表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/209

The killer of paranoid Ⅲ 1

 挿絵(By みてみん)


 午後8時頃、京都の市街地周辺に妖気が膨れ上がり、顕現するであろうと予見されたポイントで、陰陽師と共に夏樹が現場近くで待機している。人の往来も普通にあり、周りは住宅地。車も通っているが、今日に限っては人や車の往来は無い。工事中の看板と共に三角コーナーで通行止め。わざわざ、実際の工事の車を準備する等手を込んだ偽装工作。それと、周囲に結界を張って防音対策、呪術による暗示を行いこの周辺を避けるようにする札を貼る等人払いの努力が伺える。それでも完全に人払い出来るかと言われればそうでもない。後はこの場に遭遇した人の霊感体質が強いか否か。前者であれば恐怖の体験をする羽目になるだろうが後者であればこの場で何をしているのかそもそも見えない。霊感体質でもない場合でも普通に見えてしまう妖怪というのは、とてつもなく強力で、夏に現れた怪談の様に恐ろしい力を持っている。夏樹、早苗、牧田、島田の4人と逃がした際の追撃に結界師と控えの退魔師が揃っており祓い師の集団と女子高生がこの場に集まり何をしているのかと疑問に思うのが普通ではある。夏樹には空中に浮かぶ蠢く醜い化け物が見えていた。ひび割れそうな球体の中に妖怪が存在しており大きい顔に手足がついているという有り得ない風体をしており、正直気味が悪い。ガラスが割れた様な音が響き渡ると同時に中の化け物が現世に顕現する。陰陽師達には、急に妖怪が現れたとしか見えないらしい。妖気が増大していてその大きさである程度の顕現する時間が分かるらしい。調査を続けると色々な事が解明され強さはそのまま危険度に反映されていて、大人しいタイプか、話が出来る者かの種類も判別可能との事。今回現れる妖怪は凶暴で人に危害を加える可能性が高く、怒りや恨み、嫉妬といった感情から生まれたので即滅して良いらしい。大声を張り上げて、動こうとした瞬間に早苗が符術で札を張り付け爆発させるが、妖怪は耐えた。怒りに身を任せて早苗に襲い掛かってくるところで、島田が式神を召喚し女武将を模した動く彫像を出現させる。弓を斉射し、妖怪を串刺しにすると大声で叫んだ。


「牧田ァ!!止め譲ったらァ!!」


「先輩あざーす!!死にさらせバケモン!!」


刀を抜いて斬りかかるも、化け物は刀を受け止める。握り締めると簡単にポキリと折れた。ついでに手足を引っ込めて、ゴロゴロと転がり牧田を下敷きにする。


島田の式神が両手で受け止めて結界の外へ行くのを阻止した。


「何やっとんじゃい!!牧田ァ!!」


「夏樹さん、代わりに止めお願いします!!」


「あいよ」


ハンマーを出現させて、動かぬ妖怪に一撃を食らわせて消滅させる。それを見ていた他の結界師や退魔師から感嘆の声が漏れた。後は早苗が支部に連絡して、討伐後の報告をして解散となった。時間が余ったので24時間経営のレストランで一息入れる。全員温かい飲み物を注文した。妖怪が顕現してから、如何に素早く妖怪を討てるかが重要で、長引けば周囲に居る人間に危害が及ぶ。逃げられた場合は陰陽庁を挙げての追走劇になるとの事。


(ああやってあっちの妖怪をこっちに送ってるんすよ)


「で、それをこの人たちが日夜討伐して回ってる訳ね。ていうかもうちょっと場所選べない訳?」


(それは申し訳ない)


往来に人が沢山居るような出現ポイントの場合は、顕現した瞬間に転移で陰陽庁の地下に送ってそこで討伐が行われるとの事。魔法省という良く分からない陰陽庁の別組織に依頼する為、余り頼みたくないらしい。


「寒いと思ったら、雪降って来ましたよ」


「ほんとだ、積もる前に帰らないと」


ガラスの外では粉雪が舞っている。


霞の一件から時間が過ぎて12月の半ば頃。吐く息も白くなる冬の季節となっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ