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Revenge tragedy of agent Ⅲ 9

 それ以降は一馬達を抱き込んでの作戦もスムーズに話し合いが出来た。京子は目の前の浦美に一番のお茶受けを差し出した。近くにある美味しい和菓

子屋さんの芋羊羮。


「あら、これは美味しいわね」


「そう言って貰えて何よりです。考えたら、急に私が話を持ちかけた所で聞いて貰えるはずありませんでしたし」


身内の幽霊による説得という反則技でもなければ不可能だったに違いない。


「さて、後は山奥の廃校舎からの“転移”とその揉み消しに魔法省に連絡ですか」


最悪の事態に備えて封印も出来るようにしておかないといけない。京子は魔法省に連絡を入れた。政府と魔法の異世界との橋渡し役をする組織。代を重ねたある晴明が魔法の国を訪れた時から密かに存在するある主の外交官僚とも言える。無論、陰陽庁と同じく公にはなっていないが。異世界人でありながら国に精通し、この国の人間と結婚をしたたちばな さきという女性が取りまとめを行っていると聞いた。連絡を入れると、開口一番に怒られた。


「禁書の力をお持ちの貴方が、前線に出るってどういう事か説明お願い出来ます?」


「いえ、今回は厄介な妖怪を相手にしてまして」


「そもそも、その新設された支部で貴方は自由に動けないはずですよね?」


ごもっとも。誰かが傷つくなら自分が化け物と対峙しようと思っただけ。兄にもきつく言われていた事ではあるが、他にどうしろというのか。


「それなんだけど、今回最初から“私達”に任せてもらえないかしら?今回は殺れるって皆、騒いでるのよね。私もようやく解放させてあげられそうだし」


“何が”とは言わない。京子は彼女がその身に抱えているものが何なのか察した。


「それなら、今からでも動きましょう。但し貴方が出るのであれば私達の仕事は協力ではなく京子さんの捕縛と監視に変更になりますよ」


さらっと、咲さんが怖い事を言った。こうして、真義に化け物の相手をして貰い、準備が整うまでの間時間を稼いで貰う事にしたのである。

 今、京子はモニターで化け物と浦美達の様子を見ている状態にある。和則は以前の状態のままではあるが結局“全ての人間の認知”を変えるに至っていない。しかし、浦美によればそれで十分との事。存在が大きく揺れた今以前程の妖気も感じない。突進し、爪で引き裂く算段だったのだろうが周囲の武装集団が火を吹いた。重火器による一斉射撃。以前と違って化け物の顔に苦悶の表情がはっきりと見えていた。痛みと苦しみが如実に伝わる。回復も遅くなっており瞬時に回復はしていない。化け物が怒り、咆哮して再度異形の姿を取り攻撃の雨が一旦止んだ。


「ーーーそれが、最後ね」


無限に供給されていた、人の畏怖や恐怖の感情が彼に流れていない。好機と見て重火器に頼らない刀を持つ者、トンファーを持つ者、小太刀を構える者、更に指に糸を垂らす者が一斉に攻撃を仕掛けた。伸ばした爪と刀が

金属音を響かせ、激しい攻防を繰り広げる。一人が糸で動きを固め刀と小太刀を持つ二人が太刀を浴びせた。最後にトンファの連撃が入り和則に痛みが迸る。皮膚が固く斬れてはいないがダメージは入った。糸が破られ、4人は距離を取り、小太刀を持つ者が刀を仕舞い空中に式札を散布する。追いかけて来た所を爆発させて煙が立ち上る。


ーーーーー鬱陶しい、という怒りの表情と共に和則が煙を凪ぎ払った。





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