表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Voo Doo Childー陰陽庁京都支部局長に就任した13歳の少女の物語  作者: 夜桜一献
Revenge tragedy of agentー復讐代行人 Ⅰ
43/209

Revenge tragedy of agent Ⅰ 8

 配達業者に運ばせ、自分の家の空間にそれを置いて眺める。まるで展示会の様な空間の中で、一人で作品を眺めて回るのは彼の幸福な時間であった。数多ある絵画や、彫像、壺や陶器類なんかも飾ってあり、友人達を招いて驚かせるのが何よりの楽しみと言えた。やはり、表情が伝わってくるようで誰がここまでの表情を描いたか何を思い描いたのか、彼は思いを巡らせる。じっと悪魔の顔を覗いていると彼は怪訝な表情でそれを見た。まるで息遣いさえ聞こえ、ゆっくりと呼吸をしているかの様な錯覚に陥る。


「ハハハ、そんなまさか」


唾を飲み込みゆっくりと後ずさりしてその場を離れようとした。急に、蛍光灯が暗くなり、そしてまた明るくなる。足が止まり、吃驚して、彼の心臓が飛び跳ねた。蛍光灯は、点いては消え、点いて消えを繰り返し、暫く点滅が続く。点滅を繰り返す中、悪魔の彫像と視線が合った。いつの間にか、彫像が目を覚まして周囲を伺っている。動悸が早くなり、呼吸が乱れる。点滅を繰り返す中、悪魔は彼に近づいた。


「―――――――ヒッ!!」


急いで逃げようとした瞬間、目の前に回り込んだ悪魔がそれを阻んだ。尻餅を着き、後ろへと逃げようとしたが逃げ場はない。悪魔は、観念したか?とでも言うべき顔を見せた後、片手で髪を掴み持ち上げ顔と顔を見合わせ、喜色満面の笑みを彼に浮かべ蛍光灯が点滅繰り返す中、悲鳴を周囲に響かせた。


 日曜日、本来であるならゆっくりと骨休みの取れる一日になるはずであった。朝倉京子は、窓に烏が突いて音を立てる音が聞こえて、慌てて窓を開ける。烏は本部の手紙を鞄に下げており、時代錯誤のやりとりをどうにか解消出来ないものかと胸内で苦言した。重要な問題はこうした手渡しの手紙で伝える手筈になっている。しかも、手紙そのものを式神に封印するという二重の仕掛けである。解除すると、手紙は封筒へと変化し、椅子に座って京子はその中身を改めた。A4サイズの資料と写真がずらりと入っており、10年毎に現れる悪魔への認識と見回りする者達への警告を行う旨の通達であった。


「あの、TVでやってた事件ね」


10年前、陰陽庁は国と警察の要請を受けて殺人犯を妖怪と仮定として夜間の見回りを強化。対象を発見、討伐を試みたが悉く返り討ちに遭う。妖怪を“鬼”であると断定し綿密に作戦を立てて包囲網を組んだが負傷者13名、死者12名の大惨事を招く結果となった。公には2名とされているが、実際には14名の死者を出した結果となっている。途中から陰陽庁特別隊員の協力を要請。彼女と共に鬼を相手に奮戦したが結局逃げられ、鬼の所在を掴めぬまま時間が過ぎた結果なっている。京子は、最後の一枚に自分の兄の一筆が添えられてあるのに気が付いた。支部の面々によくよく鬼の出現に気を付けるように言い聞かせる事。一人で討伐を試みず、情報を優先して生き延びる事、最後に特別隊員を今回は最初から呼ぶ予定なので、支部に行くから彼女と協力して鬼を討伐する事が書かれている。


「死者12名って⋯⋯どんな怪物よ」


死者の名前や実績を見ると、手練れであった者も多数死んでいる事から注意事項の一人で相手にしないは正解だと思われた。10年前の事件を知っている者と知らない者との間で、相対する際の対応に差が出るかもしれない。気が滅入る話だと溜息を吐いて、TVを付ける。


『京都の高級住宅地で殺人事件が発生しました。被害者は生皮を剥がされた挙句バラバラに切断されていたという事です。詳しい事は分かり次第お伝え致します』


京子は、嫌な予感がして、続報を待つ事にした。ニュースの一報を見た古美術商の老齢の男は、背筋が凍り付き 、持っていた湯飲みを手が震えて落として愕然となった。割れた欠片を拾い集めようとした矢先、目の前に革靴が見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ