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The killer of paranoid Ⅲ 5

 陰陽庁京都支部事務所の中にいる少女もまた、少しだけ暗い陰を落とした表情を見せていた。この時期は毎年、紅葉と一緒に過ごす事が多くいつもどちらかの家でクリスマスパーティーをする事が多かったが、今年は出来ないかもしれないと感じていた。正直ここまで紅葉の怒りが持続するとは露程も思わなかった。喧嘩をした事は一度や二度ではないのに、今回は関係に亀裂が入ったまま修復出来ないでいる。電話には出てくれないし学校でも最低限の会話しか出来ずにいるのだ。考えればため息しかでない。雪がちらほら舞い落ちる。クリスマスソングが街中に溢れ、テレビを見ればシーズン真っ盛りの特番や旬の話題で盛り上がる。何となく浮かれている雰囲気を感じている者と、憂鬱を感じる者の二つに別れているように感じているのは、錯覚でもなんでもない。陰陽庁京都支部事務所の中にいる少女もまた、少しだけ暗い陰を落とした表情を見せていた。この時期は毎年、紅葉と一緒に過ごす事が多くいつもどちらかの家でクリスマスパーティーをする事が多かったが、今年は出来ないかもしれないと感じていた。正直ここまで紅葉の怒りが持続するとは露程も思わなかった。喧嘩をした事は一度や二度ではないのに、今回は関係に亀裂が入ったまま修復出来ないでいる。電話には出てくれないし学校でも最低限の会話しか出来ずにいるのだ。考えればため息しかでない。


「にゃ~」


社長が、彼女を気遣ってか体を擦り寄せる。


「ありがとう御座います」


猫を撫でながら、もう幾つかの頭の痛い問題を思い浮かべる。一つは仮面の少年とカボチャの少女。そしてもう1つはクリスマス特有の人々の感情による妖怪の異常発生であった。つまるところ陰陽庁における超繁忙期とも言えるのである。


「え、クリスマスに仕事を頼みたいって?」


夏樹が、学校終わりにリビングでのんびりしていた矢先京子から連絡が入る。最近は、仮面と南瓜の少女の動きも鈍く動きを見せない。陰陽庁から連絡が入ったら現場へ急行するが、以前程夏樹も行動を拡大していない。探し回っても無駄骨に終わる事が多く、向こうも人海戦術が取れる陰陽庁を警戒しているのではないかとの見解である。よって、夏樹も暫くは慌ただしかった分を取り戻すかのように自分の時間を満喫していた。夏樹の脳裏にお金がちらつきはするが、今年はすでに予定は決まっている。友達の家で過ごす事も考えたものの、まだ家族として時間の浅い二人と夏樹の家族が合同でクリスマスを行う予定となっていた。それと来れる友達も誘う予定である。


「クリスマス当日は無理でも、1日くらいならお願い出来ませんか、お金はいつもより多めに出ますので」


そう言われると、頭に買いたいものが思い浮かぶ。夏樹の派遣料金は割高である。普通のバイトをするより遥かに稼ぎは良い。しかしこれで食べて行こうとは微塵も思っていない。この一件が終わったら奇妙な出来事とは無縁の人生を貫く予定である。


「んー⋯⋯まぁ、当日でないならいいかも」


「助かります!!」


携帯を切ると、後ろから霞が顔を覗かせる。


「また、陰陽庁絡み?」


「ん、ちょっと手伝って欲しいって」


「こんな時期に大変なんだね」


「なんでも繁忙期らしくてさ。ちょっとまた忙しくなりそう」


夏樹がテレビドラマの再放送を点けると、霞が隣で座ってコーヒーを飲んでいる。テレビドラマを見た事はあんまりないらしい。

最近はバラエティーを見てよく笑顔をみせるようになった。


「最近はまっているドラマあるんだけど、録画あるから見る?」


海外ドラマでファンキーな診断医。部下や患者に暴言連発、バイコディン依存症気味の主人公が描く医療ドラマ。部下が色々手を尽くして患者の病状が悪くなってからが本番。足が悪く杖を持っており、結構それでコンプレックスを抱えたおっさんが最終的にピタリと原因を当て一応患者を救う。そんなドラマを見ながら二人でおやつをつまみ、時間を過ごしたのだった。


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