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The killer of paranoid I 4

 この一連の不可解な出来事は悪戯に違いないと夏樹は結論付けた。オカルトは信じない主義でこれまでも見たことはないし心霊現象に遭ったこともない。悪戯だと思えば対処も出来るだろうとバイトの日程を変更する事にした。学校が終わって放課後、クラスメイトに声を掛けられた。


「夏樹、今日皆でカラオケ行かない?今日は休みでしょ」


「それが、ちょっと急に入る事になって」


「そっかー、残念。また今度行こうね!」


「うん、ゴメンねほんと」


急いで音楽スタジオに向かって、レジに立つ。来るなら来いと待ち構えて居たが、何時間経過しても偽物は来なかった。お客さんが来て盛況だった事以外に特に問題もなく一日が終わろうとしている。一過性のものだったのか、これ以上は危険と判断したか何にしろ悪夢が終わって夏樹は安堵した。急に携帯の着信が鳴って電話にでるとカラオケに行ったクラスメイトからだった。


「夏樹、トイレ長いよ!延長になっちゃうから早く戻って!!」


「なんの話?」


嫌な予感がして尋ねた。


「何かあった?」


「何かじゃないって!帰るんなら帰るって一言言ってよ!」


衝撃の一言が返ってくる。


「私ずっとアルバイトしてるからカラオケには行ってないけど?」


「何でそんな嘘つくかな。まぁ元々今日バイトっていってたし理由あるだろうから深く追及しないけど代金は明日徴収するからね!」


そう言ってとりつくしまもなく一方的に切られてしまった。


「クッソ、こっちに来ないと思ったら」


あっちに居たのかと。もう、怖さよりも怒りが沸いてくる。夏樹は必ず犯人を捕まえようと心に決めた。次の日になり、クラスメイトに行ってもいないカラオケ代金を払い、事情を説明した上で昨日の様子について聞いてみた。半信半疑ではあったがそういえば様子がおかしかったと口を揃える。


「そういえば、夏樹ノリノリで桜坂18の曲熱唱してたよね」


「そうそう、吃驚した!!踊りと振り付け完璧だったし」


「いつの間にかメイド服着てたし」


どこで覚えたのと尋ねてきたので否定した。有名なアイドルユニットの曲で表現豊かな踊りに定評がある。血の滲む練習をしないと踊れはしないだろう。


「言っとくけど、あたし踊れないかんね。アイドル曲歌った事ないしメイド服も持ってないから」


「確かに花蜜甘露の曲を歌わないのは珍しいって思ったけど。カラオケで私達とあんなに心を通わせた瞬間は今までに無かったよ?それが夏樹の偽物だったって言うの?」


ノリノリで歌うアイドル夏樹に合いの手をうつクラスメイトの面々は最高のプチライブ会場になったという。


「どんだけあたしのニセモンと心を通わせてんのよ!」


甘露は艶のある歌詞と声に特徴があるシンガー。夏樹の好きな歌手で一人語りの舞台を見ているかのような気分にさせられる。


「言われてみれば妙な違和感あったかも」


「喋り方もおかしかった!確かに夏樹っぽくはなかったかな」


でも容姿は瓜二つで見分けは出来ないという。へんな口調の自分が現れたら連絡をするように念押しした。


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