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新たな事件

遠藤平吉事件で取り逃がした二宮を追っていた後藤。そこに、新たな類似事件が起こる。

ネットカフェに現れたくしゃくしゃと頭を掻いている男が防犯カメラに写し出された...


ネットカフェの店長の鈴木は、大きな悲鳴を上げた。何事かと利用者や店員から、たちまちその部屋の周りは野次馬で埋まった。鈴木は真っ青な顔で警察に電話をした。

程なくして交番勤務の警官が現場を見る。そこには不思議な光景が広がっていた。

特に使用された形跡の無い部屋。真っ赤な血でむせ返るような臭いだけが皆の鼻を突く。


後藤は現場検証を他の捜査員に任せ、店内の防犯カメラと利用者名簿とを照合していた。


...遠藤平吉...


利用者名簿にはあの怪人の名前があった。


またこいつか


後藤は現在逃走中の二宮を頭に浮かべた。

しかしどうも気持ちが入らない。

無理もない。

憧れていた家路が遠藤平吉と分かり、その後継者として育てた二宮と内田のうち、内田を捕まえている。一緒に遠藤平吉の捜査をしていた山下は隠居を決め込み、今や遠藤平吉を間近で感じながら捜査をするものは後藤以外に居ないのだ。遠藤平吉と名乗る者を2人も捕まえ、その後で家路の供述と手記から、次の遠藤平吉は二宮でもう間違いない。本来ならばすぐに緊急配備して二宮を追うことが得策だ。だが、二宮の行方は未だ分かっていない。その上でまたこいつの名前を見なければならない。


うんざりって顔だな


利用者名簿を見ていた後藤に、先日捜査一課に配属された安田が話しかける。


そりゃそうだろう。もうこいつの名前は見飽きた。今回のこの室内だって、トリックはもう分かっている。


分かっているなら俺達にも教えろ。一人で悩むな。山下さんと家路さんのハイブリッド君。


その言い方やめろ。


嫌なのか?光栄なことじゃないか。伝説のタッグを1人でこなしているなんてな。捜査一課じゃ、ハイド君って有名だぞ。


なんだそれは?ハイド?


ハイブリッド。縮めてハイド。家路さんの二面性はまるでジキルとハイドみたいだろ?そこからもきてるみたいだぞ。


...出きればジキル君の方が良いな...ハイドだと、悪い方じゃねぇか。それにロックスターの名前と同じってのもな...


誰もお前をロックスターの方とは思わねぇよ。


思わなくても何でも、めんどくさいだろ。俺には後藤って名前があるんだ。


はいはい失礼しました。それで、さっき言ってたトリックは?


ああ。室内にぶちまけてるのは誰かの血だ。遠藤事件では遺体があったから、その遺体と照合できたが今回は遺体がない。照合してその誰かが分かればいいが、分からなければ時間がかかるぞ。


なら単純。時間かけていこう。慌てなくてもいいだろう。ここまで派手にやらかす奴だ。そのうち何かヒントをくれるさ。

どうやって室内にぶちまけた?やはり以前の事件と同じく天井からか?


まぁそうだろうな。壁に向かって放射状に飛び散っている。上からぶちまけた事でまず間違いない。


今回は遺体がないってのが問題だが、これだけの血の量だ。まず間違いなくこの血の持ち主は死んでいるだろう。


そこへ血の成分の調べが終わったことの報告が入った。その報告を聞いて後藤も安田も頭を抱えた。部屋にぶちまけられた血は、混ぜ物の血だったのだ。


せめて人間の血が誰かというところまで分かればな。分からないぐらい色々な血を混ぜたんだろう。


...これで、誰かが殺されたかどうかも分からなくなった。もしかしたら生きているかもしれない。


...どうする?後藤。


...こいつは厄介だな...犯人は、こちらがどう動いても様子を見ながら動いてくる。これはそのきっかけに過ぎない。先手を打っておいて鳴りを潜める意味は...


後藤は暫く考えた後、安田に顔を向ける。


今分かる情報を出来るだけ集めて整理しよう。客の名簿、客以外の関係者、防犯カメラ、周囲の不審者情報。大きな動きをするのはそれからだ。

安田、ここは任せる。


お前は何処に?


留置所だ。

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