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The killer of paranoid Ⅱ 10

 カボチャの妖精の鎌の攻撃を怒りの化身は腕を交差させて霞を守った。


「う?おかしいな、ちゃんと斬ったのに」


今度は怒りの化身が霞から離れて、カボチャの妖精に向かう。2、3撃殴るが全て回避され、空を切る。鎌で攻撃されるとガードして、攻防が繰り広げられるもののお互い一撃が決まらない。


「ちょっと、痛い目にあって貰うけど、気絶したらすぐに済むからさ」


(なんだァ~こいつはよう、鬱陶しいぜ!!)


「同感だけど、何が何だか⋯⋯くっ!!」


ズキ、と腕が痛む。受けたのは、自分ではないが、怒りの化身が受けた蓄積されたダメージは霞にも通っている。南瓜の妖精は、今度はランタンに火を灯して炎を生み出す。その熱量で、霞にも周囲の温度の変化がはっきりと肌で感じ取る。


「それじゃあ、ちゃっちゃと気絶してよね!!」


「ーーーーーーーーーーーーー!!!」


霞が、覚悟して目を瞑ると、目の前の炎が何かの結界によって遮られている。空中に浮かぶ札が燃え尽きると結界がなくなった。


「妖気を確認して来てみれば、えらく修羅場になってますね」


「あれが、噂のカボチャの魔女っ娘すわ。先輩聞いてます?」


「聞いとるぞ。あれやろ?で、なんやっけ」


「もういいすわ。早苗さん、すまんけど牽制お願いしますわ。後方支援しますんで」


「分かりました、島田さんは彼女の保護をお願いします」


「おう、それやったら任しとき。俺の結界から出ん方がええで君の精神で作られたもんが体から出とる状態やからな。感覚的に攻撃されるとダメージ受けるんや。一瞬だけ共闘体制入ったからそいつの制御今だけ出来たんやろうけど」


「何言ってるか全然わかんないんだけど」


「そうやろうなぁ。まぁ、大人しくしとき」


そういって、島田は霞の額に札を貼ると、霞から出ていた怒りの化身も消え霞の意識も消えかかる。ぐらりと後ろに倒れて、島田がそれを支えた。


「ほんなら、後はよろしゅう頼むで」


島田と呼ばれた少年は、霞に寄り添い結界を維持し続ける。早苗は札を幾つも空中に散布して、手裏剣に変化させて妖精に攻撃を放つが、鎌のひと凪ぎで払われる。牧田が精霊を召喚し、雪だるまを呼び出すと、口から吹雪を放射する。下からの吹雪に視界を奪われ、動きを封じられる。


「うっそ、何それ!!寒いって!!」


上空に移動しようとしたが、すでにその上に何者かが待機していた。巨大な鳥の足にぶら下がり、紅葉が手を離して刀を振り下ろす。鎌でその一撃は防がれたが相手の体制を崩すには十分な一撃だった。箒と共に回転しながらまっさかさまに落ちていく妖精。紅葉は、鳥を呼び戻して再度ゆっくりと浮遊しながら下へと落ちていく。途中で、ピタリと妖精の落下が止まって空中で静止している。よくよく見れば、仮面の男が妖精を抱き抱えていた。


「今宵はどうやら、多勢に無勢のようだ。今日は引かせてもらおうかな」


「仮面の方も出てきおったか。面倒になるなぁ、皆気ィ抜きなや」


島田がそうと、各々が仮面の男に構える。


「ゴメン、失敗しちゃった」


「構わないよ。時間はまだあるんだ、次に生かそう。それでは諸君、失礼させてもらうよ」


爆発が起こり、真っ白な煙と共に二人は姿を消した。早苗が霞の方に視線をを移す。


「こちらはこちらで、面倒な状態のようですね。生き霊があれほど進化するなんて希な現象ですが。とりあえず、この場は収まったと京子ちゃんに報告しましょう」


早苗は携帯を取り出して、京子に連絡を入れた。



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