕ることもなく真面目ないい弟分だし、かなりの実力者である。
性格も良く顔も美しい非の打ち所がない様な奴だ。
そんな彼とどうにか感動的に出会わせて、そちらと婚約させられれば、隣国の王子なんて吹けば飛ぶ存在に成り下がるだろうし、実家は吹かないでも飛んでいくことだろう。
よし、会議だ。
方針を決めなくては。
作戦名は…そうだな。
侯爵令嬢が無実の罪で婚約者を奪われた上に、貴族の実家を追放されてしまったが、偶然出会った男の人が大国の王子様!?何故だか私の事を気に入ってくれているみたいで、仕事もプライベートもサポートしてくれて。
どうかな。
長すぎるか。
やろうと思えば無限につづくので、これでおしまい!
追記:続きました。
https://ncode.syosetu.com/n9605kn/