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Voo Doo Childー陰陽庁京都支部局長に就任した13歳の少女の物語  作者: 夜桜一献
Revenge tragedy of agentー復讐代行人 Ⅱ
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Revenge tragedy of agent Ⅱ 9

陰陽庁の陰陽師が一人、巨大な妖気を追って妖怪の近くまで来ていた。先日病院から3人の大の大人を抱えて空を飛んでいたのをみると、ダメージは残っていないようだ。以前住み着いた場所の近くにある廃校になった学校の中に今も居る。被害者を救出したいが、一人では不可能。連絡があるまでは妖怪の動きを掴むのみ。林の中から伺っていると、急に後ろから回りこまれて口を布で塞がれる。目眩を起こして急にその場で倒れた。


「効果覿面やな。にしても注意散漫っつーか。妖怪討伐の専門家がこんなんでええんかいな」


「教会に比べレバ、弱すぎマース」


「それが本当だったら、我々の存在意義も高まりますね」


「・・・今回のケースがその始まりだ」



スーツ姿の3人とジョンが陰陽師を拘束した後装備を確認して学校の裏口から侵入する。


「さぁ、ミッション開始といこう」


前田がそう告げて、自衛隊と教会による初任務が幕を開けた。訓練が終わった後は泥の様に眠ったが起きれば妙に目が冴えていた。革命でも起こしているかのような興奮から未だに覚めない。


水の滴る音が聞こえる。一馬はゆっくりと目を開けるとそこは暗いどこかの教室の中に思えた。周囲を見渡すと、転がっている机や椅子には埃が被り天井にはクモの巣も張っている。天井からは雨漏りがしており、崩れてきそうな危うさも感じる。誰も使わなくなって結構な時間が経過した廃校舎に思えた。窓の外は薄暗く日が落ちかけている。意識がはっきりすると、先程の化け物の強襲劇を思い出した。ゆっくりと近づいてくるなり、自分の傷のある手の平を鼻で嗅いで、人差し指で自慢の鼻なんだとばかりに笑みを浮かべる。それから首を締められ、意識を失った。恐る恐る自分の手の平を見つめた。


「これがマーキングって事かよクソッ!!」


幸い拘束等はされていない。喉の渇きを覚えつつあの化け物が周囲にいないかを確認した。床に、正志が倒れているので、声を掛ける。


「おい、大丈夫か」


「夢だったのか?・・・いっつ!!!」


正志が急に痛みを訴え、左の手の平が血塗れになっている。


「俺と同じマーキングされたか」


「マーキング?」


「傷をつけた相手を鼻で探せるってよ」


「あいつは一体何なんだ。人間じゃなかった。人じゃない。そうだ、人じゃなかった!!」


余りの恐怖に、顔面蒼白になっている。対して人ではない確信を得た一馬は冷静だった。


「やっぱ、そうだろうな。奴が来ないうちに行こう」


正志を立たせるのと同時、男性の叫び声が響き渡る。二人はその声が竜太郎のものだと気がつき背筋を凍らせた。


先頭を歩くジョンが悲鳴を聞いて、手で後ろの3人を静止させる。


「陰陽庁がテコズッタとキキマシタガ、タシカニヤバイですネ」


上の階に巷を騒がしている化け物が居る。

ジョンでも分かる妖気の強さに冷や汗が流れる。


「でも、俺らやったら瞬殺や。速攻で始末したるわ」


広間が、その根拠である銃を構える。


「ちょっと、そういうの変なフラグに聞こえるから黙って頂戴」


「緊張感がないな。全く・・・会敵したら一斉攻撃、慎重に行こう」


昨日の今日で実践になるが、昨日の訓練で自信を得た3人に恐怖はなく、自信を持って歩を進めた。古い階段を上り3階まで来ると、音楽室の扉の前で中の様子を伺う。見知らぬ男性が逆さに吊らされ切り刻まれている。まだ息があるらしく呻いている。黒と緑色の肌を持つ化け物が楽しんでいるのが見てとれた。爪を伸ばして引っ掻くように刻んでいる。


(サディスト野郎、脳天に食らわしてやる!!)


先に動き始めた秋山を前田が止める。


「一斉に仕留めるんだ。幸い奴はまだ気づいてない」



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