1話 二条新御所
2024年8月の夏の真っ只中。
今年の夏は前年と比べてもかなり暑い。
汗が噴き出るこの暑さ・・・だが!
今は夏休みシーズン・・・夏といえば海・プール・BBQ!
大学生活の楽しみの一つである可愛い女の子との一夏の思い出!
教授「おーい!健吾何してるんだ。置いていくぞー。」
健吾「へーい。。。」
そんな考えと程遠い所に今はいる。
大学のフィールドワークで二条新御所にゼミのメンバーといるのだ。
確かに歴史は好きだよ?
特に織田家に関したら、織田信長は戦国武将の中で一番好きだよ?
だけどさ・・・青春の夏の期間を・・・くそ・・・
サークルの奴らは今みんなでBBQしてるんだろうなぁー
何故俺だけ・・・
そんな事を考えながら、教授の後を歩いていく健吾。
教授「さぁ、着いた。ここが有名な明智勢が織田信長の子供の信忠を倒した場所だ。」
教授が本願寺の話と明智光秀の話を始めた。
「教授。でも信長も信忠も遺体が発見できなかったんですよね?」
話し出すと長い教授の話を打ち切るのにゼミの男の子が質問した。
健吾は心の中でナイス!と質問した男の子に目配せをした。
健吾(この話何回も聞いてるんだよなぁ。教授この手の話になると止まらないからな・・・)
健吾は汗をタオルで拭いながら早く話が終わらないかだけを考えてた。
教授「そうなんだよ。だから私の仮説では・・・・」
炎天下の中、教授は自身の仮説の話を初め出した。
健吾(あっ。だめだ)
教授の話が終わらないと感じた健吾は、こっそりゼミの輪の中から抜け出して座れる所を探しに行った。
健吾「あち〜。よくこんな暑いところで話せるなぁー。」
健吾は少し離れた場所に移動した。
健吾「あれ?あんなでかい木ってあったっけ?」
目の前にさっきまでは無かった大樹があった。
だが夏の暑さもあり、健吾は大樹の日陰に引き込まれるように歩いていく。
「・・・」
健吾「ん?」
何か聞こえたような気がするが・・・気のせいか。
違和感を感じたが、健吾は気にする事なく大樹に手をかざし眺めていた。
健吾「けど、スッゲー立派な木だな。。。イテッ」
左手に強い痛みを感じ咄嗟に手を振り抜いた。
手から何か虫みたいなものが飛んでいったのが見えたが、今はそれどころじゃない。
健吾「ぐ・・・なんだこれ」
目が回る。。。立っていられなくなった健吾はその場に蹲り、助けを呼ぼうと教授達の方に顔を向ける。
異変を察知したのか教授とゼミのメンバーが駆け寄ってくるのが見える。
健吾はそのまま目を閉じた。