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The killer of paranoid Ⅷ 17

 蘭玲は呪術師の親より力を受け継いだ。幼い頃から日陰者として陽の当たる人生を送っては来なかった故、親が呪術師に逮捕された後もそれしか自分の生きる活路が無かった。泥を啜った時期もあったが、親の伝手を利用して呪術師の世界で彼女は親の後を継いで仕事を請け負った。その際に呪朽やDとも既知となった経緯がある。彼女にとって、陰陽庁は目障りな存在でしかない。潰す為の祭りに参画する事に躊躇いは無かった。体から、雷撃を受けて一部熱を帯びて炎症を起こしている。肌からは蒸気が出ていて、全ての蟲は先程の雷撃で消し飛んだ。膝を地面につけて屈辱的な姿勢を紅葉に晒す。


「本当に白虎?こんな子が?冗談じゃないよ」


陰陽庁の話は界隈では有名な話だ。守護聖獣とよばれる四聖に出会ったら生きては帰れない死の象徴。

はゆっくりと起き上がった。


「死んでないわよね」


「ギリギリだがな。起き上がってくる様なら遠慮はせん」


この間まで自分に嬲られたひ弱な存在が最強の召喚獣を手にしている等と


「面白くないねぇ」


この世の理不尽に抗う為にここに居る。原点を思い返して蘭玲はゆっくりと起き上がった。


「まだ戦うつもり?降参すればこれ以上は⋯」


「甘ったれんじゃないよ小娘。あたしを殺さなかったのが運の尽きだったねぇ!!今のあたしは呪力を無制限に使えるのさ!!」


膨大な呪力が蘭玲から溢れている。それを持って一体の巨大な蠅を召喚した。通常ならば呼び出す事は叶わない不釣り合いな上級悪魔。魔王ベルゼバブの創設した騎士団の一員。すぐ様自分の部下を呼んでまた大量にこの場に蟲が出現する。


「どっから呪力を増やしてるか知らんが厄介極まりないな。ベルゼバブの系譜の召喚なんぞ奴の魂を幾ら献上した所で不可能なはずだが」


「あんたでも無理そう?」


「抜かせ、とっとと全部潰して朱雀の援護に回るぞ」


白虎の周囲に電撃が迸る。その時明野は警察に囲まれながらも抵抗する姿勢を見せた。周囲に影を伸ばして自分の影と同化させて動きを止める。焦った捜査官が発砲するも空振りに終わり、影から棘が出現して武器を手から弾く。召喚者が札を持ち、使用する前に天音星南が前に出る。


「影使いか~確かに強いけど弱点はハッキリしてるかな。全員目を閉じな」


少女の声が聞こえたかと思えば、今度は白い光球が一つ明野の前に現れた。

急に光出して周囲を照らし、一瞬フラッシュする。眩しすぎて明野は目やられた。その隙に古谷大輔が背後に回って地面に伏せさせ、何人もの捜査官が押さえ付けて手錠をかける。


「明野鞍馬、確保だ!!」


(それにしても⋯)


古谷が昔の記憶を引っ張りだして、昔よりも弱くなった様な錯覚に陥る。


(拘置所に長期間居れば技術も衰えもするもんかね)


「ちょっとすまないが、どいとくれ。うん、面白いな。やっぱり望んでこうなってるんだろう?君は。とりあえず聞きたい事が山程ある。司法取引といこうじゃないか、君の望んでいる通りにね」


「何を言ってんだこのお嬢ちゃんは」


「あたしに嘘吐いたって無駄さ。あんたの精神的恐怖心が晴明にやられた時の記憶だってのは分かってるんだ。これでもサトリっていう妖怪でね。あんたの心は透けて見えているのさ」


戦況は嫌でも進む。青葉直彦は他の場所を楽しそうに眺めながら地面に倒れる血だらけの少女を見た。


「やはり私の研究に間違いは無かった。後は手筈通りもう一体の白虎を潰して晴明の元へ行き12年前の復讐といきましょうか」


白虎と紅葉は奮戦中


呪術捜査官達は完勝


そして早苗と朱雀は敗北した。

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